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新・夢十夜(四)




一 甥の涙

 僕と妻は父の前にいる。父曰く、「お前の友人や甥っ子たちに次のようなことを言った。この子はその妻が亡くなると追いかけるようにすぐ死ぬだろう。すると、甥の一人がポロポロと涙を流していた。」僕も涙ぐんでいる。

二 蕎麦と子育て


 社員旅行なのに親友Sが隣の部屋に泊まっている。2日目は自由解散なので、Sに「どこか行きたいところはないか」と尋ねる。すると「蕎麦を食べたい」と言う。僕は美味しい蕎麦屋を知らない。しかし、ちゃんと調べていたようだ。Sは新幹線で昼過ぎには帰らないといけない。それまでは一緒に行動する。そのとき、ヤンキー風のカップルに絡まれる。「よく絡まれるのか」とSに聞かれる。「いや。そうでもない。つい見つめてしまうからかな」と言う。いったん部屋に戻ろうとしていると、卒業生のKさんと出会う。やはり社員旅行に参加している。医者をしていたはずなのだが、今はうちの会社でパートタイムで働いているらしい。4人の子育てをしていたはずだが、パートナーが子どものことを見てくれているのかと思って尋ねてみる。すると突然ポロポロと涙を流しながら言う。「いいんです。子育てを全く手伝ってくれない人だから、たまにはこういうことがあっても。」「男はだめだからねえ」などと慰めにもならないことを言う。

三 古い方の実家


 実家に向かって歩いている。通ったことのない斜めの近道があったので試しにそちらに行ってみる。行き止まりになっていてお店がいくつか並ぶ広場のようなところに出る。店員が慣れた感じで、「そこ上がれば出られますよ」と教えてくれる。言われた通りにすると確かに外の道に出られた。見覚えのある景色なのだが、どこにいるのか分からなくなる。どうやら8歳まで住んでいた家の近くのようだ。方角も分からなくなっている。もうスマホに頼るしかないと思って取り出そうとするが、そのスマホがなかなか見つからない。

四 嘔吐反射


 僕は精神疾患か教育相談などの研究室にいる。教授から学生まで10名ほどがそこにいる。他の研究室に気になる女子学生がいて、そのことが話題になっている。しばらくすると、その女子学生のいる研究室の男子学生がこちらにやって来た。そこで、女子学生の様子を聞き取ってみる。しかし大した印象はなさそうである。そうこうしているうちに、その話題に上がっていた女子学生がこちらにやって来る。服装がかなり乱れている。シャツの前のボタンなどはほとんど外れており、胸があらわになっている。足もともおぼつかない感じである。そして、その女子学生はどうしたことか、大きな口を開けてそこにペンを差し込んでいく。僕はその様子を上から見て思わず嘔吐反射を起こす。

五 ミミズ捕り


 教室にたくさんミミズがいる。僕はティッシュを手に取り、1回目に2匹、2回目には4匹つかみ捕り、窓から外に捨てる。母もやってきて3匹捕まえて捨ててくれる。気になるようだったら手を拭いてと言ってティッシュを渡す。

六 なくなった鞄


 僕は大学キャンパス内にあるベンチに座っている。他の用を済ませるため鞄をベンチの上においたままその場を離れる。他にもいくつか鞄や傘などが置かれている。しばらくして戻ってみると僕の鞄がなくなっている。他の荷物は未だそこにある。あたりを見渡すが見つからない。僕は建物の中にある事務室に行って、鞄が届いていないか聞いてみようと思う。だが、なぜ僕がここにいるのかをどう説明しようかと迷っている。

七 老舗料理屋のパフェ


 僕は女性3人と旅行に来ている。ホテルの部屋に入ると、サービスですと言ってパフェが運ばれてきた。それぞれ中身が違うので、僕は「残りものでいいので先に選んで」と言う。女性たちは躊躇なくすっと選んだ。残ったものを見るとカップにお湯が入っているだけだった。紅茶か何かか、と思ってティーバッグを探す。ふと見るとカップの中には既に麦茶か何かのティーバッグが放り込まれている。僕はパフェを食べる気マンマンでいたので、ダメ元で運んできた男性に「これってパフェに交換してもらえないですか?」と尋ねる。「隣の建物から来ているのですがそこまで取りに来て頂けたらお渡しできるかもしれません、店長に相談しないといけないですが」と男性は言う。僕は、「じゃあ一緒に行きます」と言ってついて行く。スリッパのままで出て来たため途中泥道に足を奪われ歩きにくい。男性は自転車に乗る。僕はあとを追いかけるがついて行けない。気がつくと僕はビルの屋上のようなところにいる。男性は隣のビルの中に入ろうとしているのが見える。その屋上にはいくつかの飲食店が入っているが、客は全く入っていないようだ。営業していないのか。下に降りる階段かエレベーターか何かを探すが見つからない。1軒営業中の店を見つける。その中に入ってみると、割と客も入っていて賑やかだ。そこから外の道に繋がる出口がある。崖の上にでも建っているのか。5階くらいだと思っていたのが、実はすぐ外の道に繋がっていた。そこで僕は旧知の男性と出会う。話を聞くと、ボランティアでお店の手伝いに来ているらしい。「この辺りはほとんど客が入らなくなってもうダメなんですよ」と言う。どうやら城崎かどこかの温泉街のようだ。彼が手伝っているというお店について行く。ちょうどそこはパフェを運んできた男性が入っていった店のようだ。かなり老舗の料理屋のようだ。果たして僕はパフェにありつけるのか?

八 JAPANESE,NO


 僕はアメリカの大学にいる。キャンパス内の芝生の上に座っている。日本人男性2人もいる。一緒に留学をしている友人のようだ。日本語でいろいろ会話している。そこに、ゴミを拾って回っている女性がやって来る。日系のアメリカ人なのだろうか。どうやら日本語が分かるようだ。友人の1人が足元に落ちていたタバコの箱のようなものを拾ってその女性に渡そうとする。「すみません、これ落ちてました」僕はせっかくアメリカに留学に来ているのに、いくら相手が日本語を話せるとしても日本語を使っていては英語が上達しないのではないかと思う。それを友人たちに伝えるのに日本語で言っていたのでは説得力がないから、英語で話そうと考える。出てきたことばは「Japanese,no」手でバツを作るジェスチャーを交えて。僕もこんなことしか言えないのかとちょっと情けなく思う。友人は痛いところを突かれて腹を立てたのか、僕が足元においていたジャケットを手に取り遠くに放って逃げていく。名前を呼んで呼び止めようとするが。名前を思い出すことができない。

九 ポットン便所の中の遺影


 実家のトイレに入るとポットン便所だった。しかもその中に遺影が落ちている。どうして落としたままなのかと姉に聞く。だいたいどうしてトイレに遺影があったのかとも聞く。僕は何か棒を2本使って取り出すことはできないかと考える。トイレに戻るとすでに何本か定規などの棒が置かれている。しかも遺影はすぐ届きそうなところまで上がってきている。僕は定規を手にして遺影を動かしトイレの横に取り出すことに成功する。姉と僕ともう一人幼い子どもが固形石けんを使って手を洗っている。子どもがまだ手に泡がついた状態で、タオルでふこうとするので、ちゃんと水で流すようにと注意する。

十 温泉と食事


 父と母と僕は温泉旅館に泊まっている。しかし、温泉と食事は近くの別の旅館に行くことになる。まずは温泉に入るが僕は小さなタオル1枚しか持ってきていないことに気付く。バスタオルは後で借りられるのだろう。中に入ると結構混んでいる。洗い場がいっぱいで空くのを待つ。1つ空いたのでその場に行ってみると、椅子には人参や何かがべったりとくっついている。僕はシャワーをかけてそれを洗い流す。さあそこに座ろうとすると、既に食事をする場所に変わっている。隣にいる男性が「この中から選ぶようですよ」などと教えてくれる。僕は少し離れて座っている両親のところに行って相談する。「勝手に出てくるのんと違うんやなあ」と僕は言う。母は「当たり前やん、頼まなあかんわ」と言う。旅館に泊まったときは決まった料理が出て来るような気がするけどなあ・・・

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