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ヴィレム・ファン・ゲンクのメッセージは都市伝説(アウトサイダーアート)

ヴィレム・ファン・ゲンク(Willem van Genk,1927-2005/オランダ)
オランダの画家・グラフィックアートの作家だ。そして、アウトサイダーアーティストだ。
そのヴィレム・ファン・ゲンクのパノラマの都市の街並みと断片化されたコラージュは、現実都市世界のアイロニカルではなく、まさに、そのもの「生の芸術」(アール・ブリュット/アウトサイダー・アート)だろう。

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(c)Willem van Genk

・略歴-Willem van Genk
1927年、フォールブルグ(オランダ)で生まれた、5歳のとき、母親が亡くなり、少年時代は登校拒否の児童だった。それに立腹した父親は、殴るなどの対応しか出来なかった。そして、孤児院へ入所する事になる。
その流れから、人間不信、不安感から、適応性障害児として、軽作業を行っていた。
ただ、常に絵を描くことは、行っていたのだ。それは、現実からの逃避としての「空想世界の都市を旅する手段」だったと言われる。そこには、第二次世界大戦中のオランダにおいて、ゲシュタポによって、父の代わりに尋問された辛い記憶も形状化して残像のように記録されている。(長いレインコート)

その後は、記録には、広告代理店で、当時の言葉では、作図工(drafting technician)だったが、作業スケジュールを管理できず、解雇され、オランダの障害者のための施設に関わることになる。
その時代以降は、家族から離れ、妹とバーグ(Den Haag -オランダ)のアパートメントに住み、1973年に妹が亡くなった後も、そこに住み続けた。
また、ヴィレム・ファン・ゲンクは、ヨーロッパ全域を旅をして、現実をまのあたりにするのだ。
そこから、空想世界と現実が混在する都市の風景を、ある意味、強迫概念(OCD:Obsessive Compulsive Disorder)で描いたと言われる。
ヴィレム・ファン・ゲンクの人生をここでまとめることは、出来る筈もないが・・
虚弱な体質、社会生活への嫌悪感、外界からの打撃を常に受け、重度の精神的苦痛に苦しみ、自閉症、統合失調症等を患いながらも、その条件下で、「作品」と言うメッセージを自身の内面に、そして、晩年には、外界に送っている。

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Willem van Genk

・作品について
・ドローイング、ペインティング、コラージュ、デコパージュ(切り貼り)等の多様な手法で、また、多様な画材を使い、実に厳密に描かれている。そこには、現代都市のアンバランスな世界が、その多様な画材でまとめられ成立している。
・繰り返すが、現実都市世界のアイロニカルではなく、まさに、そのもの「生の芸術」(アール・ブリュット)だろう。
 秩序と混沌、美しい世界と都市化の悪夢・・・それらが混在して成立しているのだ。
・また、バスの模型を製作しているが、その材料の統一感の無さが、かえって、ある種のインパクトを与えているのだ。
「駅の王様」と自称している。
・「作品」には、世界の都市(架空的であり現実性もある)から、「富士山から、日本の国旗や日章旗、ジュネーブ会議、HOROSIMA、水爆の禁止、などの文字の見える」ものまで、実に多様だ。

(追記)コム・デ・ギャルソン(青山)と、RAW VISION(アウトサイダーアートの専門誌/UK)とコラボした流れもある。
そこで、ご覧になった方もいらっしゃるかも知れない・・

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