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[推し本]読む冷凍庫🧊/体感温度が下がる本たち

暑中お見舞い申し上げます。
今回は酷暑におすすめの、読むだけで体感温度が下がる本です。


「八甲田山死の彷徨」(新田次郎)

読む冷凍庫ダントツ一位はこちら。記録的厳寒の中、準備不足と指揮系統の乱れから大惨事を招いた青森5聯隊と、少数精鋭で全員生還した弘前31聯隊。凍傷、低体温症からの幻覚や精神異常、凍死の描写多数。
恐怖と共にとにかく凍えます。高倉健主役で映画化もされました。

「剣岳<点の記>」(新田次郎)

登ってはいけないとされる聖山に、三角点を設置するための登頂ルートを切り拓く測量士の奮闘記。登頂ルートは冬の雪がつく雪渓にこそ攻略のヒントがあり、、。こちらも映画化されました。

「極北の動物誌」(ウィリアム・ブルーイット)

アラスカで観察する野生の動物たち。厳しい極北の中での生の営みや自然の描写が美しい。星野道夫の愛読書。
動物学者である著者は、アラスカの大地を核実験場開発の脅威から守り抜き、そのためにアメリカを追われたそうです。

「荒野へ」(ジョン・クラカワー)

アラスカの荒野に自ら入り込んだ、元は育ちの良い大学生が遺した日記をもとにした実話。途中何度も忠告を受けたり、引き返すチャンスはあったのに、冒険心の果てに死に至るナイーブ過ぎて危なかしい青年の青臭さがなんとも言えない。
表紙の、荒野に残された動かないバスで青年は発見されました。ショーン・ペン主役の”Into the Wild”で映画化もされました。

「不毛地帯」(山崎豊子)

シベリア抑留を経た元帝国陸軍中佐が、商社で今度は経済戦争に奔走します。伊藤忠元会長の瀬島龍三をモデルにしたと言われるが、11年に及ぶシベリア時代の描写は寒さと飢えの中で仲間すら売る人間のエゴがあぶり出されます。一転、商社時代は灼熱のイランの産油地が舞台。ラストシーンで、商社トップに上りつめた主人公が思い出すのが、厳寒のシベリアで“ありとあらゆるぼろを身に付けた男たち“が労働に駆り出され不毛の凍地をゆく光景なのです。

お読みいただきありがとうございました。
暑い日が続きますが、どうぞご自愛ください。

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