利益なんていらない
最近よく考えるのです。
「私たちは何のために利益を出し続けるのだろうか?」
今回はこんな疑問について、下記のいくつかの観点から利益の正体を探ってみたいと思います。
利益はいらない
いや、企業には内部留保が必要で将来のリスクや投資に備えて~という、ありふれた税理士や公認会計士の声を聞いても、何か嘘くさいなんて感じるようになったりしました。
例えば、サービス業の社長に聞いてみます。大きな投資など必要ない御社において、利益を貯めて内部留保を蓄えていったところで、これをどのように将来使うつもりなのかと聞くと、特に明確な回答が得られることは多くありません。
「まあ何があるかわからない世界ですからね」この程度の回答です。
上場企業では税引き後利益の約2~3割を配当と言う形で株主に還元します。また、上場企業では現預金を多額に持ちすぎていると、新しい投資に回すべきと株主に怒られます。過度な保守主義は投資家からすると悪なのですね。
弊社のお客様で、やたらと利益率の高い事業を展開されているIT企業は、役員たちでその利益の大部分を翌期の役員報酬で分配しているところもあります。ちなみにこの企業は上場は考えていません。
SNSで見た税理士は、税理士法人の利益率5%を超える部分は全て従業員と役員に決算賞与で分配すると言っています。
このように考えていくと、経営者にも一定数、利益というものに疑問をいただいている方がいるのがわかります。
そうそう、大きな投資などが不要な安定した事業であれば、利益を残して高い税金を払うってことに疑問を持つことは、むしろ自然なことだとも思うわけです。
「いや、納税は国民の義務。納税することで社会的な欲求を満たせばいいではないか」というお声に対して「そのとおりだ」と返せるような聖人君子はどれほどいますでしょうか。
利益は未来へのチケット
と、公認会計士として、もしくは一経営者として、色々と思いを巡らせていくと、下記のような考えも出てきました。
上記のとある税理士法人の話ですが、利益の5%以上は翌期に残さず分配していくという考えを聞くと、今の事業が未来永劫続いていくことを前提としているような、割り切りと言うのか、個人的には一種のつまらなさを感じたりする部分もあります。
「現状が最適」という前提の上で成り立っているような気がしてならないのです。
今ある事業のまま、このまま30年間続けていくのは非現実的だということを、私は繰り返しお話してきました。
とすれば、私たち経営者は、未来を構想して新しい事業や組織を常に作り替えていく責任を負っているのです。
組織と言うものも事業と言うものも、生き物であり、常に変化し続けていきます。
例えば、弊社のような規模の企業になってくると、ただ売上を作っていけば組織が大きくなっていくわけにもいかなくなります。
社内の管理に時間とコストをかけて会社が空中分解しないようにしないといけなくなります。
その時には、利益があるからこそ、ここに時間とコストをかけられるのだと実感します。
他にも、最近弊社ではRPAによる業務改善に力を入れていて、この開発にもそれなりの費用がかかっていますが、これも全て利益を出せているからの挑戦であります。
弊社には、RPAのような試験研究的な位置づけのプロジェクトが複数あります。
失敗してもOK、というか失敗前提のプロジェクトです。
こんなことを考えていて、私は一つの結論に至ります。
今ある事業のまま、このまま30年間続けていくのは非現実的です。
とすれば、私たち経営者は、未来を構想して新しい事業や組織を常に作り替えていく責任を負っているのです。
その意味で、利益を生み出していくということは、自分が将来成し遂げたい未来を実現するためのチャレンジの機会をもらえるチケットなのだと思うのです。
逆に言えば、経営ビジョンがないのであれば、あまり利益なんて必要ないのかもしれません。
数年後の自分の引退と同時に事業閉鎖が決まっている、まあなんとなく事業を続けているくらいで満足している、といった経営者様は税金を払ってまで利益を出していく必要はないと言っても過言ではないかもしれません。
それほど、企業にとって経営ビジョンというものは大事なのだと、私は思います。
私もたくさんの失敗をしてきましたが、この失敗に耐えられうるのも利益のおかげ、失敗するかもしれない事業にチャレンジさせてもらえるのも利益のおかげ、たくさんのスタッフの人生を預かれるのも利益のおかげ。
企業の営みはの源泉は、お客様から頂く売上であり、それを活用して生み出す利益です。
未来への投資可能枠
では最後に、未来を創るチケットとしての利益を貯めていくとして、その利益をどの程度投資に使っていいかというお話をします。
事業や組織は生き物であり、これを維持するためにも資金が必要となります。
つまりは、あり金全てを未来に投資してしまっては、事業は存続できなくなってしまいます。
今と未来のバランスを考えながら、両方への投資を行っていかなくてはなりません。
先日、社内の研修においてこんな話をしました。
企業の投資可能額の計算式は下記で成り立ちます。
①金融資産
ここで言う金融資産とは、主に現金預金と言う認識で十分です。
②当面の所要運転資金
所要運転資金とは、企業が通常の営業活動を行うにあたって必要となる経常運転資金の金額を計算したものです。
③予見されるリスクに対応可能な資金
この概念は私が勝手に言っている概念なので検索しても出てきません。
ここまで考える必要があるのかは、私の中でもまだ結論付けできていない部分もあるのですが、ただ、上記の②所要運転資金以外にも、積極的に活用できる資金を計算する以上は、ある程度のリスクに対応できる資金は残しておきたいのも本音です。
一方で保守的になりすぎてしまうと、資金をうずめてしまうことになりますので気を付けましょう。
計算の目安を下記に示しておきますが、企業の置かれた状況や業種によってもまちまちだと思いますので、一つの参考程度に考えてください。
このように計算された「積極的に活用可能な資金」を活かして、新規事業や新拠点、あるいは人員の増加や管理部の強化など、未来へのチケットを購入してもらえればと思います。
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