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【エンタメ×ビジネス】 演劇より音楽の方が儲かる理由

演劇×ビジネス」もっと広義に個人からでもエンタメ活動にビジネス感覚をしっかり取り入れていこうと発信しているAsakawaです。

この記事で↓演劇評論家の「村井健」さんとの思い出を振り返った時に、


そういえば村井さんはその演劇×ビジネスという視点でみれば「演劇、特に舞台というのは音楽と比べて圧倒的に儲からない分野」みたいなニュアンスの発言をしていたのを思い出しました。

この言葉を聞いた当時はなんとなく理解できる程度だったのですが、今なら確かにとしっかり納得できます。

なぜそう言えるのか?それは、

音楽には家でも楽しめる楽曲がある、インターネットも活用しやすい、ライブを映像としても楽しむ習慣がある」からだと思います。

対して演劇の方にはこうした家でも楽しめる手段がほぼ無いと言って良いです。台本だけを読んだところでそれはどちらかと言えば読書にあたるので演劇で得られる感動とはまた違うもののような気がします。
せいぜいもっと範囲を広くして映画がそれに当たるんだと思いますが、映画には欠けているものとしてライブ、生で楽しむことができないですよね。

音楽は誰でも、どこにいても気軽に触れられる環境が整っており、さらに深く足を踏み入れたいのであれば好きな歌手、バンドのライブへと実際に足を運んでみてくださいと、より好きになった人にはどんどんお金を使いたくなる順番みたいなものが綺麗にできているのです。

まずは気軽に一曲聴いてみて気に入ったのであれば今度はアルバムを買う、さらにこれは好みかもとなればライブの模様が収められた映像ソフトを購入することでしょう。その映像を何度も観て遂にこれを生で聴いたい、観たいとなりチケットを買って会場へと来てくれるのです。

好きになればなるほど多くのお金を使いたくなるその心理通りにシングル、アルバム、映像ソフト、ライブと段階を踏んでいるのですね。

さて、なぜこのように上手く流れを作れるかというとやはり一度作ればあとは自動宣伝装置のように働いてくれる資産」とも言えるものを作っているからです。

楽曲、映像のような作品というのは消耗品のように無くなりません。一度作ってしまえば何十年経ったとしても、作者が亡くなってもそれが人々の記憶に残るくらい良い曲であれば何度でも聴いてくれます、観てくれます。カラオケでも歌ってくれるかもしれません。

それを象徴しているのが例えばジブリ映画。今まで何度も地上波で放送されているのに未だに放送されたらそれなりの視聴率が見込めますよね。

音楽であれば今「シティポップ」というジャンルが海外で人気があると聴いた時には驚きました。どの曲も自分が生まれる前に作られた曲です。なのに現代で再び脚光を浴びるというのも良い曲というのはいつの時代に聴いても良いものなのでしょう。

これが一度作ってしまえば末永く人々から愛されて、世代を超えて親しまれる場合もある「資産」とも言える理由です。

そして、それを加速させたのがインターネットの登場です。

昔は音楽といえばCDで聴くというのが主流でしたが今はデータ、インターネット配信に移っています。今ではインターネットは小学生でも使っているので、何かをきっかけに自分が生まれるだいぶ前に流行った作品というものに触れられる機会が多くなりました。だから現役高校生なのにビートルズが好きなんていう人も出てくるのです。

昔だったらお金を払わないと聴けなかった、観られなかったのにYouTubeでミュージックビデオを、ライブ映像を一部無料公開というのも当たり前になりつつある流れもあり、それで大丈夫なの?と思う時もありますがそれによって広告収入も得られますし、もう一度言うように一度上げてしまえばそのコンテンツがあとは勝手に24時間、365日宣伝装置として働いてくれるので、長期的にみれば自身の作品をインターネット上に無料で公開するというのは現代においては必要になってくるのかもしれません。

音楽に国境はないという言葉があるように海外からのアクセスも期待できますしね。それで海外の音楽フェスに呼ばれたなんていうバンドもいます。

ざっとこんな感じで音楽というのはお客さんからしてみればいつでも、どこでも、まずは気軽に、そこからスタートできる分野ということで少額だったとしても活動していけば収入が入ってきやすいのです。たとえ小さなライブハウスを中心に活動しているバンドだったとしてもYouTubeに楽曲を何曲か上げていてそれが何十万再生されていたり、アップルやアマゾンで一曲単位で販売していればそれで年間100万円くらいの収入が入ってくるかもしれません。


さて、さて、では逆にわたくしも関わってきた演劇、目指そうとした舞台はというと、そういう意味ではかなり閉鎖的な分野になってしまいます・・・😓

どうすればお客さんは舞台を観に来てくれるだろう?と改善点を考えた時にチラシに観たいと思わせる情報が少ない、なんの物語なのかいまいち分からないという意見を聞いたことあるのですが、それを補ってくれるものが思い当たらないのですよね・・・笑

音楽でいうとさすがに一曲も聴いたことがない歌手、バンドのライブに行くことなんて滅多にないように。友達に誘われて行くことになったとしても、きっとその友達がCDなりを予習しておいてということで貸してくれるはずです。

いきなり生の、ライブに観に来てくださいと頼んでいるのでハードルが高いと言えますね。

さらにたとえすごい評判が良い劇団の舞台で、ある程度動員数が見込めたとしても入ってくる収入の限界値は既に劇場のキャパシティが決まっていることから上限はあらかじめ分かってしまっています。

例えばわたくしも立ったことがあるシアタートラムという劇場のキャパは席を増やしたり、減らすこともできるので公演によってバラつきがあるでしょうが約200人程度ということで、ここでチケット代は4000円で10公演行って全公演満員にできたとしても、

4千円×2千人ということでチケット収入は800万円が最大値ということになります。

これで好評につき追加公演決定!とできれば良いんですが、専用劇場でもない限りそんな柔軟な対応はできません。

これが本であれば増刷ということで売れる見込みがあるところまで部数を増やしてどんどん収入を増やすことができるのですが、それができない。

音楽であればグッズを作り物販という形で少しでも収入を増やそうとすることは当たり前のように行われていますが、演劇の舞台でグッズ販売している所はあまり観たことがないですね。公演の世界観に合った物を作りづらいのかもしれませんが。

演劇の場合はチケット収入以外に入ってくるお金がないというパターンが多いってことですね。これは実は生ものの催し物をして利益を上げるには大変厳しい設定です。

実際にわたくしが出演した舞台は最終的に2千人くらいの動員があったはずなので800万円近いチケット収入があったと思いますが(学生割引とかのサービスがあったので実際はもっと少ないかも)ではそこからその舞台を上演するにあたってかかったお金を引いてどのくらいお金が残るのかと考えた時に、

シアタートラムの使用料っていくらだ?と調べてみたら、(PDF資料↓)

https://setagaya-pt.jp/cms-wp/wp-content/uploads/2017/07/a95397cc3902b4b84ae839fc935bff3f.pdf

午前9時から午後10時まで借りると136700円だそうなので10日以上、借りるならそれだけで200万円近い使用料がかかります。連続使用割引があるそうなのでもう少し安くなると思いますけど。

ざっくりとしていますが、劇場使用料だけで残りは600万円弱になりました。これにさらに音響、照明、チラシデザイン、舞台監督、舞台美術などのプロのスタッフに支払うお金、客演で出演してくれた俳優に支払われるギャラを引いたら最終的に残るお金はそんなに多くないかもしれませんね〜・・・💦

その評判の良かった舞台が後日、映像としても販売されるのならさらなる収入が期待できますが舞台は生で観るものという価値観が根強いからか、映像ソフトを販売している劇団などはわたくしは殆ど見たことがありません。

が、この新型コロナウイルスが大流行したことによって公演終了後、インターネット配信をやる所が増え始めています。

動機としてはやもを得なかったのかもしれませんがこれは明るい兆しです。今後もこれが主流になってくれたらなと思います。

なぜならこれにより、どこに住んでいても家で気軽に観られるということが可能になったので。

演劇の舞台というのは場所も限られている(面白い、話題性のある舞台は大体、東京)、期間も限られている(長くても一ヶ月間くらい?)、それでいて中身がいまいち分からないので面白いかどうかは未知数という改めて観るハードルが高いカテゴリなのですが、

そのハードルを下げたのがこのインターネット配信なわけなので。

これで地方に居ても画面を通してですが観ることが可能になりました。チケット代も現地に行くよりも安く設定されていますし、交通費はかかりません。

そしてキャパシティの上限が無くなったのも大きいです。

一回の配信でシアタートラムのキャパを超える人数の人が観てくれることも珍しくなくなることでしょう。上手くいけば最終的に五千人くらいの人が観てくれたなんていうことも起こる可能性があります。

配信のチケット代が半額の2千円だとしても×五千人が視聴となればチケット収入は1000千万円になりますので生よりも多くの収入が入ることになります。配信サイトに手数料を払うと思うので実際はもっと少なくなったとしても、生で公演してもなかなか達成できない数字を出すことがインターネットであれば意外と簡単にできてしまえるとは言えると思います。

映画であればなぜヒットすれば億単位の興行収入が入るのかといえば全国の映画館で同じものが観られる、一日に何回も上演される、場所と期間という条件では手頃だからでしょう。中身に関しては面白いかは分からなくてもハードルは下がります。

そして映画は映画館での公開は終了しても映像ソフトで販売される、有料チャンネルで、地上波で放送されて家でも観られる機会がその後も続くので、音楽と同じように気軽に楽しめる存在へとなっていきます。

そう考えれば演劇の分野で成功したければ一度映画という「資産」を作っていくのが良いのでしょうかね?一度作ってしまえば何度でも使えるということで。

舞台はせっかく作っても残念ながら解体、壊してしまうので 笑 リンク記事でも書きましたがほんと一期一会なのですよねw

オススメした劇団を教えても年に2回くらいしか上演しないのでタイミング良くやっていればいいですけど、そうでなければ数ヶ月待たないと観られないというのはもどかしいですし、同じ作品というのは一度上演してしまったらその後、再演はされないことも多いので、この劇団のこの作品が良かったんだよね〜と言っても、二度と観られないのは悲しい💦

要は舞台は記憶には残っても、記録には残さない、場所も期間も観に来られるお客さんの人数も最初から決められているということで、ビジネスモデルとして儲かるわけがないのです。

加えて舞台は普段の生活の中ではなかなか触れられる機会がなく、お試しみたいな気軽さもないので観に行ってみたいという気持ちが積み重なってこないので映画やアニメには得られる収入では敵わない。

演劇、特に舞台の動員数を有名俳優の人気に頼らずもっと増やすには「先ずはお気軽に、お試しに」というコンテンツを用意する必要があるのかもしれませんね。

では今回は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。

このように演劇や俳優に関する話題にビジネス視点を取り入れた記事を多数、上げているブログも別途ありますので是非チェックしてみてくださいませ↓

https://ashesto.net/

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