有名Youtuberのポケモン対戦動画は参考にならない

そういった趣旨のツイートが複数の人に見つかり、静かに話題になっていた。アシキchでも常々「バンビーやくろこの(*1)動画(*2)対戦の参考にしたいだけなら見る意味がない」と言っているので、この話題のタネについて動画投稿者という立場から見解を示していく。

結論から語ると、有名Youtuberのポケモン対戦動画は参考にする価値が低い。逆に、一番参考にする価値があるのは何かというと過疎強者のツイキャス対戦だ。直撮りだと、尚のことよい。

この「有名Youtuberのポケモン対戦動画」と「強者の直撮り過疎ツイキャス」は用益潜在力(微妙に使い方が違いそう)において対極で、情報を公開する背景に金銭(≒再生数/知名度)がどの程度目的として絡んでいるかが異なる。

有名YoutuberはYoutuberである以上、動画を投稿することでお金を稼いでいるため、現状強いポケモンの案というのを抱えていなくても生活のために動画を投稿する必要があり、動画の参考度は二の次三の次となる。

……というよりも、彼らはすでに“そんな段階”にいない。
動画を投稿することでお金を稼いで暮らすというのは口で言うほど簡単なことではなく、例えばあゆみんchの「筋トレしながらポケモン対戦」のように著しく視聴満足度の低い動画を投稿すれば、それが直結して生活が脅かされるということになる。これは自身のチャンネル再生数の盛衰を体験しているからより実感を持って言えることだが、対戦動画の内容、情報の質にのみこだわって動画を投稿するというのは収益を安定させるという意味では非常にリスクが高く、コストパフォーマンスも悪い。チャンネルの初動の段階を終え、再生数を維持/登録者の継続的な増加をさせたいという段階に至った時、必要なのは大衆受けと自身のタレント化の二柱で、それが如実に現れているのが「今日ポケch」や「ポケソル」であり、かつてのライバロリのような「ポケモンお兄さん化」でもある。もちろんこれも口で言うほど簡単なことではなく、今日ポケchが現在他方面に広く受けている現状は企画力や編集力、営業など他方面での地道な努力の積み重ねによって支えられていることは言うまでもない。(*2)対戦の参考にするだけならというのはこのことで、動画の視聴満足度に関して専業Youtuberの動画は他の動画とは比にならない。エンターテインメントとして見るなら、それこそ一般のポケモン対戦動画のほうがよっぽど見る価値が低い。

読み飛ばしてもいいコーナー(引用ではない)

今シーズンはあまりにもその傾向が顕著でさすがに笑ってしまったが、レギュレーションG一か月目の有名Youtuberの動画は要約すると、
・ミライドンが火力高くて強い!
・コライドンが火力高くて強い!
・この伝説が弱体化されて弱い!
・このマイナー伝説が意外と強い!
の四種類だけで、対戦をするプレイヤーにとってまさに見る価値のない動画があまりにも多く投稿されていた。

とはいえそうなるのも当然の流れで、そもそも「ポケモン対戦で勝つため/参考にするため」に動画を視聴するという層はYoutube利用者の全体の0.027%未満なのは間違いなく、そんな層を相手に動画を投稿するメリットは、金銭の獲得を目的とする場合あまりにも低く、ポケモンというキャラクターを見たくて視聴している層を相手にしたほうが効率がよいからだ。コライドンの火力の高さで、ポケモンを消し飛ばしている様子はたしかに爽快で気分がいいだろう。それがこだわりハチマキだろうといかさまダイスだろうと、多くの視聴者にとってはどうでもいい問題だ。

だから根本的に「有名Youtuberのポケモン動画が対戦の参考にならない」というのは「TOEICで高得点を取りたいのに英語の絵本が参考にならない」と言っているのと近しいぐらい的外れなことだ。TOEICで高得点を取りたいならTOEICの参考書を読むべきで、“英語が使われているうえにたくさん売れているから”といって海外児童向けの英語の絵本を手に取り参考にならないと嘆くのが、どれだけ見当違いなことかは分かるだろう。この場合、ある種の高いインプット能力を持つ人間にとっては「英語の絵本」が「TOEICの参考になりうる」というのがポケモン動画の一面に即していると思う。

この例え、分かりやすくなってるか?(引用機能を使用しているが引用ではない)

有名Youtuberに関しては上述の通りだが、ではその対の極地にいる“強者の直撮り過疎ツイキャス”が一番参考になるというのはどういう意味かというと、これはすなわち今までの話と真逆で、そのコンテンツを見せることで発生する金銭や知名度といったメリットを一切享受する気がないというのがまず一点上がる。

Youtubeより収益獲得が難しいツイキャスをわざわざ選択し、登録者数や同時接続数のハネに憧憬を持たずに配信をしているというのは、自分の対戦内容の金銭的価値に一切無頓着であるからに他ならない。
(ちょっと調べたら、ツイキャスのが収益効率は実はいいらしいが)

ポケモン対戦における情報の漏出は自身が結果を残すうえではどうしても避けたい部分であり、過疎Youtuberよりも過疎ツイキャスを上位においたのはこの“情報漏出”に対する危機感の有無がゆえだ。今時キャプチャーボードの購入の手間すら惜しんで配信するというのは最早自分の対戦を視聴している人間の存在を完全に無視していて、それゆえに“自分の構築の情報が誰かの参考にされること”、“その結果自分が勝てなくなること”に対する危機感がほぼ存在しないのと同義で、これほど有益な情報源は他にない。

とはいえ、そんな配信は検索では簡単に辿り着けず、配信頻度も低く、当然のようにアーカイブは非公開でリアルタイムで見るしかないのに、何なら配信開始のツイートすらないというのがザラで、情報源として有用であるとはいえか細く頼りないのは間違いない。なので現実的に参考にできる範囲が、まだあまり有名になっていないYoutuberの投稿動画である。

今日ポケchの実態の通り、生活のための金銭の獲得を前提とした動画では対戦の参考になることは少ないが、その規模に満たない“ポケモン界隈における知名度”や“お小遣い程度の金銭”を目的とする範囲においては、ポケモン対戦動画はかなり効率がいい。究極的な話、毎シーズン最終1桁を取れる実力があれば、二十代サラリーマンの月収程度の収入を継続して得ることは確実だ。マジでめちゃくちゃサムネ作りが下手とかなければ。

そこに満たない場合でも、例えば毎シーズン最終2桁程度の実力であっても、ある程度の収益は見込める。そして、そこを目指すに当たって安定感があるのが“対戦の参考になるチャンネル”というブランディングだ。その象徴的なチャンネルとして、しざよchを自分の認識の中心に置いているが、先述で適当に置いたYoutube全体における0.027%程度という数字でも、その需要に的確に答えていけばある程度の収益が見込める。
(ずっと収益という言葉を選んでいるが、これは適宜、界隈における知名度や影響力などと置き換えてもらっていい。“影響力”に比重を置いてチャンネル運営をしているのが、たかきおす)

ただ、ここからが大変シビアな問題で、なぜシグマchではなくしざよchを“対戦の参考になるチャンネル”という認識の中心に置いているかという話になるのだが、それはシグマchのほうが圧倒的に登録者数と再生数が多いからだ。このどちらも、対戦の参考になる動画を投稿することである程度の知名度や収益を得ているが、シグマchのレンタルパーティはしざよchのレンタルパーティよりも知名度が高く、知名度が高いということはそれだけ型バレで負けやすい。

もちろんレンタルパーティだけが情報ではないが、同じように強いポケモン、流行の型、勝てる並びなどの情報は、他者に広まっていないことが大前提だ。誰も知らない強い並びを、自分だけが知っているのが一番よい。

例えば今期シグマchが最終7位を達成したグラスシードこうそくいどう黒バド+ゴリランダーの並びは、前シーズンまでは最強に近い並びだったけれど、今期の“誰もが知っている型”になった状態では、前シーズンほどの強さは間違いなくない。自身もすでに今シーズン、構築記事を読んで参考にしたであろう人たちと数戦し、構築記事を読みながらカモにしている。だからこそシグマchではシーズン終了後にこれらの型が公開されているし、先述した“直撮り過疎ツイキャス”にはない“情報漏出に対する危機感”が十分に備わっていると言える。

引き続き前期の例を挙げるなら、自身が参考にしていて最終日三日前に瞬間一位を取っていたぬめぬめクリフとchは最終的には二百位台に落ち着いていたが、シーズン中盤に配信で複数回使用していた並びとほぼ同じ構築で瞬間一位を達成していたことが分かるため、情報量出に対する危機感が低く、そのまま参考にすることができると言える。(これはプレイングなどに自信があり、見られたからといって自身の結果に悪影響を与えないという判断などもあるかもしれないが)また、前期最終百位台のでんそんchは最終日の直前まで高い頻度で配信をし、最終的にも配信で使用していた構築で結果を残している。とはいえこれらの順位は、超上位帯に属するプレイヤーからみると不満の残る順位でもあり、配信者や投稿者ではなくプレイヤーとして見れば、シグマchのように情報を隠匿し続けることが正解なのだと言うこともできてしまう。

宣伝料は頂いておりません

さらに派生すると、シグマchは自身が最終的に使用した「ゴリランダー+グラスシード」や「こうそくいどう黒バドレックス」に関しては徹底的に箝口している。構築記事から読み解くと、こうそくいどうはともかくシード要素にはかなり早い段階で注目していたことが分かるが、それに関しても少なくとも一見して分かる動画のサムネイルにするような大々的な触れ方はされていない。こういった部分を指して、情報を視聴者に対して隠匿している=視聴者に対して不誠実であるとされ、今回のように「有名Youtuberの動画は参考にならない」と揶揄されるに至っているのだと思われる。(念のため言うと、今回見かけたツイートで、直でシグマchが批判されていたわけではない)

とはいえこれは悪魔の証明的で、では実際にシグマchがこれらの要素をシーズン終了前に公開していた場合、シグマch自身や、それを参考にしたプレイヤーが勝てていたのかどうかは判断のしようがない。そういった“判断のしようがない”はずのものに対して“結果、勝てなかった”あるいは“中盤だけ勝てた”という回答が、中盤の動画には出されてしまう。

そもそもの話、シグマさんの使用する構築やポケモンは昔からかなり独特で、直接的に参考にしたところで勝てるプレイヤーは少ないと思うのだが…

古参アピ

そして、シグマchの再生数が極端に1回だったとすると、これは間違いなく勝てる。考案者と使用者との相性やプレイング理解度などの障壁はもちろんあるが、少なくとも自身で構築を組むのが苦手なプレイヤーが、再生数1回のシグマchの動画で情報を得たなら、これは情報を得なかった時よりも確実に勝てるだろうと、確信を持って言える。

これらの話を総括すると「有名Youtuberの動画は参考にならず」「過疎強者の配信が一番参考になる」という結論を出すことができる。

今回、なぜシグマchの具体例をしつこく引き合いに出しているかというと、これは現在のポケモン動画投稿者のうち、“ポケモン対戦”を中心コンテンツに据えているチャンネルの最大のチャンネルがシグマchだと自身が置いているからだ。前述の今日ポケやポケソルの面々はすでに大衆化に向いていて、“ポケモンの動画”であり“ポケモン対戦動画”ではない。

noteって小文字化とかの機能ないですよね?代わりにこれを使っているわけですが…

とはいえ、だから「伸びている対戦動画は見る価値がない」となるのではなく、実際には多くの視聴者はそこに情報的価値がないことは理解していて、情報そのものよりもプレイヤー自身、投稿者自身の魅力に惹かれ、視聴を継続しているのだろう。

この「情報的価値がないことは理解したうえで、投稿者自身に惹かれて視聴している」の分かりやすい例は、インゲンchやあゆみんchだと思う。

アシキchはインゲンchを応援しています。

対戦の参考にすることだけを目的とするなら、そのチャンネルが伸び始めたら見るのをやめ、次のチャンネルに移動する必要がある。私自身もそのようにポケモンチャンネルを醜く徘徊するゾンビなので、みなさんが知っている参考チャンネルがあったら、こっそり耳打ちするように教えてくださいね。

↑締めこれでいいのか?

2024/06/03 23:XX追記
この「有名Youtuberの動画は参考にならない」というのは実はレギュレーションが新しくなった最初のシーズンが特に顕著なだけで、二か月目や三か月目になると話が変わる。それは何故かというと、有名Youtuberたちも構築記事を読み、他人のネタをパクり容易に動画を制作することができるようになるからだ。そんなものは構築記事を読めば済む話なので、引き続き我々にとっては無意味な動画なのだが、「わざわざ構築記事を読まない」「けど動画は見てます」の層にとっては情報の質が格段に上がり、カジュアルプレイヤーの実力の底上げに繋がっている。

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