存在しない夏に対する幻想
暑い夏の日に、肌が焦げる匂いと芝の熱気を浴びながら飲む、冷えたビール。運動後の火照った身体の内側を突き刺す苦み。文面からだけでも容易に想像がつく、倦怠感と爽快感の同居とそれに伴う矛盾。梅雨になると、近づいてきた夏を想起してこのようなビジョンが私の脳裏に浮かぶが、これらの景色はすでに述べたように矛盾であり、私の人生に実在した記憶ではない。
外で思いっきり運動をした後に飲むビールは美味いという幻想はビール好きの日本人に共有されるビジョンであるはずだが、実際にその光景を実現するこ