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ゆず愛
2020年8月27日 01:15
妻は、テーブルの上にちょっぴり豪華な朝食を作ってあった。いつもは味噌汁とごはん、海苔の佃煮がある質素なものだったのに、今朝はそこにアジの開きが付き、4つ折りにされたコピー用紙が添えられていた。「7日間家を空けます。私の夏休みです。あなたが、コロナでうちで仕事をするようになり、私のプライベートは減りました。少し息抜きする時間があっても罰は当たらないでしょ!毎日あなたにご飯をつくり続け、た
2020年8月6日 01:18
うちの通った高校には、修学旅行という普通は一大イベントとなるはずの、学校行事がない。うちに通う生徒たちの殆どが何かしら問題を抱えて、集団で違う所に移動するなど困難を極める生徒が多数派を占める。だから、その代わりに、「夜の学校体験」という1泊2日のお泊まり行事をやる。これは、夕方の6時に学校の門をくぐると、朝8時まで、学校の外には、出られないというルール。後はデジタル機器は一切持ち込
2020年8月5日 02:54
もう、桜の咲く頃にこの世にいるのは難しいと医師から宣告されていた。冬の木枯らしを見つめながら、夜中になると怖くて眠れない日々が続いた。私の誕生日は、夏の最中。その頃には、もう、この世に居ない……だから、冬の寒さが沁みるクリスマスに、最愛の人に会った。笑って別れを告げるために、目いっぱいオシャレして、彼が予約してくれた高級レストランで、シャンパンで乾杯した。「あなたと会うのは、今日で
2020年8月4日 09:03
8月の青い空にどデカい入道雲。潮風が海から柔らかい頬を刺激する。子供達が毎日、海に行く。海の町に暮らす子供の日課だ。今年は、私の祖母が初盆を迎える。祖母は、子供達から「おおばあば」と呼ばれ慕われていた。真っ黒に日焼けしたしわくちゃの手で、器用にくす玉を作る。折り紙を折る手は、いつも魔法使いの手のように見えた。私は、小さな頃から、祖母が作るくす玉を一緒に作る。でも、小さな手は
2020年8月2日 18:12
テレビのお天気お姉さんが「夕方激しい雨が降る予報」というのを信じて、夕方から友達と食事をするのを来週に延期しようと決めた。私の嫌いなものベスト3幽霊、注射、雷。最近雨の前には、必ず、ゴロゴロ言い出し、その後バリバリ!ドーン……ほんとに耳を塞いでしゃがむ体勢を取ってしまう。通り雨が、ザーッと降る中、ずぶ濡れになる走って建物内に行けばいいのにってみんなは言うが、中々足が動かないのだ
2020年8月1日 21:08
小学生の頃、朝早くから近くの公園でラジオ体操をするのがなんだか義務のようになっていた。行くとカードにハンコを押してくれ、皆勤だとお菓子の袋詰めが送られる。それを目当てに、せっせと朝早く行く子もいたが、高学年になると、もう、面倒になり、家で寝ている方がいいやとなる。親に言われて、渋々たまに行くと、クラスのアイドル的存在成美が、笑顔で「久しぶり!」と声をかけてきた。「お前、毎日来てるの?」