東京アダージョ - 痛い立ち蕎麦
「痛い立ち蕎麦」-通の食
もう、十数年は以前のことであるが、渋谷駅地下のお蕎麦屋さんで、次の仕事の合間に早食いをせねばならなかった。
ここは、一応、背の高い椅子もあるが、、、立ち状態に近い姿勢で、食事をせねばない。このお店のことは、前にも書いたが「もりください」のそこだ。
隣の席には、ご年配のリタイヤされただろう、知性を感じる方がいた。
状況として、すぐ真横だ、、そして、悪いことに、たまたま、目が合ってしまったのだ。
私は、丁寧で親近感ある微笑みで返した。
それは、先方もそうしたからだ。
そして、突然にも、「にいさん、」と言われ
「つけ蕎麦に、ワサビといっしょに、唐辛子も入れると美味しいんだよ、これが」と、 、繰り返し、言われ、、、
「おいしい」
「絶対においしい」
「それが、通の食・・」 と断言するのであった。
もちろん、違和感もまるでなく、
私は、迷わず、そうしたが、
辛くて、、もう、そばつゆの味も無く~
それを表情に出さないのも、辛い、そう、辛い笑顔になった。
「どうぉ、、おいしいだろう」 (やさしく語たられ・・)
「ええ、もう、こんなにおいしいなんて・・・今まで知りませんでした」
「君、通の食だよ・・」
明るい笑顔で、苦痛と腹痛をこらえて、うなづいた。
好青年をいつも演じたい自分がいつもそこにはあったからだ。
現在、2020年の本来のあるべき東京オリンピックに合わせて、その渋谷駅は再開発で、大きく変化している。
現在のダイバーシティー渋谷には、そういうお店も極めて、渋谷には少ないだろうし、こういったご年配の方との会話も少ないのかも知れない。
あの頃は、良い時代であったことは確かだろう。
ただ、現行の再開発は、都市の災害時の安全面や、機能面での進化は否なめない事なのだろう・・
Fig. 渋谷駅画像-(c)東急電鉄
(c)Antonio Palmerini
時代-中島みゆき
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