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ビジネスモデルにストーリーを与えよ

「我々中小企業は、これからどのようにして生き残っていくべきでしょうか?」

私が一番お聞きする質問かもしれません。

私は答えます。

「吹けば飛ぶような事業をしている中小企業は、他社に吹かれないようにする工夫をしければならない。」※言い方が失礼です。すいません。

「では、どのように吹かれないようにすればいいですか?」

私は答えます。

「それは、あなたのビジネスにストーリーを作ることですよ。」


今回は、中小企業の事業を存続させていくために必須のストーリー作りについてお話していきます。


ストーリーとは何か?

ストーリーとは何でしょうか?

もちろん、英語の通り「物語」です。

ビジネスに物語を作るとはどういうことなのでしょうか?


まず根本的な話として、多くの中小企業が提供する商品やサービスは、その企業独自の商品やサービスで他社ではどこも提供していないものかというとそうではないと思います。

おそらくこの記事をお読みのあなたのビジネスも、商品やサービスそのものに着目すれば、ごくごく普通のものではないでしょうか。

例えばスマートフォン1つをとっても、アップル社のiPhoneは唯一無二の商品だという人もいれば、しょせんスマホの1種類であって他のスマホでも代替可能だという人もいるでしょう。

あのiPhoneですら、世界中で唯一の独自の商品だと全員が思っているわけではない。

ともすれば、あなたのビジネスがどのような商品・サービスを取り扱っていようが、その提供する「モノ」自体に他社と大きな違いなど無いということは間違いない。


では、お客様は何をもってあなたの商品やサービスを選択しているのでしょうか?

あなたから商品やサービスを買ってくれるお客様は、あなたに何を求めてその商品サービスを買ってくれているのでしょうか?

便利さ、機能、安さ、人の好さ、安心感、いつも買ってるから、なんとなく。

きっと理由は様々。

では逆に、あなたは、あなたの商品・サービスを通じてお客様に何を提供したいのですか?

笑顔?満足感?お得感?安心感?


例えば、あなたが小さな可愛い笛を売っている雑貨屋さんだとします。30歳のママさんが2歳になる娘にその笛を買ってあげることを想像します。その2歳の娘が笛を吹くと家族が笑う。その家族を見てまた娘も笑う。楽しい家族の会話の糸口となる笛。そのためには、2歳の女の子の手に合うサイズでなくてはならない。2歳の子供の健康を考え天然の素材の塗料の物を選びたい。料金は30歳のママがふと手に取ってくれる価格帯でないといけない。その笛の周りには同じく「家族の会話」に続く物語が込められた雑貨が置かれていく。

そう、あなたがあなたの商品・サービスにどのような物語を込めてお客様に提供しようと考えているのか?

あなたの描く夢やビジョンを、あまたが作る商品に詰め込んだとしたら、お客様のどんな物語が頭に浮かびますか?

これが「ストーリー」なのです。


機能自体は他のスマホと大体一緒だとしても、あのiPhoneが醸し出す独自の世界観は、他と一線を画す部分があるかなと感じる方は少なくないはずです。

それは良質なデザインと言うだけではない、iPhoneだけの強烈なストーリーが世界中のユーザーを虜にする理由ではないでしょうか。


ストーリーを与える

中小企業が生き残っていくためには、「吹けば飛ぶ」ビジネスを、誰にも「吹かれないように」継続していくとても難しい選択です。

どのように吹かれないようにするか?

「模倣されないようにする」のです。

どのように模倣されないようにするか?

そうです、答えは「ストーリー(意味)」です。


その商品やサービスから享受する便益(便利さ)は、その商品サービスと同じものを他社で購入しても受けることができます。

しかし、その特定の商品サービスが発するストーリーがきちんとお客様に伝わるようになっていれば、お客様があなたの会社から商品サービスを購入する目的が1つ追加されます。

「ストーリー(意味)」に共感したいという感情です。


お客様は商品・サービスそのものだけでなく、例えば、

・その石鹸に込められている天然由来の物語に共感したAさんは、その石鹸を利用することで、その共感した物語に自分自身のライフスタイルを触れ合わせることで自己承認を行える
・Bさんはそのレストランで提供されるおいしい食事を楽しむだけでなく、誕生日や結婚記念日を思い出のレストランで祝うという体験ができる

与えられたストーリーに触れたいから、あなたの商品・サービスを継続的に利用したいと感じるのです。

そして、そのストーリーは他社が簡単に模倣しようと思っても模倣できるものではありません。

利用者が感じるストーリーは受け手により実に多種多様であり、またそのストーリーの形成には一朝一夕では築き上げられない膨大な時間が必要なためです。


「いいお客様」を見つける

では次に、そのストーリーをもった商品・サービスをどのようなお客様に提供すべきか。

中小企業が生き残っていくための2つ目の条件。

あなたのビジネスに付加されたストーリーが圧倒的な支持を得られる、真っ青な小さな池を探しましょう。

あなたのストーリーを熱狂的に支持してくれるファンが多くて、他社が参入しようと思わせないほどの強固な関係が築き上げられている池。

ビジネス的に説明すると、

「いい商品(サービス)」 × 「いいお客様」

いい商品やサービスを作っているだけではだめで、本当にそれを求めてくれて感謝してくださるお客様。他の人に紹介してくださるお客様。多少高くても買っていただけるお客様。

このような「いいお客様」を多く見つけることも小さな事業を続けていく条件です。


例えばこんな体験談があります。

私は映画が好きで、昔は家の近所にも小さなレンタルビデオ屋さんがそれなりにあって、私は毎週そのレンタルビデオ屋さんに行って「どんな映画があるかな」「新しい新作はあるかな」と心を躍らせて通っていたものです。

しかしある時期から街のレンタルビデオ屋さんがことごとくつぶれていきました。

大手レンタルビデオチェーンが、その圧倒的なラインナップと品質で街の小さなレンタルビデオ屋さんを駆逐していきました。

そして時代が代わり、ビデオもDVDが主流となり、私も大手レンタルDVDチェーンでレンタルするのに抵抗が無くなってきました。

そして今、何が起きているか。

この数年で、Amazonプライムやネットフリックスといった動画配信サービスを使って、月々数百円程度でレンタルDVDを借りてこなくても映画を見られる時代がやってきました。

あっという間に映画はDVDを借りるのではなく、家でデジタルで鑑賞する時代になりました。

あっという間に、私の街の大手レンタルDVDチェーンは撤退しました。

便利さで言えば、動画配信サービスに圧倒的に差を付けられた結果でしょう。


しかし一方、同じ業態で今でも生き残っているお店があります。

小さな小さなレンタルDVD屋さんですが、店主が作品を選んで選抜された作品だけを扱っているお店です。

同じ作品は動画配信サービスでも見ることはもちろんできます。

ですが、来られるお客様は狭い店内を一通り嬉しそうに作品を眺め、店主が選んだ作品に付いている汚い文字で書かれたポップを隈なく読み、時として店主と語らい、そして借りていきます。

この時、お客様は何を購入しているのでしょうか?

そうですね、映画という作品と一緒にその「選ぶ」という体験を買っているのではないでしょうか。

これはAmazonやネットフリックスで体験できない価値なのです。


ストーリーを与え、いいお客様に売る

ここまでを整理すると、

①商品・サービスにストーリーを与える
②そのストーリーを求めている、いいお客様に売る

ことで、中小企業でも圧倒的に強い事業を構築することは十分可能と思っています。

これを実践していただくことで、営業コストも抜群に下がり、高い利益率を維持することができるため、ビジネスからだいぶストレスを軽減することができます。

ここをもっと深堀したい方は、「ビジネスモデルとLTV」をお読みください。事業の飛躍の仕組みについて、だいぶ理解が深まると思います。


※この記事は、以前に書いた「「いや、売上3億円もいらないけど30年継続するような事業をやりたい」という経営者様はこちら▶」という記事を、ストーリーという観点から再編集した記事です。


経営お役立ちコンテンツ「となりのブレイン」

いかがでしたでしょうか?

となりのブレインでは、中小企業の事業を飛躍させる仕組みづくりに特化したメソッドを体系的に無料公開しております。

今回は、事業の飛躍に必要な3つの要素のうち、ビジネスモデルについて、ストーリー作りという観点から切り込んでみました。

成功する経営の方程式 (1)


少しでもお役に立てた部分があれば幸いです。

今後も色々な角度から事業を飛躍させる仕組みについてお話していきますので、よろしけばフォローをお願いします!

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