シーズン5 備忘録

【解禁された準伝説について】
今シーズンは準伝説が解禁されたが、今作の準伝説は悪タイプであり、前期までのパラドックス環境の頂点がハバタクカミというフェアリータイプであったため、環境に大きな影響は与えることがないと判断した。

判断の時系列は前後するかもしれないが、準伝説の四体の中ではパオジアンとイーユイが抜けていて、ディンルーとチオンジェンはやや劣る印象。理由としては、パオジアンとイーユイは高いすばやさによる上からの行動と、ひるみの追加効果、情報の少ない中でのテラスタイプなどで有利を押しつける側なのに対し、ディンルーとチオンジェンはすばやさが遅くテラスを切らないと行動ができないし両者ともにパオジアンにつららおとしを選択させてしまうので、動かしづらそうだった。特にディンルーは、動けたところでやることが「ステルスロック」「ふきとばし」「カタストロフィ」とびっくりテラバーストぐらいで、処理をするのには時間が掛かるが予測不能なことは起きないため、自分の中での最終的な評価は四災の中では一番低い。

ただしこれらは、今作のテラスタルという仕様の関係上、個体数の少ない準伝説を試運転するのが非常に難しく、開拓が進みづらいことが原因であるため来期以降は一変する可能性がある。自分はシーズン5中にその段階に到達したかったが、できなかった。

〇準伝説の評価
パオジアン>イーユイ>チオンジェン>ディンルー
(「ディンルーに負けた」という試合は、じわれ一撃命中以外にない)


【環境トップの構築】
上記の準伝説の評価はシーズン中に積み重ねていったものだが、最初は今環境のトップの並びを「ハバタクカミ」「カイリュー」「テツノドクガ」「ディンルー」と残り二匹だと予想していた。

これは前期までのパラドックス環境において、トップのシェアを誇るスタンダードなパーティが「ハバタクカミ」「カイリュー」「テツノドクガ」と「クッション一枠(ヘイラッシャ)」「地面(イダイナキバ)」であったことから推測した内容だったが、シーズンが進むにつれてディンルーの評価が落ち、また、テツノドクガも自分で使った際はどことなく動きづらい印象を覚えた。後から考えれば水タイプとして採用されていたヘイラッシャが減りテツノツツミに移行した流れがあったり(*1)テツノドクガより標準で速いパオジアンの影響があったり、ハバタクカミのサイコショック搭載率の変化などがあったのだと思うが、具体的な理由は分からないままなんとなくテツノドクガが弱いように感じていた。

そこで改めて前期までの流れを構築記事で学んだところ、構築形式が二分化されていて、「こだわりスカーフハバタクカミ」「カイリュー」「クッション」を軸とした構築と、「こだわりスカーフハバタクカミ」「カイリュー」「襷」「起点作成」の要素を持った構築が多かった。特に後者は二桁中盤ぐらいの順位で好まれ、参考にするならこの辺りだという経験則から後者の構築を模倣していくことにしたが、シーズン5の中盤から異常に流行った「あまえるブーストエナジーハバタクカミ」の出現で状況が一変し、「こだわりスカーフハバタクカミ」の需要が減ったように思われた。この辺りの経緯の実態を掴んでいない(*2)が、ハバタクカミのあまえるからカイリューで舞う動きが強い一方で、その対策としてのハバタクカミのあまえるが厄介である……という状況に陥る。

自分で同様の構築を使っていても、数的不利を取り、先にハバタクカミを切ったほうが裏から出すカイリューをハバタクカミに止められてしまうという試合が多発した。特に「ちょうはつ」「ステルスロック」の展開と展開阻止を両方実現するコノヨザル入りの構築に対して、襷ないしは起点作成ポケモンを初手に出すと不利を取り、かといってカイリューを出せば「いのちがけ」、ブーストエナジー型のハバタクカミは初手に出しても弱くあまえるも「まけんき」を考えると撃てない……といった経緯から、このアプローチも自分には難しいと判断。ここで詰まっていたせいでだいぶパーティ考察が遅れてしまったが、その段階でコノヨザル入りを自分で一度も試さなかったのは完全な失敗だった。

ただしここまででハバタクカミとカイリューを使わない理由はないと感じ、その前提で構築を考えていった。この二体を使うに当たって特に障害になるのがパオジアンと、同型のカミカイリュー、そしてブーストエナジーを持ったテツノツツミ。前のシリーズを少し触っていた時も、ずっと速いハバタクカミとテツノツツミが強すぎて意味わからんと思っていたが、今期も同じ壁にぶつかった。前のシーズンをやっていないのだからそれは当然だが、その解決策としてまずは「レッドカード」による強制交代で、相手のブーストエナジーを無駄に消費させることを考えた。

その際に使っていたのが「レッドカード」型のキョジオーン軸で、これであれば相手のハバタクカミやテツノツツミ、当時はまだいたテツノドクガを引きずり出し、相手のプラン外のところでブーストエナジーを消費させることができると考えたが、裏からブーストエナジー持ちを引きずり出せる可能性は1/2であり、レッドカードを発動させてステルスロックを撒いたキョジオーンが、不利なポケモンと対面した時、実質的に裏の情報1とステルスロックを撒く程度のアドバンテージで死んでしまうことの取り返しがどうしても効かなかった。その後に考えたのが「ふきとばし」型のテツノドクガと組み合わせ、キョジオーンを生存させつつ上記の状況を再現し、さらに「ふきとばし」でまたエナジー持ちのポケモンを出す確率をあげることだったがそもそもこの二体でじめん技とみず技が一貫している関係上、役割対象であるテツノツツミがかなり重いうえにじめんタイプの処理がキツすぎるという問題を抱え、解体。

ただ、上記の構築から“ブーストエナジー持ちを出させた後に、交代をさせればいい”という発想に行きつき、ここで今シーズンの最終的なコンセプトであった「寿命の短い小規模なサイクルの形成」を目指すことに決めた。

例えばハバタクカミを一度テツノドクガなどで流すことができれば、相手のあまえるハバタクカミはただの「すばやさも低いし火力もない、耐久力が中途半端なだけの存在」に成り下がるので、二順目のサイクルでは一切の脅威にならない。さらに今環境はパオジアンとテツノツツミの強力な氷タイプに対して明確にサイクルを回せるパーツがほぼ存在しないこともあり、オボンのみなどを絡めた小規模なサイクル戦はかなり正解に近いと思った。イメージとしては、ミトムナットに近いところを目指しながら構築を考えていた。

一方で構築の完成度さえ高くなれば作業的に勝利しやすい対面的な構築も考え続け、シーズン終了一週間前ぐらいに構築を三通りに絞った。

①.襷or展開要員+ブーストエナジーハバタクカミ+最速竜舞カイリュー
・襷持ちの案はセグレイブ、イダイナキバ、コノヨザル、テツノブジン
・展開要員はディンルー、レッドカードキョジオーン、ガブリアス
・ハバタクカミはミラー意識で最速にする
・カイリューはブーストエナジー以外の135族意識で最速にする

②.ゴツメツツミ+スカーフトドロクツキ+@1
・単純にスカーフトドロクツキのとんぼがえりからの始動を評価
・初手にブーストエナジー持ちが来づらいのであれば刺さりやすい
・パオジアンに対する処理ルートとしてのとんぼ→ゴツメツツミ
・@1の枠は上記二体で対応できない特殊に強いポケモン
→ジバコイル、HDサーフゴー、チョッキハバタクカミなど…

③.チオンジェン+ウルガモス軸のサイクル構築
・チオンジェンの「やどりぎのタネ」による交代強制力を活かす
・テツノドクガと比べ最低限の物理耐性のあるウルガモスの採用
・ハバタクカミとカイリューは据え置きでよいと判断
・展開構築の展開部分をサイクルに置き換えた形式
・初期はチオンジェン+キョジオーンのサイクルも見据えていた

①の構築は、どうしても初手のコノヨザルとパオジアン(テツノツツミ)に両対応する形が組めずに早々に廃案とし、③の構築も初期はいかさまダイスキョジオーンの「のろい」による詰めも考えていたが上記の並びに対応がどうしてもできなかった。②のサイクル構築はかなり雰囲気がよく最終日まで使っていたが、ハイドロポンプを撃ちたくなさすぎて採用しなかったことと、最低限の被弾回数の中ですら起こる不利確率に耐え切れずに使うのをやめた。

ここが特にシーズン5の抱える問題だと思うが、パオジアンとテツノツツミが明らかに強いにも関わらず、パオジアンはつららおとしのはずしとひるみ、テツノツツミは言うまでもなくハイドロポンプにフリーズドライのこおりと、確率勝負を避ける方法が存在しないので、どうしても「運が悪くない人しかそもそも土俵に立てない」ゲームだと感じてしまった。これは自分で使うのを避けても使われる側になるのを避けられない以上変わらず、唯一の解が「上記二体の対策枠にはおんみつマントを持たせること」だと思うので、残り二か月のうちに最適な結論を見つけたいと思う。

【最終的に使用していた構築】
シーズン5で最終的に使用していた構築は、下記の6体。

〇ハバタクカミ@ブーストエナジー/ノーマル
143(100)-x-94(148)-156(4)-156(4)-205(252)
ムーンフォース シャドーボール あまえる いたみわけ
・ミラー意識の最速、シャドーボール
・ミラーを放棄するならマジカルフレイム
・ミラーを優先しつつ起点作成能力を上げるムンフォ切りも一考

〇カイリュー@ゴツゴツメット/ひこう
191(196)-176(44)-143(220)-x-121(4)-106(44)
テラバースト アンコール りゅうのまい はねやすめ
・崩しの要素となるテラバースト1ウエポン型
・Sをもっと引き上げて同族意識するべきだった
→マリルリで相手のカイリューを削ってからの損失にめちゃくちゃ差が出る

〇チオンジェン@オボンのみ/フェアリー
192(252)-x-122(12)-115-155-133(244)
イカサマ カタストロフィ リフレクター やどりぎのタネ
S:準速80族抜き
・ほぼ最速リフレクターにより相手のカイリューとの初手対面が安定する
・カイリュー以外の初手に来るポケモンにめちゃくちゃ弱いのが難点
→パオジアン、テツノツツミ、テツノドクガ、イーユイなど。解決策なし。

〇ウルガモス@あつぞこブーツ/みず/ほのおのからだ
191(244)-x-108(180)-156(4)-126(4)-143(76)
ほのおのまい おにび あさのひざし ちょうのまい
S:+1で最速ドラパルト抜き
・おにびの通りがよくカイリューすらテラスがあれば起点にできるので良好
・テラスを切れないシチュエーションが多かった(カイリューと両選出)
・パオジアンに対する抵抗要素で、この点も比較的よかった

〇ガブリアス@こだわりスカーフ/はがね
じしん げきりん アイアンヘッド ステルスロック
207(188)-176(76)-116(4)-x-108(20)-150(220)
S:最速サーフゴー抜き
HB:セグレイブの特化こおりのつぶてを耐える
・スカーフによる制圧力とロトムみたいなやつに対する最低限の対策
・耐久を上げたメリットはそこそこあったがいじっぱりASでもよさそう

〇マリルリ@とつげきチョッキ/みず
191(124)-112(252)-115(116)-x-101(4)-72(12)
アクアブレイク じゃれつく ばかぢから アクアジェット
HB:カイリューの特化鉢巻ひこうテラバースト確定耐え
・カイリュー対面に最低限の保証を持たせた努力値振りで出しやすい
・最後に入れた枠なのでカイリューの攻撃を耐えた後の動きが構築単位で形成できていなかったのが弱かった点

この構築の最も異質な点は「最速(*3)リフレクターチオンジェン」。イメージとしては、過去作の「カプ・レヒレ」に近く、小規模なサイクル戦の代表的なポケモンだった。「カタストロフィ」による確定HP半分削りと「リフレクター」による味方のサイクル能力向上が噛み合うのが理想で、B振り鬼火ウルガモスと合わせて「リザXレヒレ」の構築に完成形のビジョンは近い。カイリューを抜いているメリットは随所にあり、またやどりぎからのウルガモスの積み、リフレクターからのウルガモスの積みとポケモンとしてかなり可能性を秘めた型だとは思うが、敗因の多くはパオジアンとテツノツツミだった。

構築三案の中ではマリルリのおかげでこの氷二体にかなり抗えるほうであったし、軸のウルガモスでもパオジアンには勝てていたがテツノツツミがどうしても辛い。目を皿にして構築記事を読んだが、構築段階でテツノツツミを十全に対策としているといえるものはほぼなく、そういった言及がある記事も少なかった。であるならば前期までの環境では通らなかったのだろうと思い、シーズンの変化を象徴するポケモンであるドドゲザン(HD)をチオンジェンの代わりに採用したところ、テツノツツミもハバタクカミも対応できるようになり、なんとか三桁に到達することができたので撤退した。(最終900位)

今期は時間も掛けられたのでもっと上位を目指したかったが、二シーズン分勉強をサボっていたツケがもろに出ていて、前期までの流れを追うのに20日ぐらい掛かってしまったのが敗因だったと思う。逆に言えば、今期のように勉強したうえで負けたシーズンの翌月は勝てるんじゃないかとも思うが、いつまでも勝ちたい、勝てそうだ、負けたの流れを続けるのは愚かなのでそろそろ本格的に、誰かに教えを乞いたい。助けてくれ。

この記事は、長い悲鳴です。

【今期マジで最強だったポケモンのメモ】
・あまえるいたみわけなのにサブウエポンがパワージェムのハバタクカミ
・電気テラバーストなのにマリルリ対面でつららを撃ってきたパオジアン
・キラフロル
・ドドゲザン

【注釈】
(*1):ヘイラッシャの減少がテツノツツミの増加に繋がっていたのかは不明
(*2):あまえるカミが前期いなかったのはドドゲザンとマスカーニャのせい
(*3):S1落としてるけどほぼ最速なので最速、動画でも最速って言ってる

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