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【移動本屋を開業します】

27歳。こじらせて、『移動本屋』を開業することに致しました!

移動本屋とは、読んで字のごとく「移動」する「本屋」のこと。
大きな車を店舗として、そこで本を販売する書店です。

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※👆移動本屋として活動されている三田さんの書店
https://harumari.tokyo/13223/

開業に際して、僕がなぜ「移動本屋」をやりたい!と思ったのか、
その想いの丈を、ここに綴りたいと思います。


なぜ、移動「本屋」なのか?

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幼い頃から、僕は本を読むのが好きでした。
特に西加奈子さんの紡ぐ言葉が好きで、彼女の小説『さくら』を読んで以来、好きな作家ができることの喜びを知りました。
(他にも山崎ナオコーラさん、朝井リョウさん、今村夏子さん、森見登美彦さん…etc)
また縁あって漫画を扱う会社に入ったことで、漫画においても好きな作家が増えていき、気付けば大切な本がどんどんと積み上がっていって…。(漫画家では、小玉ユキさん、石黒正数さん、和山やまさん…etc)

僕が本を読む理由は、安心をくれるからです。
孤独な心を掬ってくれるから、僕は本が好きなんだと思います。

ここで言う「孤独」とは、
" 人恋しさ " ではなく、
" 誰とも共有できなかった気持ち " による「孤独」です。

人は誰しも、思ったことをすべて分かち合えるわけではありません。

面倒臭いと言われたら嫌だな…
理解されずに傷きたくないな…
変な人だと思われたらどうしよう…

そう思って、誰かと共有することをあきらめた気持ちって、たくさんあると思います。
でも、自分の気持ちが自分だけにとどまっている時って、すごく孤独な気持ちになりませんか。
もしかして、こんなことを考えているのは、自分だけなのかも知れない…。
たった1人で生きているような、漠然とした不安に駆られる気持ちに。

たとえば僕は、場の空気を深読みしては、一人で勝手に疲れてしまうことがよくあります。その上、取り越し苦労に終わりがちな自分の気疲れを誰かに知っていてほしくて、マイペースに生きている人をくさしたくなる拗らせ具合。さらには「イヤな人になりたくない」という自己防衛が働くのか、羞恥心や罪悪感、後悔で眠れなくなる始末。端的に言えば、自意識過剰のメンヘラなのです。たくさん失敗もしています。でも、そんな何周もぐるぐるとまわる自意識を誰かに認めてもらおうとしても、それ自体がおこがましく間違っていることなのではないか。そう思うと、この不安定さを誰かと共有すること自体が憚られて…。

と、そんな時に、僕は本を読みます。

本を読むと、僕が誰かと共有したかった感情や心の機微に巡り合える瞬間があるからです。
分かる!僕もそんなこと思ったことある!僕だけじゃなかったんだ!と。
面倒で欠陥だらけの自分の業を、一緒に背負ってくれるキャラクターがいる。
共感できる筆者の考えや、登場人物の心情が、自分の孤独な気持ちを掬ってくれる。
曖昧でモヤモヤしていた気持ちを正確に表現してくれる言葉に出会えるだけで、あぁ自分が感じてた気持ちはこれだったんだ、と安心する。
本には、そんな力があると思います。

「本は共感のエンターテイメントである。」

これは、僕が就活生時代、出版社を受けていた頃に用意していたワンフレーズです。なんだか「考えてきました感」が鼻につくセリフであり、これで内定は確実だと本気で思っていたのだから、自己愛とは恐ろしいもので。そんなかつての自分に会えるとしたら、僕は多分こう伝えると思います。

”出版社には落ちるけど、その想いの根幹は今も変わってないよ” と。

それぞれの孤独に寄り添える本があって、
それを必要としている人に、然るべきタイミングで届けることができたら、
それはすごく幸せなことだと思うのです。

だから僕は、人に本を届ける「本屋」を開業することに決めました。


なぜ、「移動」本屋なのか?

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本屋は本屋でも、なぜ「移動」式(車)なのか。
「移動」本屋としての開業にこだわる理由は何か。

それは、本との出会いをドラマチックで印象的なものにしたい、という想いからです。

今の時代、本を読むための手段がリアルからネットへと移ろいゆく中で、いわゆる実店舗型の本屋は著しく減っています。
僕自身、新卒からネット書店(電子書籍)で働いていた経歴があり、ネット書店のヘビーユーザーでもあります。
読みたい本がすぐに手に入るネットは本当に便利で、これからもずっと重宝すると思います。
その一方で、便利さが当たり前になるがために、本と出会った時・買った時の思い出は印象に残らないような気もするわけです。

けれど、それが実店舗型の本屋…しかも「移動」本屋だったら、どうでしょうか。
たまたま休みの日に訪れた場所で、本屋を営む大きな車に遭遇し、興味本位で立ち寄ってみた際に出会った本。
きっと忘れない思い出になるのではないか、と思います。
そして、出会いの体験が印象的である本は、きっと大切に読みたくなるのではないか、そんな気がします。

そうしなければ生まれなかった人と本との出会いも、あるかもしれません。
本との出会いをドラマチックで印象的な体験にすることには、そういう意味があると思っています。
だからこそ、僕はあえて実店舗で、そして「移動」式(=車)で本屋をやるべきだと考えました。

それに、もし移動本屋で面白い空間を作ることができれば、これまで本を読んでこなかった人も足を止めてくれるかもしれないし、本を手に取ってくれるキッカケにもなるかもしれません。これら全てが、僕と同じように、本によって掬われる人を増やすことになってゆくと思います。そういう世界を作ることができたら、僕は本屋をやって良かったなと思えます。

移動本屋は「移動」できることが最大の強みなので、様々な場所で出店できるように模索していきたいし、訪れる人にとってより印象的な本との出会いになるよう、その可能性を限定せずに自由なスタンスで一歩ずつ広げていければと思っています!

以上の想いと希望的観測から、僕は「移動」本屋での開業を決意しました。

さいごに(これから)

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今、まさに絶賛・開業準備中でございます。
(このnoteを中心に、開業の過程はすべて綴っていこうと思っています)

まずは、都心近郊を中心にマルシェやイベントへの出店を増やしていければと思います。

…とは言え、何もかもが初めてづくし。
車を買って、塗装して、ロゴをあしらって、出店場所と交渉して、本を仕入れて…やることは尽きません。
経営的なことも一から学んでいく必要があります(大丈夫だろうか)。

もし、ここまで僕の拙文を読んで下さった物好きな方がいて、移動本屋の開業に興味を持って下さった方がいれば!
ぜひどんな形でもいいので、協力してもらえたら、すごくすごく嬉しいです!
応援してくれるだけでもありがたいです。

一緒にこの書店を通じて、面白いことが出来ればと思っています。
長い文章を読んでくださり、ありがとうございました!


2021/07/04 武田


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