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画家・ペーの日記
2022年7月3日 08:40
大昔、生き物たちはそれぞれに自分の気に入らない色を持っていました。ある時、白い鳥がそれらの色を1つづつ引き受けましょうと名乗り出ました。木々は、朽ちゆく茶色をわたしました。空は、どんよりとした灰色雨は、不透明な青ゾウは、病に侵された皮膚の緑キリンは、抜け落ちた毛の黄色魚は、剥がれた鱗の銀・・そのほかにも、あらゆる色を引き受けたその鳥は、真っ黒な姿になっていました。
2022年3月29日 14:04
アトリエで本を読んでいて、ふと机に目をやると、携帯の黒い画面に、庭の柿の木が反射して映り込んでいた。影の柿の木には、若い芽の息吹まで映っていた。なんと美しいんだろう!と感動し、しばらく眺めていた。携帯の端末にこれ以上の役割があるのだろうか。美しさを現実以上に切り取る、黒き鏡。全ての情報や、あらゆる人と繋がれる端末。しかし、実際、目の前にある柿の木の、もっと奥深い美しさに気づかせてくれる