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Rambling Noise Vol.50 「メルマガナイトへGo ahead! その36」

アサノさんは、「ウチの顧客層は高齢者の方が多めで」というくだりからの流れで、手塚ファン層というのはやはり五十代以上とかが主なんですか? と、部長さんに尋ねてみた。

「いや〜、そんなことはないですよ」
と、その部長さん。そして、続け様に述べたその理由とはこうだ。

全国の小中学校の図書館の漫画コーナーには、必ずと言っても差し支えないほど、『火の鳥』、『ブッダ』、『ブラック・ジャック』全巻が置かれているのだと言う。

「ホントはクレヨンしんちゃんとかの方がウケるんだろうとは思っているんでしょうが、おしりとか出しちゃう漫画はねー」
と、図書館職員の代弁者と化して部長さんは曰った。

手塚漫画は文部省のお墨付きなのだ。


なるほど、確かに手塚漫画には、エロスは有っても下ネタは無い。

それともう一つ無いのが、根性モノ。


生前の手塚治虫は、当時流行っていたスポ根漫画をかなり酷評していたらしい。
「これのどこが面白いんですか」
そう、周囲に意見していたと言う。
その手塚治虫のお膝元、虫プロダクションで『明日のジョー』がアニメ化されたのはなんとも皮肉な話ではないか。手塚治虫もさぞかし憤怒の想いであっただろう。

こんな部長さんの言葉も、また面白いものだった。

「今の子は、アトムは読まないですよ。現代となってはもう古いって言うんです」

はぁー。首都高速道路、高層ビル郡などの街の表現、その他諸々あんなこんなで、かつて手塚治虫が未来社会の預言者などと呼ばれていたのがまっこと嘘の様だ。
しかし、リメイク版のアニメならともかく、漫画のアトムの胸の中には

「真空管」

がセットされているのだ。今の子供に通じる筈もないか。

「健康、生命に関わる商品と言うなら、火の鳥かブラック・ジャックですかねぇ。でもブラック・ジャックだとなんとなく黒っぽいイメージで、ちょっとお水って感じではないですかね」
と、部長さん。

もうこの時点で、アサノさんも火の鳥を最有力候補に上げていた。なにしろ老若男女が知っているキャラクターなのだ。
また、火の鳥については、商品化されているものが数少なかったことも選択理由の一つだった。

そしてなんと言っても、火の鳥は永遠の命のシンボルだ。特許取得のサプリメント入り。「美味しく飲んで、健康に」が謳い文句のアサノさんとこのお水には最適ではないか。


しかし、問題が一つあった。

(続く)

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