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はじめに ~Arts United Fund について~

Arts United Fund(AUF)のページをご覧いただき有難うございます。

AUFは、芸術文化の生態系の根幹を支えるフリーランスのアーティストや制作スタッフ、技術スタッフを支援し、日本の芸術文化を未来へつないでいくための基金として、2020年の5月1日に設立されました。

AUF設立の背景

2020年初旬から世界中で急速に感染拡大した新型コロナウイルスの影響を受け、芸術文化界では様々な分野でいち早く自粛を迫られ、公演中止、活動自粛をせざるを得ない状況となりました。

4月上旬にケイスリー株式会社が芸術文化関係者を対象に実施した「新型コロナウイルスによる芸術文化活動への影響に関するアンケート」では、約1週間で3,357件の回答が集まり、8割以上が「収⼊低下、活動再開に不安」と回答。6割~7割が、求める支援として、生活や事業に対する金銭的支援、活動再開に関する支援をあげる結果となりました。

そして、その中でも特段深刻な状況を訴えていたのが、回答の約7割を占めた、フリーランスのアーティストや制作スタッフ、技術スタッフです。

フリーランスの美術家です。予定していた仕事キャンセルによって赤字の状況。加えて営業活動ができないので、コロナが収束したからといってすぐに仕事がはじまるわけではないため、金銭面の支援が切実に必要です。

フリーランスで個人主催をしているとすべての金銭的負担をひとりで負います。小さなイベント経営ですがすでにかなりの額のリハスタや会場、出演者などのキャンセル料を支払います。収入もすべて絶たれ赤字が膨らむばかりです。とてもつらいです。

なんとか自分なりのやり方を考えているが、活動する…ということへの誹謗・中傷が怖い。フリーランスはいろんな面で相談や支援など、頼るところもなくて孤立しています。

8月まで仕事なくなったら、まじ困ります。いやもう7月で無理です。フリーランスは誰にも守られません。弱者を助けてください。

(※「新型コロナウイルスによる芸術文化活動への影響に関するアンケート」より一部抜粋)

こうした状況をより広く社会に伝えるため、アーティストや有識者と共に、オンラインでの記者会見も行いました。

AUFの設立発起人である落合千華(ケイスリー(株)取締役)は、こうした想いからフリーランスのための基金設立に動きました。
彼らは、頼れる団体がなく、孤立しやすい構造の中にいます。
一方で、現在もこれまでも、芸術文化界は、フリーランスの存在に支えられ、そして発展してきました。

”彼らを支えることで芸術文化の生態系を守り、未来へつなげていきたいー”

芸術文化団体や民間財団の有志、中間支援組織、大手企業などといった多種多様なメンバーが、これに賛同しました。

こうして設立されたのが、AUFです。

AUFの概要

5月初旬から、クラウドファンディングサイトやパブリックリソース財団経由で支援を募り、1ヶ月で約1,800万円の寄付が集まりました。これにより、76名の芸術関係者に対し資金的・非資金的支援を行えることとなりました。
ご寄付いただいた皆様、誠に有難うございました。個人の方、法人の方併せて469の寄付者の皆様からの温かい応援に、心より御礼申し上げます。

※クラウドファンディングサイト:https://camp-fire.jp/projects/view/271390
※パブリックリソース財団サイト:https://www.info.public.or.jp/auf

支援先の方々は、7月初旬にパブリックリソース財団の審査を通して決定し、公開されました。音楽、伝統芸能、美術等の分野を問わず、アーティストや技術スタッフなど立場も様々です。支援先の皆さんについては、今後、別途記事を公開する予定です。

※採択結果はこちら:

AUFのこれから

今後は、AUFが目指す中長期的な社会的価値や、支援対象の76名のプロフェッショナルの方々とその夢を描く記事などを、こちらのnoteにて発信していく予定です。記事執筆には、芸術文化界で活躍する複数のライターにご協力いただき、多様な分野や役割の魅力を伝えてまいります。

こうした発信も通して、より多くのフリーランスの芸術文化関係者が活躍する場につながっていければと考えております。そしてAUFは、引き続き活動から得られる知見を活用し、より多くの支援者や組織と共に、個人で活動するアーティスト、フリーランスの制作者や技術スタッフをつなぎ、応援してまいります。

2020.7.31
Arts United Fund 事務局

~詳細情報~
・寄付金額 17,611,280 円
・1 件あたり助成上限額 200,000 円
・応募件数 1,715 件
・助成件数 76 件
・助成総額 15,200,000 円
 ※加えて、記事執筆に関する費用:約86万円

・設立発起人:落合千華(ケイスリー株式会社 取締役)
・賛同メンバー:
 朝倉由希
 家入一真(株式会社CAMPFIRE代表取締役)
 伊藤佳菜
 植松侑子(特定非営利活動法人Explat 理事長)
 梅澤高明(A.T.カーニー⽇本法⼈会⻑/ナイトタイムエコノミー推進協議会 理事)
 衛 紀生(可児市文化創造センター館長)
 大澤寅雄(ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室主任研究員/NPO法人アートNPOリンク理事)
 大塚千枝
 岡登志雄(株式会社アートエクスプロラー 代表取締役)
 織田笑里
 織田麻有佐 (邦楽記者/「邦楽ジャーナル」編集部)
 落合千華(AUF設立発起人/ケイスリー株式会社取締役)
公益社団法人企業メセナ協議会
 五藤真(株式会社countroom代表取締役)
 今野真理子
 齋藤貴弘(弁護士/ナイトタイムエコノミー推進協議会 理事)
 作田知樹(Arts and Lawファウンダー/事務局)
 佐東範一(NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)代表)
 佐野未歩(アンスティチュ・フランセ日本 芸術部門 舞台芸術主任)
 特定非営利活動法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)
 塚口麻里子(NPO法人舞台芸術制作者オープンネットワーク理事長兼事務局長)
 利根英夫(公益財団法人トヨタ財団プログラムオフィサー)
 中田一会(株式会社きてん企画室代表)
 中村美亜(九州大学大学院芸術工学研究院准教授)
 野村政之(演劇制作者・ドラマトゥルク/全国小劇場ネットワーク発起人)
 日沼 禎子(女子美術大学教授/AIR Network Japan事務局)
 廣川麻子(NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク理事長)
 廣安ゆきみ(芸術・文化分野ファンドレイザー)
 深井厚志(一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパン事務局) 
 藤井慎太郎(早稲⽥⼤学⽂学学術院教授、⽇本⽂化政策学会理事⻑)
 堀内真人(公共劇場舞台技術者連絡会会長、KAAT神奈川芸術劇場事業部長/技術監督)
 馬淵宏真(公認会計士/NPO法人森林浴音楽会監事)
 三尾徹(ミオアンドカンパニー代表取締役、一般社団法人Music Dialogue 理事)
 ヤフー株式会社
 山峰潤也(一般財団法人東京アートアクセラレーション共同代表)
 柚木庸輔(フレセッツ株式会社COO兼CFO、公認会計士)
 横山義志(SPAC-静岡県舞台芸術センター文芸部/東京芸術祭国際事業ディレクター/ON-PAM理事・政策提言調査室長)
 吉本光宏(ニッセイ基礎研究所研究理事/企業メセナ協議会理事)
 米原晶子(NPO法人アートネットワーク・ジャパン理事長)
 若林朋子(プロジェクト・コーディーター/立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任准教授)



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