清宮克良 アジアビジネス入門ジャーナリスト

毎日アジアビジネス研究所長。「アジアビジネスを左右するのは政治である」との考えのもと、アジアと日本、そして地方のビジネスやイノベーションのネットワーク化を使命として情報を発信している。毎日新聞社政治部からワシントン特派員、執行役員国際事業室長を経て現職。北海道出身。

清宮克良 アジアビジネス入門ジャーナリスト

毎日アジアビジネス研究所長。「アジアビジネスを左右するのは政治である」との考えのもと、アジアと日本、そして地方のビジネスやイノベーションのネットワーク化を使命として情報を発信している。毎日新聞社政治部からワシントン特派員、執行役員国際事業室長を経て現職。北海道出身。

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    Withコロナ時代のアジアビジネス入門58「ゴールデンカムイと<智慧の庭>」@札幌「テレサの森」物語(6)

    天から役目なしに降ろされた物はひとつもない  「週刊ヤングジャンプ」(集英社)に2014年から連載された『ゴールデンカムイ』が2022年4月28日に全314話で最終回を迎えた。野田サトルによる明治末期の北海道と樺太(サハリン)を舞台に死刑囚が隠した金塊をめぐるストーリーである。単行本全31巻で発行部数は2000万部を超えている。  単行本の表紙カバーの袖のところにはアイヌ語の言葉が毎巻書かれている。  <カント オロワ ヤク サク ノ アランケプ シネプ カ イサム

      • Withコロナ時代のアジアビジネス入門57「ニセコ町の共感資本社会と利他の思想」@デジタル経済と哲学(5)

         政府与党はWeb3(ウェブスリー)を日本の成長戦略の一つに据える。テクノロジーをめぐる論議が先行する中で、非中央集権で自律分散型のブロックチェーンを生かした経済社会とはどういうものなのか。共感資本社会を目指して非営利株式会社eumo(ユーモはEudaimonia持続的幸福の略。本社・東京都港区)を運営する新井和宏・代表取締役に経営哲学を聞いた。 SDGs未来都市ニセコ町に移住 --北海道ニセコ町に移住しましたね。  新しい芽はテクノロジーとともに実体経済のプレーヤーがいなく

        • Withコロナ時代のアジアビジネス入門56「襲撃事件と中間層の崩壊」@ルサンチマンの標的は<時代性>か

          大きな喪失感とリアリティのなさ  参院選の開票直後にNHKは「自民・公明で改選過半数は確実」「改憲4党で3分の2議席を上回る」の速報を流した。  2日前に安倍晋三元首相が奈良市内で街頭演説中に銃撃されて死亡した。  安心・安全の日本で起きた凶行に大きな喪失感はあるがリアリティはない。  容疑者は特定の宗教団体名を挙げ、「母親が団体にのめり込んで破産した。安倍氏は団体を国内で広めたと思い込んで恨んでいた」と供述しているという。  今回の襲撃は個人的な恨みだけなのか。そうは思わな

          • Withコロナ時代のアジアビジネス入門55「<錦鯉>デジタルアートと世界観」@デジタル経済と哲学(4)

            経産省若手の抽象的概念的なイメージ  自民党のNFT(非代替性トークン)政策検討PT(平将明座長)が4月、岸田文雄首相にWeb3(ウェブスリー)を日本の成長戦略の柱に据えるように提言した。最近のWeb3の盛り上がりはインターネット黎明期のウィンドウズ95が出た1990年代半ばの様相を呈する。経済産業省の蓮井智哉大臣官房審議官にインタビューにしたところ、Web3の「世界観」という言葉が出てきたのが印象的だった。 --Web3はじめ、関連するブロックチェーン、NFT、DAOは具体

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            Withコロナ時代のアジアビジネス入門54「チャップリン映画と<チュプキの風景>」@札幌「テレサの森」物語(5)

            「街の灯」から「シネマ・チュプキ・タバタ」へ  「街の灯」(まちのひ、1931年)はチャールズ・チャップリン主演監督によるコメディ映画である。目の不自由な花売り娘に恋するホームレスの姿を描いている。YouTubeで見ると、無声映画ながらも流れる音楽が2人の心情を奏でているようで、弱者への優しい眼差しが感じられる名作だ。  「街の灯」の英訳は「シティ・ライツ」。「街の灯」という無声映画の感動を目の不自由な人々にも伝えたいとの想いから「シティ・ライツ」の名称をつけた団体がある

            Withコロナ時代のアジアビジネス入門53「伊藤穰一NFT論<本物であること>」@デジタル経済と哲学(3)

            伊藤氏<NFT=人間の純粋な部分と相性がいい>  伊藤穰一氏の新著『テクノロジーが予測する未来web3、メタバース、NFTで世界はこうなる』(SB新書)を読んで次の言葉が印象に残った。 <物理的にどうかではなく、「本物であること」というかたちにならない価値、ノン・ファンジブルな価値をトークン化し、取り扱い可能にしたものがNFTです。本物を選ぼうと偽物を選ぼうと、物理的にはほとんど何も変わりません。変わるのは自分の気持ちです。NFTは、そんな僕たち人間の純粋な部分と相性のいいト

            Withコロナ時代の北海道ビジネス入門⑦「黒船ペリーも驚く北大祭ホタテカレー」@湧別町未来づくり担当課(2)

            ペリー来航がきっかけのホタテの学名  黒船を率いて江戸湾浦賀沖に姿を現したペリー提督は日本に開国を迫ったばかりでなく、寄港した函館からホタテの本種を持ち帰って一行の一人が学名をつけたことを遅ればせながら初めて知った。  <江戸時代末期の1854年にペリーの率いるアメリカ艦隊が来航した際に函館から本種を持ち帰り、Patinopecten yessoensisとして1856年に新種記載された。ラテン語でpatinoは「皿」、pectenは「櫛(くし)」、yessoensisは

            Withコロナ時代のアジアビジネス入門52「カンボジア・デジタル通貨と非<アナーキー>思想」@デジタル経済と哲学(2)

            ビットコインやフェイスブックの思想と相違  日本のスタートアップ企業「ソラミツ」(東京都)はカンボジアの中央銀行デジタル通貨システム「バコン」を開発し、現地で定着化を図っている。岸田文雄首相が5月5日、訪問先の英国ロンドンの金融街シティで講演し、デジタル人材、イノベーション、スタートアップ、グリーン・デジタルへの投資を柱とする「新しい資本主義」の指針を発表したのを機に、先進的な取り組みをしている同社の宮沢和正社長にデジタル経済の未来について話を聞いた。  インタビューの中で「

            Withコロナ時代の北海道ビジネス入門⑥「カーボーイ精神のDNAと高校魅力化」@湧別町未来づくり担当課(1)

            安彦良和漫画に登場する「湧別浜」  『機動戦士ガンダム』の作画監督である安彦良和さんの漫画作品に『王道の狗(いぬ)』がある。明治時代中期から末期の日本、清を舞台に、秩父事件から日清戦争、辛亥革命までの東アジアの歴史と、それに翻弄された人々の運命を描いた壮大な全4巻の作品である。   この物語は次の場面から始まる。  自由民権運動が過激化の果てに衰退し、国会開設・憲法発布が目前に迫った明治20年代初頭、北海道の開発は転機を迎えていた。農民運動「秩父事件」を支援して重罪犯として北

            Withコロナ時代のアジアビジネス入門51「<NFTとホワイトペーパー」@デジタル経済と哲学(1)

             ロシアによるウクライナ侵攻は戦後体制の大きな転換点になり、今後、民主主義体制、権威主義体制そのものがその正当性が問われる時代になるだろう。アリストテレス政治学を学ぶ東京逍遙塾の荒木勝塾長(岡山大学名誉教授)は、そのいずれの体制理解も、まずは「国家とはなにか」が問われると指摘する。  アリストテレス政治学の第一巻第一章に「国はもろもろの共同体のうち最高のもので、その目的として最高の善を求める」とある。果たして、今日、政治は何をしなければいけないのか。 新人議員が「NFTホワイ

            Withコロナ時代のアジアビジネス入門㊿「K-POP<BTS>と韓国大統領選」@駐日韓国大使インタビュー

            韓国コンテンツは騎馬民族DNAで世界へ挑戦  K-POPのBTS、「イカゲーム」、「愛の不時着」、「パラサイト半地下の家族」など日本でも人気のある世界的な文化コンテンツが韓国で生まれる背景は何だろうか。  2月1日に日本と韓国の間で初めての経済連携協定となる包括的経済連携(RCEP)が発効され、姜昌一(カン・チャンイル)駐日韓国大使にインタビューする機会があったので、韓国の文化コンテンツについて聞いてみると、次のような印象深い答えが返ってきた。  「韓国人はもともと騎馬民族の

            Withコロナ時代のアジアビジネス入門㊾「<ウクライナ愛>溢れるポーランド」@歴史からの視点

            ポーランドに避難する歴史的な理由  ロシア軍の本格侵攻でウクライナからポーランドに避難する住民が増えている。ウクライナの原型とされるキエフ・ルーシが起源のキエフ大公国(9~13世紀)はモンゴル帝国に滅ぼされ、その後、ポーランド・リトアニア共和国に支配・分割されるなど歴史の変遷を辿った。  <「自由と夢物語の魅惑の地」、「御伽噺から抜け出たような光景」、「狂おしいほどに彩り豊かな国」。十九世紀ポーランドの画家たちが、この上ない賛美の言葉を献じたのは、ウクライナであった>  『ウ

            Withコロナ時代のアジアビジネス入門㊽「ウクライナ侵攻とサハリンの少女」@思想からの視点

            キエフがルーツのサハリンの少女  ロシアがソビエト社会主義共和国連邦(1922年~1991年)の頃、初めての海外旅行で極東のハバロフスクからモスクワに向かうシベリア鉄道の車中、サハリン出身の少女に出会った。外の景色は延々とシベリアの雪原が続く酷寒の2月。彼女と同じコンパートメントだったので話を聞くと、これから専門学校に入学するため、ロシア中部の工業都市・ノボシビルスクに向かうという。そして、彼女のお父さんは医者でウクライナのキエフからサハリンに移り住んだと訥々(とつとつ)と語

            Withコロナ時代のアジアビジネス入門㊼「緊迫するウクライナと<正教会>の相克」@宗教からの視点

            祈りの意味と「平和」の大切さ  東京都目黒区と品川区にまたがる「林試の森公園」にはケヤキやポプラなどの巨木が生い茂る。ほど近くの静かな住宅街にポドヴォリエ「聖アレクサンドル・ネフスキー教会」(ロシア正教会モスクワ総主教庁駐日ポドヴォリエ)がある。ポドヴォリエはロシア語で旅籠を意味し、ロシア正教会の教会兼出張所にあたる。同教会には在日ロシア人だけでなく、ウクライナ、ベラルーシなど正教を主な宗教とする信者も訪れ、厳かな雰囲気の中で祈りを捧げるという。  一方で、本国のロシアとウク

            Withコロナ時代のアジアビジネス入門㊻「風の谷のナウシカと<音楽の風景>」@札幌「テレサの森」物語(4)

            もっとも大切なものは音楽と詩  漫画版「風の谷のナウシカ」(宮崎駿、徳間書店)の最終巻の7巻には、トルメキア王(ヴ王)に寄り添う小柄な宮廷道化師(道化)に墓所の神霊が憑依し、ナウシカに次の言葉を投げかける場面がある。  私達の知性も  技術も役割をおえて  もっとも大切なものは  音楽と詩になろう  世界を見渡せば、いまだにコロナ感染の収束の兆しが見えない中で、果たして音楽と詩はどのような意味を持つのか。  そのことを札幌市南区真駒内郊外で始まった「テレサの森」プロジェク

            Withコロナ時代のアジアビジネス入門㊺「西田幾多郎<禅の風景>と設計思想」@札幌「テレサの森」物語(3)

            「スタジオ・シンフォニカ」  札幌市南区真駒内郊外の<山全体の構想>をデザインした建築家(一級建築士)、畠中秀幸さんは「テレサの森」プロジェクトのプロデューサーである。畠中さんは札幌で建築設計・音楽企画事務所「スタジオ・シンフォニカ」を設立し、「音楽のような建築を、建築のような音楽を」を目標に、人々が集う空間づくりを目指してきた。  所有者である園芸療法士、石山よしのさんが尊敬するマザーテレサの理念を反映させようと思い描いたプロジェクトに共鳴しデザインした<山全体の構想>には