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キングダムから学ぶリーダー論

漫画「キングダム」(集英社)をご存知でしょうか?

キングダムは古代中国の春秋戦国時代末期における、戦国七雄の争乱を背景とした作品で、中国史上初めて天下統一を果たした始皇帝と、それを支えた武将李信が主人公である。

ウィキペディアより

このキングダムはストーリーはもちろん、登場するキャラクターのキャラ立ちがとてもよく、色々な武将が登場する中でも、自分好みの武将を探したりする人も少なくありません。

そんな中で私の今1番のお気に入りは、秦国大将軍である「麃公(ひょうこう)」です。麃公は秦国の大将軍の一人で、「本能型」の将軍として、自ら先頭に立って敵を攻め込むタイプの男です。

キングダム(集英社)30巻表紙

ここで出てきた「本能型」というのが今回のお話のメインテーマ。

このキングダムの中では2種類の武将が登場するのですが、これが「本能型」と「知略型」の武将。

経営にも同じことが言えて、経営者にも「本能型」の経営者と「知略型」の経営者がいます。

果たして現代の経営において優れているのは本能型か理略型か、というお話です。


キングダムにおける本能型と知略型の違い

秦国と魏国の戦いとなる蛇甘平原の戦いにおいて、本能型と知略型のとても印象深い戦いがあります。

秦国の将軍である「本能型」の麃公と、魏国の将軍である「知略型」の呉慶(ごけい)の戦いです。

キングダム(集英社)7巻

本能型の麃公は、策を講じて攻めるよりも戦場の空気や相手の表情などから直感で戦術を見出して突撃していきます。そして何より印象的なのは将軍自ら先頭に立って敵陣に攻め入るのです。通常では将軍が先頭に立ち攻めるなどあり得ない話です。敵に将軍が討たれてしまえば、それでその戦は終わったも同然となるので、通常はそんなリスキーなことはしません。しかし、麃公はあえて先頭に立つことで兵を奮い立たせ、現場の空気や匂いなどから戦局を動かしていこうとするのです。

キングダム(集英社)7巻

一方、知略型の呉慶は、戦術を念入りに練り、兵を将棋の駒のように動かすことで戦局を有利に進める天才で、自ら先頭に立って刀を握るようなことはしません。

ここで2人の将軍の性格を的確に表現したセリフがあります。

呉慶は戦を理詰めの盤面ととらえる
一方 藨公さんの戦は燃え盛る一つの大炎

キングダム(集英社)7巻 王騎セリフより

呉慶が戦場全体を見渡しまさに碁盤のように見立てて戦術を立てていくのに対して、麃公は戦場のどこに炎が立っているのか、立っていなければどこで火をつけるべきなのかをとらえて動いていく、まさに本能に駆られて動くタイプです。

このような違いがあり、戦場の中では麃公のような本能型は、
・策も無く動くため多くの兵が犠牲になり失敗することが多い
・将軍自ら先頭に立つというリスクは計り知れない

などの理由から、あまり好まれません。
(注)ただし麃公ほどの将軍となれば桁違いの力により、その不利も覆してしまうのですが。。

現代経営における本能型と知略型の違い

さて、現代の経営者にこの2者を置き換えてみるとどうでしょうか?

私も最近ブログの中で、経営に必要なのは直感か理屈かということをよく書きます。

経営に理屈が必要か?と聞かれれば「必要です」と答えます。

先日も、社長のお人柄だけで事業を拡大してきた社長に会いました。若くてとても明るく、ざっくばらんな性格なので誰からも愛される人です。誰からも愛されるから、仕事もどんどん増え、スタッフもどんどん増えています。

ですが、ある時から会社の歯車がおかしくなりました。

債権管理が甘いから資金繰りが行き詰まる。支払い漏れが続出する。従業員の不正が発覚する。品質低下でクレームが増える。。

会社はその成長の過程で、車に例えるならハンドルとブレーキを手に入れないと成長カーブを曲がり切れずに衝突する危険をはらんでいます。

経営者はアクセル。特に本能型の経営者などはブレーキなど持ち合わせていません。

そうしたときに、その成長の急カーブを曲がり切れるかどうかは、会社に仕組みを導入することが必要です。それは管理してくれる人であったり、仕組みであったり様々ですが、要はこれを理屈と言いますね。

感覚だけでの経営で、事業を回していけないのは周知の所だと思います。

例えばよくある組織コンサルなどの話を聞くと、要は組織を大きくしていく上では社内に仕組みを導入する必要があると言います。例としては「社長はマネージャーを飛び越して若手に指示を出してはいけない。(なぜなら指示命令系統が複数から飛ぶと誰の指示に従えばいいかわからなくなるから)」といった仕組みづくりや「社長は会議に出てはいけない(なぜならみんな社長の意見しか聞かず、自分の意見を出さなくなるから)」といった仕組みづくりなどを上げてくれます。

確かに、組織をより強固にしていくためには必要なことだということは理解しています。

私も経営者としてこの数年、この手の考えを取り入れて悩みながら会社を経営してきたところがありました。

ただなんとなく腑に落ちないところがありましてモヤモヤしていました。


逆に知略だけ、つまり理屈だけで経営が回るかと言えば、そうではないということも何度もお伝えしてきたところです。

理屈だけの経営は、組織が硬直化しすぎて、革新的なアイデアやスピーディな経営判断を行うことができず、中小企業としては致命傷を負います。

理屈か直感か、知略型か本能型か、この考えは現代の経営においても永遠の課題だなと感じていました。

キングダム(集英社)7巻


でもさ、やっぱり麃公がかっこいいんだよな

なんとなく自分のなかで腑に落ちなかったモヤモヤの原因を考えていたところ、キングダムを読んでいてわかりました。

やっぱり私は麃公将軍にあこがれてしまうんだということに気づいたのです。

もちろん、あこがれていても、それでも会社のためにはこの仕組み作りを徹底しないといけないと思い我慢してきた部分があります。

しかし、先日私の尊敬する経営者にこの葛藤をしたところ、こう言われました。

「そうね。たしかにそのコンサルの言うところは正しい。だけど、正しいけど、俺は好きじゃない。それじゃダメなの?その考えの先に、俺の作りたい会社の姿は見えないんだよな」

目からうろこでした。

確かに、私も経営者の端くれとして、より成長していきたい、よりスタッフのみんなが胸を誇れる会社にしていきたいという思いは今でも強いです。

そのためには仕組みをどんどん導入して会社をより強固なものにしていく、という考え自体は今でも変わりありません。

ですが、経営者の私自身まで仕組みに充て込めていく必要はないのかな、と最近思うようになりました。

私も麃公将軍のように、先頭に立って現場で指揮をとる仕事がしたい。

「社長が現場に出るようじゃ、会社の成長が止まるよ」

そんな声はすぐ聞こえてきそうですが、ここにはスタッフみんなの声が集まっていて、皆と一緒に現場のにおいや空気を感じながら、炎の付け所をを探していく。別に俺らは上場企業になりたいわけではない。なら、そんな経営もありかなーと。

敵陣の中に先頭を切って突っ込んでいく麃公将軍の姿を眺めながら、最近そんなことを考えるようになりました。

上に例に出した人柄だけで成長してきた社長。やっぱりこんな人と一緒に仕事がしたい。その社長は本能で自由に戦ってもらって、その仕組みを周りでサポートしてハンドルを握ってあげる。そんなサービスを作りたいなと思います。

また数年後、このブログを自分で見返したとき自分がどのように感じるか、楽しみです。

みなさんの炎はどこにありますか?

キングダム(集英社)30巻


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