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笑ってはいけない「一分間スピーチ」

 今回は、過去にスタンドFMで発信した内容を元に、一部加筆修正した記事になります。
 内容は「ASDといじめ被害について」僕のエピソードを交えながら語らせていただきます。「笑ってはいけない一分間スピーチ」の意味は、今回の記事を読むと分かると思うので、ぜひお付き合いください。

 過去にnoteの方でもASDといじめ被害について書かせてもらいましたが、文献によるとASDであると、いじめ被害に遭う事例が多いことが書かれていました。僕としては「やっぱりそうだよね」と正直思いましたし、実際その通りだと思います。
 共同体で相対的にコミュニケーション能力が脆弱だと、支援を受けていない丸腰状態では、他の人から搾取される対象にされがちです。

 ここから僕の体験談を語らせてもらいます。第18話の過去放送で僕のスクールカーストがアンダークラスのド底辺であったことを放送しましたが、残念ながらカーストが下位だとイジメ被害に遭いやすいと感じます。イジメに遭いやすいから低いのか、低いからイジメられやすいのかは、卵が先か鶏が先かのような面があるでしょう。

 さてと、みなさんは過去に某国会議員が言っていたような感じで「このハゲー」と言われた事があるでしょか。自分はあります!小学校5年から中学1年の末にかけて、格好のイジメのキャッチフレーズのようなものになっていました。

 事の発端は小学校のクラス内で取ることになったアンケートで、「早く結婚しそうな人」や「出世しそうな人」などの項目があったのですが、その一つに「将来早く禿げそうな人」という項目がしれっとありました。そのアンケートで僕がぶっちぎりの1位をとり、確か35人中33票獲得といった形で圧倒的だったのを覚えています。

 このアンケートの影響力はとても大きく、「クラス公認のハゲキャラ」という当時の自分としても不本意なイジリ&イジメの対象に再び選定されることになりました。さらにネタとしてのインパクトも大きかったためか、他のクラスにも広まり、学校全体で「ハゲキャラ」という立ち位置が文脈上成立してしまい、カーストの低さも相まって、当時の僕の能力ではこの流れをどうすることもできませんでした。

 自分が通っていた小学校と中学校は地域が同じなので、共同体のメンバーもあまり変わりません。ですのでスクールカーストやイジメのセーブデータは容易に共同体のメンバーに引き継がれます。そのため中学に入学しても「このハゲー」と言ったイジメは普通に新しいクラスでも引き継がれ、さらに暴力や恫喝という素敵なオプションもセットで付いてきました。

 こんな状態でしたので、僕の小中学時代は全く楽しいものではなく、思い返すと「希死念慮」を抱えていました。希死念慮とは、「自殺をしたいとは思わないが、死んだら楽になると思う」状態を指します。当時はよく「寝ている間に死んだら楽なんだけどな」とよく思っていました。
 今思えば、自分が一番あの世に近かった時期が小中学時代だったと感じます。

 中学1年の時、このままクラスの人の思うがままに苛めら続けられるのも癪だなと思い、どこかで何かインパクトを残せないかと策を巡らせました。そこで思いついたのが、クラスで順番に回ってくる朝の「一分間スピーチ」を利用することでした。

 タイトルは「将来ハゲる僕」にしました。
 内容的には「僕は多くの人から言われている通り、将来ハゲるので、植毛や薬物療法を検討しています云々~」を色々な技術的な話題を話した覚えがあります。
 発表する前に隣の席の人から「これ、本当に読むの?」と疑問を呈されましたが、僕の心は既に固まっており「クラス中に一泡吹かせてやるぞ」という気持ちがありました。
 内心笑いを取れると思いながら、自身の笑いを堪えつつスピーチをしたのですが、予想に反して僕の想像以上にクラス全体が静まり返り、それはまるで「笑ってはいけない一分間スピーチ」を見ているようでした。

 いつもは、嘲笑めいた笑みで悪口を言ってくるクラスの人達が、この時はびっくりするくらい静かにしていたのをとてもよく覚えています。 
 担任の先生もコメントに困ったような様子を見せており、
「えーと、、、大丈夫です。心配するのは早いです。」とあっさりとしたコメント返しをしていました。
 それ以降、「このハゲー」ということをクラスメイトだけではなく、他のクラスの人からも一切言われなくなったのはとても印象的でした。歪んだ方法でしたが自分で嫌な状況を打開できたことは、当時の僕からすれば数少ない貴重な経験でした。

 実はこの後、中学校ではわかりやすいイジメを受けなくなりました。自分が言われた悪口を公に公表するという手段は、自分が思っている以上に効果があったようです。

 そして余談ですが、現在の髪の状況はおかげさまで、なんとかパーマをかけられる状況を保っていますかつてクラスメイトの悪意の通りの結果にならなくて本当に良かったです。
(この状況については、後ほど別な記事にて報告させていただきます。)

 僕は性善説を信じていません。なぜならこれまでの経験から、人には「叩いても良いという弱者」を文脈上で作り出し、それを叩く、もしくはその行為を暗黙に認めると言った直接的、間接的な攻撃性や加虐性を感じるからです。

 そして、つい最近までASDであるという社会的証明もなかったので、当然、僕は支援の対象外で長らく生きていました。実は発達障害なのに支援の対象外であるということは、「叩いても許される弱者」という文脈に置かれる危険性が非常に高いと思います。

 今の僕は運よく支援の対象に入ることができました。おかげで平穏な日々を送る事ができ、感謝の気持ちでいっぱいです。重要なことは障害をピックアップし、いかに支援の枠に素早く入れることが、本人の生きやすさに大いに影響すると思います。

 今回は、ASDなのに支援の対象に入れない危険性として、イジメ被害に遭いやすいリスクがあることを僕の「笑ってはいけない一分間スピーチ」のエピソードを交えてお話しさせてもらいました。
 
 以上で今回の話はここまでとなります。

 今回は、過去に放送した内容を元に自分の過去を語らせてもらいました。何らかのお役に立てれば幸いです。

もし、サポートしたいと思っても、そのお金はここではない他の何かに使ってください。僕の方はサポートがなくともそれなりに生活できておりますので。