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私の絵とは何か

 そもそも私にとって絵とは、私が求める新たな世界を構築することを目指すものである。それは主として私が知覚世界で感じた魅力。例えば日差しの強い真昼の住宅街の住宅の屋根と屋根から落ちる影が成す妙な図形に感じた魅力。雑誌に載っている服の皺の魅力。古代の壁画の一部分の造形的魅力。それらは風景であったり作品であったりするが、私にはそれはどちらでもよく、ただ対象の魅力として私を惹きつけると同時に、額縁に納めるには何か足りないものである。
 それらの魅力。私が好きなもの。けれども芸術にはなり得ていない欠片。これらをそのままにまたは結合して、直読と曲解(魅力の誇張)を交えて描いては、描いたものを対象化し、直読と曲解を進め実物と紙面の二つの対象にこれを繰り返したものが私のスケッチであり、そのスケッチを再び対象として見つめ直し、集め、統合し、スケッチと画布の二つの対象にこれを繰り返したものが私の絵画である。
 しかしこれはこれを書きとめた2020年1月6日2時現在の私の絵に対する考えであって、私が今後絵に対して社会的なメッセージだとか視覚に感じた魅力ではないものを入れ込もうとする可能性は多分にあるし、現に行っていても私が自覚できていないこともあるだろう。

2020.1.6

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