見出し画像

変形という概念について 〜材料力学の基礎〜

以前に理工系で習う「4力学」の話をした。改めて説明しておくと、機械力学・熱力学・流体力学・材料力学の4つで構成される、理工系の必須科目である。

私はこの4科目の中でも材料力学が好きで、学生時代は専攻科目としてきたほどであり、現在の仕事にも大いに通じている。

材料力学は物体(固体)の変形について、理論と実験の双方からまとめられた、実践的な科目である。私はこの物体の変形という概念に魅せられて、ここまで突き進んできたと言っても過言ではない。

今回は理系向けの記事の一環として、変形という事象を紐解いていきたいと思う。

画像1

変形の基本形態は4種類

こう書くと皆さんは驚くだろうか。微小変形から大変形まで、規模こそ違えど多くの場面で見られる変形という事象。それらは4種類に分けられてしまう。

その4種類とは、引張/圧縮・せん断・曲げ・ねじりである。なお、引張/圧縮は外力の方向が対であるだけなので、同一の形態として扱うことにする。

スクリーンショット 2021-11-13 19.51.43

もちろん、現実に起こる変形はシンプルに分けられるほど簡単ではなく、4種類のうちの複数種類を混合したものとして現れる。

引張/圧縮とせん断は直感的に理解しやすいが、曲げやねじりは少し複雑だ。曲げは物体内部で不均一な引張/圧縮の力を受けることで発生する。また、ねじりは物体内部に不均一なせん断の力を受けることで発生する。

物体内部で受けている力の状態。この力のことを内力と呼ぶが、内力の状態次第でどの形態の変形が起こるかが分かる。次はこの内力に関して話を進める。

画像3

内力の基本形態は2種類

内力と言うと色々とあるが、本質的には垂直成分とせん断成分の2種類しかない。材料力学では、外力に対して物体内部で抵抗する力のことを内力として、その単位面積あたりに換算したものを応力と呼ぶ。

また、材料力学では物体に対して仮想断面を設けて、その断面で生じる力を考えることが一般的だ。引張/圧縮とせん断について図示するが、引張/圧縮は断面に対して垂直な力として、せん断は断面に対して平行な力として表現されている。

スクリーンショット 2021-11-13 20.23.57

先ほど、曲げとねじりのイメージを説明したが、上記のように仮想断面を設けてみると分かりやすい。

再掲だが、曲げは断面上で引張/圧縮の応力が不均一に生じることで発生する。また、ねじりは断面上で不均一なせん断の応力が生じることで発生する。

材料力学の領域においては、様々な名称の応力が存在する。ただ、本質的な応力としては、垂直応力(引張/圧縮応力)せん断応力の2種類だけである。

つまり、世の中には様々な変形が見られるが、それは垂直応力とせん断応力を組み合わせたものでしかないということだ。

画像5

コラム 〜連続体力学〜

現在マガジンで連載中の『物理数学の世界』では、連続体力学に関して書き進めている。この連続体力学も変形を理論的に扱う分野である。昨日は基礎用語とも言えるコーシー応力について説明した。

連続体力学は、本来は物体(固体)に限定した変形を扱う材料力学よりも広義な範囲(固体に留まらず流体なども含まれる)を扱うので、今回とは別の単元として書いている。

こちらでも、変形に言及していくので、お楽しみに。

画像6

おわりに

今回は材料力学における変形という概念について紐解いてみた。総括としては、変形は大まかに4種類に大別され、物体内部に生じる内力(応力)は2種類だけであることを示した。

材料力学の分野については、個人的にもっと話したいことがある。それは今後で機会を見つけて書いていきたいので、またの機会に宜しくお願いしたい。

-------------------------

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

-------------------------

⭐︎⭐︎⭐︎ 谷口シンのプロフィール ⭐︎⭐︎⭐︎

⭐︎⭐︎⭐︎ ブログのロードマップ ⭐︎⭐︎⭐︎


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?