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山口県内でもっともイージーな旧隧道~旧ゆづりは隧道

旧道とか廃道とか言われてもピンと来ない、行くのもなかなか大変そう、何が楽しいのか分からない、など思われている方がほとんどだと思う。そんな方に向けて、ドライブのついでにちょっと寄って気軽に車で完抜でき、それでいて旧道の森閑とした空気と美を味わえるような、山口県内でもっともイージーな旧隧道を挙げるとすれば、これだろう。

国道489号旧道にある、「ゆづりは隧道」。
現在は並行して現道の「ゆずりはトンネル」があるので、「ゆづりは隧道」は旧隧道と呼ぶ。
位置はここである。

山口市の徳地から徳佐方面へ抜けていく国道489号の脇。近くには佐波川ダムやふれあいパーク大原湖などがある。
上記地理院地図でも明らかなとおり、旧隧道がある旧道は現役の車道なので、車で通行可能だ。なお、すぐ近くに、以前レポートした裸隧道・裸掘隧道がある。こちらは自動車通行不可だが、国道沿いに駐車場があるので、安心して徒歩で探索できる。旧ゆづりは隧道とセットで楽しむのがよい。

現地の状況を簡単にレポートしよう。

現道を逸れて野谷石風呂側から隧道を目指す。2車線幅あるが、落ち葉が堆積して見かけの路面が狭く見えるのは旧道あるあるだ。黄色いガードレールが藪に呑まれつつあるのも廃美。

こんな感じに車で通行できる。1車線分は落ち葉もなく綺麗に維持されているのだ。

路肩?に駐車してもこれだけスペースがある。対向車や後続車が来る可能性は極めて低いが、安心して徒歩で旧隧道を楽しめる。

旧隧道の遠景。路面にしなだれかかってくるような倒木がいい。

私は進むにつれ視界に占める隧道の割合が大きくなっていく時間が大好きなので、近づきながら写真を撮りまくる。少しは気分を味わってもらえるだろうか。
改めて坑門を見る。昭和28年竣工、飾り気のないコンクリート造。装飾的要素は笠石くらいしかない。坑門だけはコンクリートで固めて、内部は素掘りにセメント吹付だ。
後付けと思われる左右の警戒色パネルが目を引くが、左側のパネルの痛みが激しい。苔の状況から左側の方が水分が多いと分かるが、その影響だろう。

金属の上にも、苔って生えるんだね。

扁額はやや読みづらくなっているが、左から「ゆづりは隧道」と書いてある。

隧道内部へ。素掘りが続くかと思われたが、30mほど先でコンクリート巻き立てに変わっている。地質の問題だろうか。

素掘りとコンクリートとの境界。

この先はずっと巻き立てがあるようだ。

一旦徒歩で半分くらいまで歩き、引き返して路駐していた車に乗ってきた。車内から撮影。照明がないことを除けば現代でも通用しそうな隧道だ。

西坑口付近は湧水がかなり多い。が、車で容易に完抜できる。

抜けて来た西坑口を振り返って見る。坑門の造りは東側と変わらない。痛み方に左右差があるところまで同じだ。

扁額も痛みが激しいが、何とか生存。扁額上には工事用か何かの数字や記号が書いてあったり、扁額の周りに斜線が入っていたりして、気にはなったが正体不明である。

さらば、旧隧道!

旧隧道を通過した後は、こんな林道然とした道を辿り、すぐに北谷集落にたどり着く。ものの3分ほどで現道と合流可能だ。

以上、旧ゆづりは隧道のご紹介。
簡単でしょ!

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