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『絵を描く理由』

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私が絵を描く理由は何であるか。今一度探ってみる。
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私が絵を描く理由2

私が絵を描く理由2

「探求としての創作」

 私は絵を描く理由を最初、自身の承認欲求のためであると考えた。それは考えとしては一見わかりやすく合理的だった。しかしそれは私の絵に対する全ての姿勢を証明してはいなかった。つまりは事実の一部分だった。
 承認欲求は私が絵を描く前の動機と絵を描いた後の発表の動機を部分的に説明した。だが私が正に絵を描いている時の興奮については口をつぐむのだった。制作中の興奮は、私が発表の未来を見

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絵を描く理由を考える理由2

絵を描く理由を考える理由2

「美術という小屋」

 私は様々な職種を経験した上で、絵が私にとって一番であると感じたわけではない。私の経験は極めて限られており、絵も含むあらゆる分野の経験はそのほとんどが学校教育に依存している。
 また、デザインや映像制作や執筆や企画運営も同様に私には魅力であり、私が経験していないアニメーション制作や陶芸にも魅力は潜んでいることだろう。また美術に限らず、数学や法学、社会学や哲学、スポーツにも安住

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絵を描く理由を考える理由1

絵を描く理由を考える理由1

 絵を描く理由をつらつらと考え述べたところで、「自分が好きならそれでいいんじゃないの?」と誰かに一蹴されそうでもある。
 確かに私が生きていることに取り立てて意味がないように、「絵を描くこと」も含めた生存におけるあらゆる諸活動も大そうな意味は持っているはずがないから、究明する理由というのも一見わからない。
 私は自分のあらゆる諸活動は私の無意識下の目的によって動かされると考える。けれどもでは私は絵

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絵を描く理由の前に私が生きている意味を考える

絵を描く理由の前に私が生きている意味を考える

私が絵を描く理由を考える上で、その前提であろう生きている意味について考えてみる。
 私が生きているということはただ私が産み落とされ生命体という機構として活動しているだけのことを指すのであって、それは生誕以前に自身で目的を持たぬ時点で意味だとかが存在するはずがない。
 仮に神のような超越的存在があると仮定して、彼らの目論見で私が生きているとすれば、それは神の目的であって、こうして神に敬意を払わぬ私と

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私の絵とは何か

私の絵とは何か

 そもそも私にとって絵とは、私が求める新たな世界を構築することを目指すものである。それは主として私が知覚世界で感じた魅力。例えば日差しの強い真昼の住宅街の住宅の屋根と屋根から落ちる影が成す妙な図形に感じた魅力。雑誌に載っている服の皺の魅力。古代の壁画の一部分の造形的魅力。それらは風景であったり作品であったりするが、私にはそれはどちらでもよく、ただ対象の魅力として私を惹きつけると同時に、額縁に納める

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私が絵を描く理由1

私が絵を描く理由1

「#絵を描く理由はなんですか見た人も答えるんだ」

ハッシュタグを見たので答えることにした。
「絵を描く理由」

 私は即答はできない。
その理由は私がそもそも絵を描くことがひどく好きというわけではないと自覚するためである。それゆえに私は大学入学後の二年間、全く絵を描く上でただ高尚なものを目指すことしかできなかったし、周囲の友人たちが楽しそうに作品を生み出していけることが理解出来なかった。
 答え

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