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新・夢十夜(三)




一 フラフープのような消しゴム


 女子生徒が手のひら大の消しゴムを腰の周りで回している。どうしてそんなことができるのか。僕もその消しゴムを借りてやってみる。消しゴムは重力に従ってすぐに落下する。こんなもの回るわけがない。フラフープじゃあるまいし。女子生徒にどうしてそんなことができるのかたずねる。生徒は答えてくれる。ゴニョゴニョゴニョ。

二 ミスター・ワイントラヴ


 ミスター・ワイントラヴが2本の棒とロープをうまく操って大きな円柱形の物体を回している。それが飛んで僕のところに来た。僕も回してみるが、すぐに倒れてしまいうまくまわせない。他の人たちにもやってもらうように頼む。それで僕が下手なのか、ワイントラヴが特に上手のかが判明するから。ワイントラヴは高校のときの英会話の先生だ。(ピーター・フランクルと混同しているかもしれない)

三 大きなイボ


 手の甲の一番外の膜が破れ赤黒いホクロというかイボのようなものができる。次第に大きくなっていく。僕は、これは切除のため皮膚科に行かないといけないなと思っている。弾けてしぼんでしまえばいいのにとも思っている。

四 総理大臣


 僕たちの友人の1人が総理大臣になった。友人の女性が何か伝えたいことがあるらしい。同窓会で集まる機会があるのでそのときに話してみようということになる。総会が1時間ほどあり、その後は自由に集まることになった。仲の良かった男性2人、女性2人が会場2階のテーブルに集まって話をしている。僕はそこに遅れて合流する。皆が集まっているテーブルの近くに本棚があったので、僕は一通りその本を眺めている。意中の女性にこういうものに興味があるということをアピールしようとしている。4人いると思っていたテーブルに近づいて声をかける。するともう1人別の友人がテーブルの下から顔を出す。「お前もいたのか」結局、総理大臣には会えていない。

五 卒業生の両親


 卒業生のお母さんが電車で向かいの席に座っている。軽く会釈する。誰かは分からない。ふと気づくと目の前に立っている。本人およびその周辺の生徒のその後について話をされる。名前には聞き覚えはあるが、誰がどこの中学に進学したのか思い出せない。別の日、今度は同じ生徒のお父さんとホームで出会う。お母さんに話を聞いて待ち伏せしていたのだろうか。電車の中で話し込んでしまい(ほぼ一方的にお父さんがしゃべっているが)乗り過ごしてしまう。先の駅で降りて戻ることにする。お父さんも一緒についてくる。僕は駅で「ちょっとトイレに寄ってきます」と言って離れる。トイレが混んでいて待たされる。やっと用を足し終わってホームに向かう。お父さんはきっとまだ待っているだろうなあ、大だと思われているかも知れないなあ。などと考えている。

六 粗大ゴミ


 実家にいる。粗大ゴミを取りに来ている。いま出す物がない。鉄が不足しているので何でもいいから出してほしいと言われる。父が大工のとき使っていた道具などを出す。父の許可なく出していいか心配で、母にたずねる。父はいま出かけており、電話も繋がらないとのこと。(両親はすでに亡くなっている)

七 トイレのようなコピー機


 コピー機の蓋を開けてコピーしようとしたら、トイレのように水が溜まっていた。吸い込むような穴も空いている。それでも僕は紙が濡れないように気をつかいながらコピーをとる。「なんのためにここに水が溜まっているんだ」と愚痴を言いながら。

八 古本


 一人暮らしをしていた長男が戻って来た。実家の僕の部屋は荷物がいっぱいで足の踏み場もない。そこを何とか通り抜けてベランダに出ると無造作に置かれた洗濯物が何枚かある。僕はそれらを広げて干し直す。半分乾いてはいたのだが。部屋に戻ってふと紙袋の中を見ると、大量の文庫本がある。長男は全く本を読まないのに。「これどうしたん」と聞くと「友だちがくれた」と言う。太宰治の本が結構ありそうだ。借りて読もう。パックを外してもいないマンガ本も入っている。その友だちは、本を読まない人に、どうして本をプレゼントしたのか。プレゼントというか、たんにあふれ出した本を処分したということか。

九 紙を食べる


 実家で両親といっしょにいる。僕は小さな紙を何枚も何枚も食べている。どうやらそれは日めくりカレンダーのようだ。毎日めくるのは面倒だから使わない。しかし、よく見ると行事などの写真もあり、なかなか充実している。父が「それなら今日のところを見て」というので見てみると、とんどか何かで、炎をあげて燃えている写真がある。「やっぱり今日や。去年見に行ったやろ。行ったらよかった。」などと残念がっている。

十 少女A


 坂道を自転車で勢いよく下る。何度か曲がって家の近くまで来ると一人の少女と出会う。小さな子どもたちからお金をくすね取ろうとしている。前にも同じようなことをしていた。僕はその少女Aを捕まえて家に連れて帰る。妻の実家である。僕は妻や子どもたちに「この子を抑えておいて」と言って、警察に連絡する。家が随分と改築されているので見て回る。システムキッチンも新しくなっている。子どもたちの(つまり孫たちの)部屋までできている。中をのぞくと、姉の子どもたち(つまり僕の甥)が二人そこにいる。僕が、Aのいた場所に戻るとその子がいなくなっている。「逃げられた? どうして捕まえておかなかったの?」警察の人たちが二人でやって来る。僕は事情を説明して、探しに行くと靴を履こうとする。しかし、なかなか自分の靴は見つからない。

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