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お写ん歩。#13/RAW現像と、眼と、脳内補完と。

秋ですね。

食欲の秋、読書の秋、サンマの秋…。
人によっていろんな秋があるのでしょう。
秋はカメラ好きがざわつく季節。

さて、考えてみると、
秋の被写体といえば。
色づく山々、燃えるような紅葉、焼ける夕焼け。

あれ?
赤とんぼ?稲穂の原風景?彼岸花?
紅葉が深まる時期になると
意外と被写体となるものって減ってくる気がする。

つまり、そういう場所に乗り込んで
紅葉を写すぜ!アウトドアだぜ!嵐山だぜ!的な
割と大きなアクションが必要だったりします。


本日のお気に入りの一枚。

てなわけで、住んでいる場所の地の利を活かして、
健康のことを考えて
近所の裏山で、小さい秋探しスナップをしてきました。

今日も最初は、
写してきた写真の焼却場的な、置き場的に流したいと思います。
今回もせっかくのフジのカメラなのに
フィルムシミュレーションをガン無視でLIGHTROOM現像です。

最後、タイトルにある最近感じた雑感に付き合ってくださったら幸いです。

切り取った秋の光。

レンズはZuiko Auto 35mm f2.8, 50mm f1.8オンリーです。
マイクロフォーサーズは野鳥がお留守で使う機会がありませんでした😅

前にアップした場所と同じ場所、紅葉爆進。
入り口付近は午後は暗めなのです。
雨上がりのしっとり落ち葉。
しっとり。
ねじねじの花。
木漏れ射光。
チビ紅葉。
紅葉。
雨上がりのひかり。
芽吹き。
足元の紅葉。
つる。
インスタでありそうなやつ。
経年劣化。
散歩用自然道に伸びる影。
陰影を探す。
深紅。
まきまきの花、結構咲いていましたね。
なんの花かな?
まだ青さの残る葉とのコンボ。
さて、裏山を出て。
いつもの散歩コースに戻ります。
そして帰路へ。

さて、下の雑感はどうでもいい人は読み飛ばしてください😅

カメラは光を記録する機械。

この言葉はいつか伴貞良さんという
直球系のカメラ講師&You Tuberさんが語っていた表現。
そうですよね。

どんなに壮大な景色も、美しい被写体も、
元をたどると
写真の原材料は「光」。
あ、別に何かポエマー的な表現でもなんでもなく。

太陽だったり、電気だったりが発した
光、という波であり同時に粒子である、
という不思議な存在を受け止めて、
デジタルならそれをセンサーが信号に変えて、
記憶媒体に保存する。
フィルム時代なら、光の三原色にそれぞれ反応する
三種類の感光素材の層と光が化学反応を起こして
画像の元となる何やらが出来上がる。
写真の元となるいわば料理の素材ですね。

こういうメカニズム的な話は知識として面白い。

で、

カメラは光を記録する機械、という表現は
とても間接的にですが、写真が上手になるために
必要な、頭の片隅に置いておくべきワードだと最近思います。

なぜなら、

RAWデータの扱いに直結するから。

シャッタースピードや感度を変えて写真を撮れば、
記録する光の量が変化し、
記録した光の波長が異なれば、
秋の夕方のあかね色の光になったり、
真夏の青天だったり、
そうして色味も場所や時間によって変化する。
そして、カメラ氏の側は、
その瞬間に受け取った
生の光情報を「心得た」と記録に残してくれるわけです。

ただ、AUTOモードは別で、
その時の最適格の設定はこうじゃね?と
カメラ内のコンピューターが写し手の
判断の肩代わりをしてくれる。

人間の目は超ハイスペックなAUTOモードカメラ。

家族や友人が、スマホできれいに咲いていた花の写真を撮っても、
写した写真がぱっとしない、と言ったりしてます。
そりゃそうですよね。
どれだけきれいな花が一面に咲いていたとしても、
iPhoneなどで余りにも遠くから広角で花畑を撮っても、オランダのチューリップ畑みたいな規模の違う場所でもない限りは
一面感は出ずに、思ったイメージと違うわな、ってなったり。
また、写真に写る影をシャドウをぶち上げして
不自然な影のない写真に仕上げたり、
ただ彩度を爆上げさせて映画アバターみたいな
ファンタジーかな?というくらいに
やり過ぎグラフィックみたいになってしまったり。

レタッチあるある。

なので、カメラと人間の脳内イメージって乖離があるよ、ということを心に留めておくのは大事な気がします。

カメラと人間の目のつくりの違い。人間の目には、
脳内補完という強力なオートモードがついています。
この機能を人間に搭載した神様はえらい。

カメラを始めてから、自分の視野にはどれくらいの
視覚情報が入ってくるのか、どこにも注視せず視野角そのものを
確かめてみたことがあります😅
より目の一歩手前みたいな感じにするイメージですかね?
結構な広角なんですよね。意外と視野に入っている情報は多い。
要は、人の目は広角単焦点レンズなのです。

でも、人の眼は
自分が関心を持って見つめた先にあるものにフォーカスして、
目に入っているはずのその他の視覚情報は無視して、
眼という広角レンズからいわばトリミングして記憶してる。
って気づきました。

ライカとか、Zoomついてないのに35mmとか、50mmにクロップして拡大できる機能と似てるのかな?

さらに、人間の眼は
暗所耐性バツグン。
瞳孔という絞り機能も付いてますし。
星空の名所では、月明りで夜道が歩ける。
なかなかのセンサーです。

そして、
色味の色調脳内補完。
旅行だったら例えば旅行先の景色、
美味しかったもののイメージ。
そこにはいわば個々の脳内で「美化」されたイメージが残ります。
で、再び訪れてみたら、
あれ、意外とこんなもんだったっけ、となったりしがち。
ちなみに、
もちろん何度来てもここはサイコー!ということもありますので
上のたとえは写真について語るための相対的な話です😅

今日も安定の長文の自分語り。つまり、

RAWデータと脳内のイメージを近づけるのがRAW現像。

という提案です。
カメラは光を記録する機械。
もちろん、美しく写せるように各社が
独自のカラーグレーディングにチューニングしていると思いますが、
それでもそこにある光をどストレートに記録する機械以上の
有機的な存在ではないということは否めません。

感性派の人限定かもしれませんし、感覚論を超えませんが
あの食堂で食べた肉じゃが、美味しかったな、
あの味を家で再現したいが、あれどうやって作ってるんだろう、
と記憶した味と、家で作る試作品を近づけるのに
脳内のイメージをたどっていくのに似ているような。(←伝わらない)
そういうプロセスでRAW現像をしたら仕上がりがよくなるのでは。

人はそれぞれ関心事や感動するツボは違いますよね。何せ、きっと記憶の中のその色味や紐づいた感情は千差万別でしょう。写真には写した人の人格が出る、と言いますが、記憶色の再現もその中に含まれるのかな?CANONの色味の目指すところですかね。

現像後。

例えば西日に照らされた赤い葉の鮮やかさが印象的だったショット。

35㎜のレンズだと、APSC換算で50㎜くらいの焦点距離になるので、
人間の眼の自然な画角に近い、いわゆる標準レンズになりますね。
しかも、その印象的な光をまとった三枚の葉っぱのうち、
一番右下の葉にピントを合わせました。

RAWをそのままJPG化したもの。

RAWでは自分の印象と比べると色合いやコントラストは違いました。
そこで、自分の記憶にある光の印象や雰囲気に近づけるために
色温度やトーンカーブなどあれこれいじってみました。
現場での印象、残った脳内のイメージに近づけたつもりで現像したのが上です。少しは、違うでしょうか😅

やっと、まとめ。

ミシュラン3つ星の最上級の料理のような渾身の一枚を生むためには。

まずは、「上質の素材」を手に入れる。
そのためには、景色でもなんでも最高な被写体を見つけたら、
最高の光と、もう一つ、
最高の影の情報(←これ重要)
を最適格な形で記録する。人間の眼のようにオートモードでは
良い素材は手に入りません。
やわらかい影か、コントラストの強いメリハリの強い影がよかったのか。
それには、適切な画角と被写体との距離感、ヒストグラムのチェック、
レンズのクセ、硬質か軟質のどっちの写りをするかも掴んでおく必要がありますよね。

で、もう一つ保存しておかなければいけないのは、
写した時の自分の感動。
あるものを写した時になぜ心が動いたのかな、
という印象が残ってないとRAW現像も方向性が泳ぎがちになるのかも。

こうして、被写体をベストに記録した
「光」の記録=RAWデータ、
その画像を記録したときの脳内の感動という
「記憶」=完成イメージ、
そしてRAWデータからその感動を再現するために必要な
「調理道具」=現像のノウハウなどの経験値。そしてやはり機材?

というものがあって、渾身の一枚を生み出せるのかな~などと
スケールの大きなことをただの散歩で考えていました。
そして、経験値を積んでいく先に、
ある時A5ランクのスーパー和牛のような被写体、対象物に出会って、
ミシュランシェフのように「渾身の一皿」にできる。かな?

写真をただいい感じに、時には非現実的に盛り盛りにする、
というアプローチもあると思いますし、
実際に絵画のような彩の強い美しい写真も一つの表現だと思う。
一方で、脳内の感動を取り戻す、とか、
その感動を共有できるような仕方でRAW現像したら、
AIなんかには作り出せない
生々しい迫ってくるような写真にもつながるのかな~と
考えたりするのです。

さてさて、
コロナ以降めったに山スナップしなくなったので
すごく久しぶりでしたが、
今回のお写ん歩。は、そんなことも考えながら、
きれいな光と影を探して裏山散策してました。
エラソーなこと言っていますが、
被写体そのものはそんな派手なものはないですし、
作例もフォトコンで賞をとれるようなものでもありません🤦‍♂️
ただ、そんなことを休憩中
ぼんやりと考えながら日々腕を磨いて写真を楽しんでいます。

本日も長文にお付き合い頂きありがとうございました<(_ _)>


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