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2022年10月

10月1日(土)
出張がてら、高岡市美術館の「バンクシーって誰?展」に。昨年夏の東京(寺田倉庫G1ビル)を皮切りに、名古屋(グローバルゲート名古屋)⇒大阪(グランフロント大阪)⇒郡山(ビッグパレットふくしま)⇒高岡 と全国ツアーよろしく巡回していたこの美術展、最後は福岡に行くみたいですね。しかしこのラインナップの中の高岡ってなんかすごいな。ドラえもん(の作者藤子・F・不二雄先生)のふるさとに、あえてねずみの絵の展示会を持ってこなくても、という気もしつつ。

展示は作品だけじゃなくて、作品の書かれた環境ごと再現されていたのが印象的でした。しかし美術館近くの駅からの列車が1~2時間に1本という状況の中、作品リストがなかったため、観終わるのにどのくらいかかるのか分かりにくかったのがちょっと……。もうちょっと時間があったら同じ美術館内にあった「高岡市 藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」にも行けたのに。残念。


10月4日(火)
原田マハ『楽園のカンヴァス』を読む。キャンバスじゃなくて、カンヴァス。伝説のコレクターが持っているルソーの作品の真贋に関する物語。オマヌケなテイストのルソー作品に反して、エキサイティングなストーリー展開。油断しているとどこまでが事実でどこからがフィクションか分からなくなりますが。とりあえずMoMAにルソーの「夢」を観にいきたくなりました。

10月6日(木)
二宮健監督『とんかつDJアゲ太郎』(日本、2020年)を観る。タイトル落ちみたいな話ですが、公開前に出演していた伊勢谷友介・伊藤健太郎が逮捕され、またコロナで公開時期をずらした結果『鬼滅の刃 無限列車編』とカブったことで「呪われた映画」と呼ばれていたらしく。話はとんかつのようにカラッとした映画なのに、恐ろしいですね……。

10月7日(金)
伊豆旅行に先立って、川端康成『伊豆の踊子』を読み直す。これ短編集だったんですね、という今更の感想。内容は女に未練がある男が出てくるという共通点があるんだけど、女の名前がだいたい〇子で、続けて読むとなんだか混乱します。

10月8日(土)
中伊豆に旅行。伊豆長岡のサイクリスト向け温泉宿で、ドミトリーもあるようなところなんだけど、広めの部屋でフレンチのコースを楽しむこともできるという宿。中庭には焚火の周りでお酒を飲むこともできるという趣向も素敵。翌日は、韮山反射炉のとなりにあるお店でクラフトビールを楽しみ、その後沼津のお寿司屋さんで日本酒を楽しみました。飲んでばっかりのようですが、個人的には飲み過ぎないでよかったという感想。

10月11日(火)
NHK BS1でやっていた「勝敗が決まる瞬間(とき) 2022 〜ドキュメント 小倉百人一首競技かるた高校選手権〜」(の後半だけ)を観て、おお青春がまぶしい、と思いつつ、末次由紀『ちはやふる』(の1~3巻だけ)を読み返してみる。いろいろ途中で不完全燃焼だけど、コミックス49巻もあるのか。ううむ。

番組では強豪校として東京の暁星高校がフォーカスされていましたが、過去の優勝校を調べると、その暁星と静岡の富士高校が優勝回数では圧倒的で、あと富士以外にも静岡の高校の名前がかなり出てきますね。

全国高等学校かるた選手権大会 団体戦歴代優勝回数
13回 暁星高校 (東京) *第30回~38回連覇
12回 富士高校 (静岡) *第1回~10回連覇
_4回 長泉高校 (静岡)
_4回 静岡雙葉高校 (静岡)
_3回 大井川高校 (静岡) *現清流館高校
_1回 筑紫女学園高校 (福岡), 益田高校 (島根), 浜松北高校 (静岡), 中津南高校 (静岡), 安積黎明高校 (福島), 浦和明の星女子高校 (埼玉), 渋谷教育学園幕張高校 (千葉)
*2022年は第44回。第42回は新型コロナで中止

野球の高校選手権が毎回甲子園で行われるように、かるたの高校選手権は近江大津宮を営んだ天智天皇を御祭神とする近江神宮で毎回開催されているようですが、地元の優勝校がないのは、ウィンブルドン現象的な?

10月13日(木)
碧野圭『凜として弓を引く』を読む。学生時代に弓道をやっていたので、懐かしい内容。事前のイメージと違ってなかなか的前で引かせてもらえないとか、あるあるですよね。(いつもあまりあらすじを読まずに読みだすので)殺人事件が起きるような話なのかなとも思いつつ、半分くらい読んでもそんな気配はなかったので、ああ違うんだなと。皆様が無事で何より。

10月15日(土)
箱根駅伝2023予選会をテレビで見る。立教が6位となり、55年ぶりの箱根駅伝出場を決めたとのこと。これまでの記録を見ると、学生がまるごと入れ替わる4年間で、上位10人の記録が38:18縮んだと。つまり21kmのコースで、一人約4分縮めたってすごいですよね。

立教大学箱根駅伝予選会記録
2023予選会 _6位 10:46:18
2022予選会 16位 10:53:07
2021予選会 28位 10:54:12
2020予選会 23位 11:23:49
2019予選会 28位 11:24:36

六本木一丁目にある泉屋博古館東京の、「泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅲ 古美術逍遙 ―東洋へのまなざし」展へ。前に読んだ 高田崇史『QED 東照宮の怨』に出てきた、佐竹本三十六歌仙絵切(過去に高額過ぎて買い手がつかなかったためバラバラにされた絵巻)の一つ(源信明)が観られてよかったです。

10月16日(日)
中村橋の練馬区立美術館「日本の中のマネ ―出会い、120年のイメージ―」展に。近代絵画の父なのに、なんで日本でマネは人気ないんだろう? という展示。入り口でおじいさんが係員に、「『草上の昼食』は来ていないんですか?」と聞いていたのが印象的でした。「あ、今回は来ていないんですか」って、しょんぼりしていたので、オルセー美術館の方、お願いします。

マネの『花瓶の苔バラ』に基づいた福田美蘭の『LEGO Flower Bouquet』は、マネがサロンにこだわったことを踏まえ、日展に出品のため一時的に展示しておらず、選外になったら戻ってくるとのこと。出品自体がアートであるというのが面白いですね。結果が気になります。

せっかく西武池袋線エリアに来たので、椎名町から豊島区立熊谷守一美術館に。区立美術館のハシゴですね。娘の榧(かや)さんが館長を務められていた美術館で、熊谷守一の画風もあって大変居心地の良い美術館でした。カフェでゆっくりする時間がなかったのは残念。

10月17日(月)
朝井リョウ『何者』を読む。就活に挑む大学生のお話なんだけど、キャラクターの造形とか、なんだか上っ面の会話とかとてもリアルに感じるのは、作者と同じ大学を出ているからかな。そして読み終わってから直木賞受賞作だったことを知りました。

10月21日(金)
井川意高『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』を読む。会社から個人的に融資を引っ張り(後に返済)、カジノで100億円を溶かし実刑判決となった筆者によるノンフィクション。東大エリート学生小説と大企業経営者小説とギャンブル小説と獄中小説が合わさったような、愉快な内容。

10月22日(土)
ルミネtheよしもとでお笑いを。かまいたち、チョコレートプラネットなど、今をときめく豪華メンバーの会。名前が表示されるだけで歓声がでるのもすごいですよね。


10月23日(日)
トーハク150周年記念の本気の国宝展に。一番好きな国宝である、長谷川等伯の松林図屛風が展示されるタイミングに併せてチケットを入手。150年ということは、鉄道開業と同い年なんですね。

松林図屏風以外でよかったのは、大井戸茶碗の「有楽(うらく)」。国宝でも重文でもないですが。高台のところのデコボコしたところ(梅花皮(かいらぎ)というらしい)をよく観てみたかったけど、そうすると茶碗を伏せて展示しないといけないわけで、難しいですね。

ちなみに茶碗のうち国宝になっているものは以下8椀のみなんだとか。うち3つは曜変天目。全部集めた国宝茶碗展なんて開催されないかな。

曜変天目茶碗 稲葉天目(東京・静嘉堂文庫)
曜変天目茶碗(京都・藤田美術館)
曜変天目茶碗(京都・龍光院)
油滴天目茶碗(大阪・東洋陶磁美術館)
玳玻天目茶碗(京都・相国寺)
井戸茶碗 銘「喜左衛門(きざえもん)」(京都・孤篷庵)
志野茶碗 銘「卯花墻(うのはながき)」(東京・三井記念美術館)
楽焼白片身変茶碗 銘「不二山(ふじさん)」(長野・サンリツ服部美術館)

ところで先日行った練馬区立美術館の「日本の中のマネ」展で、日展への応募のため展示されていなかった福田美蘭の『LEGO Flower Bouquet』、残念ながら(?)戻ってくるみたいですね。


10月28日(金)
輪渡颯介『猫除け 古道具屋 皆塵堂』を読む。シリーズの2冊目。主人公が変わったけど、あいかわらずお江戸人情ほっこり幽霊物語になごむ。短編なのも読みやすいところですね。


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