ブックレビュー 『EVショック ガラパゴス化する自動車王国ニッポン』
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電気自動車(EV)について勉強しようと、高橋優さんの『EVショック ガラパゴス化する自動車王国ニッポン』を読みました。2023年2月6日に出版された小学館新書です。
著者の高橋優さんは1996年生まれで、EVネイティブを自称されています。なんと、電気自動車の運転経験しかないそうです!
YouTubeのチャンネルも開設されています。
世界の自動車産業が電気自動車(EV)にシフトしつつある現状と、これまでの経緯が説明されており、大変勉強になりました。忘れないように印象に残った部分をメモしておきたいと思います。
2022年時点で、市場ごとのEV販売数の割合は、アメリカが5%、ヨーロッパ全体で15%、中国では20%、日本は1%(p.44)だったそうです。日本の市場ではまったく電気自動車が主流ではないことに今更ながら驚きました。
しかしながら、世界初の量産EVは「たま電気自動車」で、開発したのは東京電機自動車(現日産)で、1947年に発売されていました。当時は深刻な石油不足であり、戦争によって工場も破壊されていたことから、電力供給に余剰があり、政府がEV自動車の生産を推奨していた(p.45-46)という事情があったようです。
2014年頃は日産のリーフがEVのグローバルの販売台数でトップを維持しており、第一位がパナソニック、第二位がASEC(日産とNECの合弁会社)
バッテリー市場でも、日本のメーカーが世界の市場をリードしていた(p.47)そうです。
2015年にEV販売台数で日産リーフがテスラからトップを奪われ転落し、カルロス・ゴーン氏がEVの生産縮小し、バッテリー工場の計画も中止にしてしまった(p.51-52)そうです。10年も経たないうちに、世界の勢力地図が大きく変わってしまったことに驚きを感じます。
そして、EVの要となるのが、内燃エンジンに代わるバッテリーで、LFPバッテリーは、地域に遍在するニッケルやコバルトではなく鉄とリチウムを使用するため、調達リスクの低減できるそうです。それだけでなく安全性と耐久性もあり、発火リスクも低く、中国のEVメーカーであるBYDは自社のバスで使用している(p.126-127)そうです。
ただ、トヨタとパナソニックの合弁会社で車載用バッテリーの開発・生産を手掛けるプライム・プラネット・エナジー&ソリューションズ(PPES)はLFPバッテリーの生産はしないと発表しており、著者の高橋さんは日本のメーカーが安価な次世代バッテリーの開発競争についていけないのではないか(p.131)と懸念されています。
自動車産業は日本の基幹産業であり、規模が大きいだけに、すぐに変化することが難しいのかもしれません。とはいえ、世界のメーカーの動きはものすごいスピードで変化しており、また無人自動運転が可能となれば社会全体を大きく変化させるインパクトがあるのだと思われます。
先日、東京ビッグサイトで行われたネプコンではBYDのバスの自動運転のデモ機が走っていました! すごい時代になるとわくわくしています。
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