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私の妄想たち

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虚構と現実のはざま。
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#大人向け

[Short Story] 二十歳のボールペン

[Short Story] 二十歳のボールペン

“Mei Ueno”

テーブルの上のボールペンに印字されたその文字は、オレの名前ではない。
最初に就職した会社の入社式で新入社員全員に名前入りのボールペンが渡されるはずだったのだが、担当者が誤って他人のものと取り違えたのだ。

* * *

オレは地方の男子校を卒業してすぐ、都内の会社に入社した。
キラキラした都会で、眩い女と付き合えるとぼんやり理想を描いていたが、具体的なことはなにも考えていな

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[Short Story] ビッチレラの背徳日誌 04

[Short Story] ビッチレラの背徳日誌 04

私はビッチレラ。
本当の名前はエラだけど、継母にそう呼ばれているの。

この前、王子の寝室に忍び込んだものの、初体験は失敗に終わった。

私はいまだに、私の中に男性を受け入れられるのか、不安なまま。
でも私の秘めた場所はずっと濡れていて、早く満たしてほしかった。

元執事で今は僧侶のセバスチャンに、処女を奪ってほしいとお願いしたけれど、優しく諭され家に帰らされちゃったわ。

家では、継母と継姉がな

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[Short Story] ビッチレラの背徳日誌 03

[Short Story] ビッチレラの背徳日誌 03

私はビッチレラ。
本当の名前はエラだけど、継母にそう呼ばれているの。

私の本当のママが生きていたころ、家には執事がいたんだけど、パパがしばらく家を留守にしていている時、私は見てしまったの。

ママはベッドでお尻をつきだし、執事のセバスチャンは自分のものを激しく突き立てていた。

しばらくして、セバスチャンは執事の仕事を辞めて僧侶になり、お腹がふっくらしてきたママは、突然死んでしまった。

でもね

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[Short Story] ビッチレラの背徳日誌 02

[Short Story] ビッチレラの背徳日誌 02

私はビッチレラ。
本当の名前はエラだけど、継母にそう呼ばれているの。

きょうは、お城に行って王子の寝室に忍び込んじゃった。

「ねえ、王子。私ね、試したいの。ちゃんと入るかどうか」

ベッドの上で真赤なエナメルのハイヒールを脱ぎ、足を広げて見せたんだけど、王子はたじろぐばかりでちっとも動かない。

驚かせてしまったみたい。彼は私の中に入る状態にはならなかった。
そりゃそうよね、不意打ちすぎたわ。

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[Short Story] ビッチレラの背徳日誌 01

[Short Story] ビッチレラの背徳日誌 01

An immorality jurnal by Bitchrella.

私はビッチレラ。
本当の名前はエラだけど、継母にそう呼ばれているの。

きょうは、継姉がビスケットを作ったというので、いくつか内緒でハンカチに包み、宮殿の庭園にあるベンチに体を預けるようにして、食べていたの。
イケメンの見習い騎士と、イケナイ遊びをしようと思って。

すると、ビスケットが割れて欠片が谷間に落下してしまった。

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[Short Story] 留守番電話 ≪No.2≫

[Short Story] 留守番電話 ≪No.2≫

前作 ≪No.1≫ からのつづき。

3件目のメッセージは彼の父親を名乗る男からで、その内容は、彼がバイクに乗っているときにトラックと接触事故を起こし、病院に運ばれたというものだった。

慌ててその男性に連絡してみると、彼は1ヶ月前に事故にあい昏睡状態だったが、今朝亡くなったという。

彼が入院しているという病院を訪れると、彼の家族が集まっていた。
私が近づくと彼の母親らしき女性が、涙を押し殺しな

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[Short Story] 留守番電話 ≪No.1≫

[Short Story] 留守番電話 ≪No.1≫

私が初めて性的に快感を得たのは、3人目の彼との行為でのことだった。

彼とは所謂、セフレの関係だったけれど、体の相性が良かったようで、その体験をした時は、頭の中が真っ白になるというのはこの事か、と思った。

「なんで泣いてんの?」

彼とのクライマックスでは、気が付くと涙が出ていた。
悲しいわけではないのに。

彼に対して恋愛感情がまったくなかったかというと嘘になるけれど、しばらく連絡がなくても気

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[Short Story] 待ち人来ず

[Short Story] 待ち人来ず

私は毎晩待っている。

部屋の片隅でじっと。

今夜もあの人は来ないかもしれない。

でもやっぱり待ってしまう。

ため息が糸を揺らす。

やっと誰かが来たみたい。

胸がちくちくする。

けれど、今夜訪れたのは待ち人ではなかった。

もう、耐えられない。

その晩からは毎日違う人が訪れ、私はそのすべてを受け入れた。

でもやっぱりあの人は来ない。

胸のちくちくは増すばかり。

そして今夜は誰も

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