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【コラム】欧州で教育を受けた私がアジアを選ぶ理由

私には、夢がある。

私は英国で教育を受けており、英国に対して第二の故郷のように愛着を持っている。しかし今後はアジア圏に主軸を置くつもりだ。

今日は、未来に対する展望と併せ、私の想いを言語化してみようと思う。

私の夢は、企業統治を専門としたアドバイザーになることだ。主に対象とする地域はアジア圏を想定している。

その背景にある問題は根深いものであり、私一人で解決出来る範囲は限定的かもしれない。

それでも、夢は夢だ。

私は仕事を選ぶ上で、「向き不向き」を度外視している。それよりも重要なことは、意義だ。

「天職」というのは、天から舞い降りて来るものではない。世の中に無数に横たわる問題の中で、自分が最もコミットしたいと思えること。次の世代に美しい景色を見せるために、心から必要だと思えること。それこそが「天職」である(或いは、これから「天職」にしていく価値がある)と、私は信じている。そして、それを夢と呼ぶことに、私は少しも違和感を感じない。

昨今は、国際的に見て、資本市場における企業統治に対する見方が厳格化している。本邦においても、その潮流は、2015年以降3年ごとに実施されているコーポレート・ガバナンス・コードの制定/改訂等によって象徴される。

他方、企業統治についての考え方や法律は、一定のスタンダードや類型は存在するものの、世界各国でバラバラな状態だ。特にアジア圏では、国毎の商慣習や法律は然り、上場基準にも差があるため、アジアの企業統治の是非を国外の人間が判断することが困難な状況にある。

現に、GMI ratings(MSCI Inc.)によるESG/コーポレート・ガバナンスに係る国別比較では、アジア諸国が継続的に低い評価を得ている。他方、当該評価の評価指標が欧米の基準を前提としていることによるバイアスが介入し、アジアは欧米から過小評価されているとの見方もある。
Bruce Aronson and Joongi Kim (2019), ‘Corporate Governance in Asia - A Comperative Approach,’ Cambridge University Press, p.33.

即ち、これから経済成長を遂げ、時価総額も高まることが見込まれるアジア市場において、企業の統治方針が、外から見ると(実質的に)ブラックボックス化してしまっているのだ。

本邦の企業統治制度は戦後、特に1964年に日本がOECDに加盟した後に、欧米からの要請に段階的に応える貌で法令等を改正してきた歴史的経緯がある。そのため、高度成長期を経た日本企業の価値は、海外のステークホルダーからも比較的理解を得やすいものである。対して、その他アジア各国のそれは、グローバル・スタンダードとは一線を画し独自成長中であり、言葉を選ばずに言うと統一感がない。

世界経済は長きに亘り欧米優位な状況であった。しかしながら、昨今では、中国・香港・シンガポール・インドなどのアジア圏の存在感・勢いは増すばかりである。もし、アジア圏の企業統治が統一感を欠いたままの状態で経済成長が進むとした場合、国際資本市場全体の透明性・信頼性の毀損に繋がりかねないだけでなく、倫理上・地球環境上の問題が急激に悪化しかねない。

私は、その問題を解決したい。

欧米に匹敵する企業統治の在り方をアジア圏の経営層に向けて助言し、国際資本市場の信頼性を高めること。そして、それが、私のキャリアのパーパスだ。

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