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観音様を縁取る桜の額縁 船岡城址公園

 宮城県柴田町の桜並木――。
 福島⇔仙台間を結ぶ電車に乗っている際や、4号線を車で通る際にいつもこう思っていた。

 「実はこの桜並木はけっこう凄いのでは?」

 自分の家から比較的簡単にアクセスできるところにあるため、あまり有難みを感じていなかったのだ。とはいえ、時期が重なるタイミングで視界に入ればやはり圧巻されるところがあったし、電車で福島⇔仙台間を通っていた時分には、これを見なければ春は始まらないといった定番かつ至高の景色として心に留めていた。だから、いつかその桜並木を心行くまで写真に収めてみたいという思いがあり、天気の助けも相まって今回何とか行動に移すことができた。

 ひた走る車に巻き上げられ、桜の花弁が小躍りする4号線――。鬱々とした冬空ははるか遠方に追いやられ、汗ばむほどの陽気と開放感に満ちた青の煌めき。桜が映えるにはもってこいの空だった。


遠くに見えるは蔵王連峰。頂部に残る残雪の白が美しいコントラストをもたらす。


電車や貨物列車が通るたびにカメラマンの間に緊張感が走った。いい席はすべて埋まっていたため、僕は歩道橋の階段(蔵王連峰まで被写体に入れることができない)に移動して撮った。


貨物列車ってなんか郷愁感あっていい。
飛び移って、誰も僕を知らない街まで……なんてストーリーを妄想してしまったりする。

 この河川敷の桜並木は、「白石川堤 一目千本桜」と呼ばれ総延長約8kmにも及ぶ。なかなかお目にかかれる景色ではない。整然と立ち並ぶ満開の桜を見に、多くの外国人観光客も訪れていた。

 

歩道橋からは、「桜を上から」見ることもできる。


きっとこの日の電車は、日本で最も到着を待ちわびられていたに違いない。
乗客も注目されている気分になっていたかもしれない。


「桜口」へ


「青春」を感じた桜だった

 また、河川敷の桜並木はほとんどがソメイヨシノだが、船岡城址公園ではヤマザクラ、サトザクラ、ヤエザクラ、シダレザクラ等々、いろいろな種類の桜を見ることができた。といっても、僕はそれらの種類の判別ができるわけでなく、写真に撮ったはいいけど、この花は何ですか人間になっているわけなのだが……。また、中には「コミュニティガーデン花の丘」があり、チューリップやバラなどの花を楽しむこともできる。

 忘れていけないのは高さ24mにもなる大観音像だ。きっとこれを目当てに来る外国人観光客もいるのだろう。「柴田町船岡出身の野口徳三郎氏が昭和50年10月に、亡妻シズ夫人の冥福と世の平和と安全の願いを込め、私財を投じて建立した」と、柴田町観光物産協会のHPに書いてあるが、なかなかその感覚は現代の人間には掴めない。冥福のために? 私財を投じて?? なかなかスケールがでかいというか……。昭和だからそれほど仏像の建立が盛んだった時代の話ではないような気がするんだけど。個人の信仰心がもたらすものは、時に我々の想像を優に超える。


黄色い花はミモザでいいのか?? 花言葉は「誠の愛」使ってみてぇ~


やっぱり間近で桜を見れるのはいい。


無人のベンチって、いくらでも想像の余地がある。


ベニシダレ? カンヒザクラ?? わかりません。
ただ、赤色と桜色のコントラストがいいなと思いました(小学生)


コミュニティガーデン花の丘。いい感じの小径でした。


観音様の横顔。


まさしく観音様を引き立てる「サクラ」


桜化粧のおかげで、下から撮ってもお美しいです。


桜の額縁

 きっと桜の写真をまとめて撮れるのは、今年はこれが最後になっただろう。1年に1回の重みが、年々増していく。これが年を取るということなのか……。

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