β-500 AC 2021 その1

さて、ACジャパン2021年度キャンペーン、この項では全国キャンペーンを紹介いたします。

全体概略は既に以前取り上げております、そちらも是非に。

また、昨年度の全国キャンペーンは、以下の通り。

リンク先を修正しておりませんが、どんなものだったかは公式サイトのアーカイブにも簡単な概要は記載されておりますので、そちらも参考までに。

ただ、テレビ・ラジオ・新聞といった広告は権利の関係からか載せられない部分もあるみたいですので、できればそうしたのも併せて公開していただければとは思うんですけど、それは望んでも叶わないことでしょう・・・。

それに対する簡単な私の感想はこちら。

さて、本題へと参りましょう。

全国キャンペーンテーマ

とのことです。

年度単位で更新されるので、来年度以降はきっと刷新されておりますゆえ、補足をしておきます。

今年度で半世紀を迎えたACジャパン、半世紀を振り返ってきて月日を経ても、まだまだ解消していない問題、新たに浮き出てきた問題、そうしたものに対するこれまでの広告展開を踏まえて、以下の2つのキャンペーンを展開するに至ったとのこと。

プラ島太郎

決して、こちらではありません。

前回6月末に見た際には、1000回前後の再生数だったので、そこから3500回の再生回数を積み上げてきました。

恐らく、「プラ島太郎」と検索をかけて、たどり着いたのでしょう。

でも、求めていたのはこちらではなく、ACのほうだとは思いますが・・・。

一応、神戸市が先です、構想段階ではどちらとは言えないですけれど、公開したのは。

さて、ACのほうを掘り下げてみましょう。

昔話をモチーフにした作品は近年のACジャパンの全国キャンペーンではすっかり常連でございまして、例を挙げるとインターネットの誹謗中傷をテーマにした2017年度の「苦情殺到!桃太郎」や食品ロスの問題を提起した昨年度の「おむすびころりん、1億個」がそうです。

制作会社は違えど、著名な昔話をベースに社会問題を描くケースが採用されているというトレンドといえるのかどうなのか・・・。

今回スポットが当たったのは、浦島太郎。

ここに、海洋プラスチックごみ問題を織り交ぜて、完成したのが浦島ならぬプラ島。

昔の時代にプラスチック製が浸透した形跡はないので、現代版浦島太郎と称しても過言ではありません。

私は馴染みがあんまりないのですけれど、今年の5月まで放映されていたNHK朝の連続テレビ小説「おちょやん」のオープニングを手掛けていた犬ん子さんとチャンキー松本さんがアニメーションを制作したそうで、見ていた層からすると、既視感があるのかもしれません。

音声を担当するのは、すべて柴咲コウさん。

竜宮城に行くまでのプラスチックの蔓延はわかるけれど、竜宮城内のおもてなしのなかまで、果たしてプラスチックがやってくるのかは疑問には残ったかな。

もしプラスチックがやってきたとなると、建物の構造としてはそんなに頑丈ではないのかもしれない、窓から入ってきた線は考えられるけど、それが誰の目にも入ることなく侵入を許すという展開にはならないと思うし、玉手箱のなかに詰め込まれているというのは、乙姫の嫌がらせじゃなかったらどう言った意図があるのだろうか、玉手箱、そんなに通気性がいいとは思えないんだけれど。

要はプラスチックのごみをむやみやたらに捨てるな、できることなら使わないものを選択し、もし選択したとしても適切に廃棄して処理していくようにというものなんだろうけどやや詰めが甘いような、そんな感じがしてしまいました。

深刻な問題を前面に出したい場合、そういう描き方にしたほうがわかりやすいんだけれど、ちょっと現実と照らすと表現に辻褄が合うかどうかは、ちょっと疑問符。

今年度の自由テーマも字幕と手話は欠かすことなく、ただクオリティとしてはどうだったかな、という感じでもありましたかね、でも慣れれば問題ないか、そういう問題でもないかもだけれど。

食品ロスチラシ

さあ、ACジャパンが創立50周年ということで、けっこうインパクトの残る広告を出してまいりました。

JR西日本コミュニケーションズは昨年度も「見えないフリ」という児童虐待に対する相談ダイヤルが無料になったことをアナウンスする全国キャンペーンを展開していたこともあり、全国キャンペーンに連続で採用されております。

今年度は児童虐待は、ほかのキャンペーンを含めてもあんまり見ていない感じが致しました、厚生労働省が同様の内容を官公庁や公共施設に掲示している様子を街中で割と見かけましたので、わざわざACがそこまでするか・・・という考えになったとかそんなものじゃないよね、たぶん。

「見えないフリ」では、そつなくCMを展開していったけど、今回は思いっきりコミカルに振り切りましたね、JAROに紛らわしいという投書や電話はあるかもしれませんけれど、雰囲気はスーパーや量販店の格安セールと思っても良いくらい、違うのは価格が廃棄量になっていることと、スーパーに買い物に来ているお客さんが登場していることくらいかな、商品紹介パートにおいてですけどね。

食品ロスは昨年度も「おむすびころりん、1億個」でおむすびに特化した内容のキャンペーンを展開していたけれど、なにもおむすびだけじゃないよ、捨てているのは、ということで、そのなかでも代表的なものを7品目取り上げているご様子で。

では、あんまりしないざっくりとした動画紹介。

"激ヤバ!!廃棄量 食品大処分祭!!"と銘打ってまずは魚肉加工品は2,102tの衝撃、次に納豆がなんと607tという信じられなさ、これには主婦も「そんなに!?」という反応を示すほど。

次のパートでは牛乳がまさかの4,723t、パンが3,468tのもったいなさ、これには「ほんとに?」となるのも頷ける。

第3パートの冒頭で「まだまだ!」と言っている辺りなんとも勢いを感じてしまうし、まだまだ伝えたい意欲というというものは衰えていないんだろうなというものを禁じ得ない。

ここからは事の深刻さを少しずつ前面的に押し出す感じとなっていまして、例えばヨーグルトが1,637tの残念さ、豆腐が4,148tに限界を示し、最後にはトーンを変えて「もうやめて!!」と洋菓子が1,905t廃棄されている事実を提示され、これにはお子さんからも「がっかり・・・」という声も。。

この廃棄量の出典は流通経済研究所が2016年に統計したもので、流通業者1,028社の小売における日配品の年間食品ロス発生量の拡大推計によるものです。

流通経済研究所という存在をここで知ることになりました、昨年のキャンペーンでは認知していなかった公益財団法人で、名前の通り流通についてさまざまな研究を行っているそうです。

食品ロスをはじめ、様々な政策の試算、提示を行っている機関で、ここを見てると、少しでもふだん買い物をしているスーパーやコンビニの流通形態や最近の傾向をつかめるのかもしれません、あんまり深くはまだ見ていないので何とも言えませんが。

個々に該当しなくても、全体概要は掴めるかもしれません。

さて、CMに話を戻すと、これだけの食品がスーパーなどで廃棄されている現状、さらに処分には当然エネルギーを使い、有害物質や二酸化炭素をその分排出してしまい、温暖化などの原因になると言及されております。

そのために、消費者はいったい何をしたらいいのか。

賞味期限や消費期限、直近のものからとっていきましょう、それこそが地球にスーパーいい行動というメッセージで締められる構成となっています。

ラジオではおそらくスーパーで働いているおじさんが牛乳・豆腐・魚肉加工品の廃棄量で伝えて、主婦の反応を経て、テレビCM後半の内容とつなげています。

内容としては、通常の量販店のCMの間に流してもそんなに違和感がなさそうだし、パッと見るだけでは前半部は少なくともその流れで見てしまうに違いない、ただ紛らわしくしないように、後半部で軌道修正して正常化しているというふうに見えました。

食品ロスの約10分の1の64万tほどが小売店から出されているそうで、少しでも減らすためにももちろん適切な需給バランスは取れるようにお店側も努力はするけど、消費者側も賞味期限や消費期限のそんなに無いものから選んでね、というメッセージだったけれど、それだけが解決できる手立てじゃないよね、とは感じました。

家庭に持ち帰ったときに、お腹に対して遥かにキャパオーバーになってしまう分量を自分のお腹の具合と相談せずに買い込んで結局捨てる羽目になってしまったり、平気で賞味期限をオーバーさせてしまったり、保存方法が悪くて、食べられなくなって廃棄せざるを得ない、こういったものも食品ロスの原因で、こっちのほうが分量の割合としては多いのかもしれない、必要な分を必要な分だけ購入する、お店側も試算に試算を重ねて、少しでも減らしていけるように努力する、そうしたものを組み込めればなおよかったんでしょうけれど、枠的に厳しいかな、でも対策の一つにはなるのかもね。

40周年を迎えるまではサウンドロゴの不気味さも含め、内容も然り、怖さで固めていたけれど、東日本大震災を機に怖さで訴えてもだめなんだと悟ったのか、コンプライアンスの問題で、変に煽ったりヒステリーを起こさせてしまったりしては、ネット環境も充実し、個々の意見が反映されやすくなったいま、過剰な展開は反発を招くと考えているのかはわかりませんが、全体的にコミカルに、そして当たり障りのない映像・音声になっているというのを如実に感じるようになった、この傾向はこれからも変わらないのかもしれませんね。

トラウマになったり苦情が殺到したりというケースは少なくなるのかもしれないが、果たして公共広告の果たす意義にうまくマッチングしているのか、そして人々のこころにまで浸透しているのか、放映回数にもよるのかもしれませんが、そんなことも考えてしまう2021年度の全国キャンペーンでした。

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