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思考に使う言語能力で将来の社会地位が決まる(前編)

ウサギ仙人(ウ仙)から読書習慣の大切さについて伝授してもらった亀子であったが、

思考言語の複雑さが学歴を決める

亀子「『読書習慣が社会的地位を決める』ということを仰ってましたが、なぜそれがわかったのですか?」

ウ仙「わしが子どもを連れてフィリピンに行ったときの話なんじゃが」

亀子「マザーテレサ系の養護施設に行ったときですよね」

ウ仙「実は貧困地域の小学校を訪問したんじゃ」

亀子「デンジャラスなところに足を踏み入れていますね」

ウ仙「1年生の授業を見学すると、ノートを出していない子がいたんじゃよ」

フィリピン・バランゲイ地区の小学校授業風景

亀子「写真手前の子たちはノートを出してないですね」

ウ仙「てっきり生活に困っているからノートも買えないのかと思っておったのじゃよ」

亀子「違う理由があるんですか?」

ノートを出してない子はそもそも文字が書けない子

なんじゃよ」

亀子「ええー!小学校一年で文字が書けない?」

ウ仙「実はこの子達は海の上で暮らす遊漁民の子たちでな。担任教師の話によると、漁で生活している家庭で暮らしていて、言語能力が低いらしいんじゃよ」

亀子「驚きでした」

ウ仙「その後、6年生のクラスを見学に行くと、遊漁民の子たちは中学校に進学しないという話を聞いたんじゃ」

亀子「どうしてですか?」

ウ仙「漁をして生活するなら、早く経験を積んだほうがいいことと、中学校の授業についていくだけの言語能力がないからじゃそうじゃ」

亀子「遊漁民の子たち以外はみんな中学校に進学するんですか?」

ウ仙「ここはフィリピンでもインドネシアに近い島なんで、イスラム教徒の子どもたちも多い学校なんじゃ。イスラム教徒の子たちはコーランを読むためにアラビア語を身に付けないといけないし、現地はビサヤ語という言語を母国語にしておる。またフィリピンは公用語として英語とタガログ語を話すので、この辺のイスラム教徒の子たちはテトラリンガル(4か国語話者)なんじゃよ」

亀子「数学者のピーターフランクルさんみたいにいっぱいしゃべれますね」

ウ仙「それでも

中学校に進学できるかどうかは、母国語のビサヤ語の能力で決まる

と言っておった」

亀子「テトラリンガルでも、中学校に進めないことがあるんですか?」

ウ仙「そうじゃ。だんだんと勉強内容が複雑になっていくが、それは

母国語で思考するから、その母国語の能力がないとついていけなくなる

からなんじゃよ」

亀子「シビアな世界ですね」

ウ仙「しかしこれが世界のスタンダードなんじゃよ。

言語能力で学年や学歴が決まる

んじゃ。逆に8歳という年齢でも言語能力で6歳児の1年生クラスに入れられるということも往々にしてよくあることなんじゃ。これはバングラデシュのプレスクールを見学した時の写真なんじゃがな」

バングラデシュのプレスクールの授業風景

亀子「身体がひと際大きい子がいますね」

ウ仙「言語能力に合わせたクラスに入れられるんじゃよ」

亀子「それは先進国でもそうなんですか?」

ウ仙「それは後編でやろう」

亀子「お願いします」

こうして亀子はレベルが上がった。

ノートを机の上に出さない子は文字が書けない

中学校に進学できるかどうかは、母国語の能力で決まる

母国語で思考するから、その母国語の能力がないとついていけなくなる

言語能力で学年や学歴が決まる

の4つを覚えた。(後編につづく)


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