液体と気体の流動性を考察する流体力学の話 -5-
液体と気体をひとつの「連続体」と見做して、力学的な観点から議論する。流体力学の意味するところです。
流体力学は何かと非線形問題を扱う分野です。守備範囲は水理学や航空力学など裾野が広いです。
今回の連載(投稿)では、流体力学において特有の物理的挙動の表現について、数学の知識を交えてながら整理していきます。
前回は流体力学を代表する3種類の基礎方程式である、連続方程式・運動方程式・エネルギー方程式について、導出までの流れを示しました。
今回はこれまでの基礎方程式を踏まえて、状態方程式やその他の物理条件の扱い方を示します。前回の基礎方程式(復習)も含めています。
状態方程式
流体の運動を決定するためには、前回で紹介した3種類の基礎方程式(保存則)の他に、流体の特性を示した状態方程式の定義が必要です。また、流体は原則的に熱平衡状態にあると仮定します。
例えば、状態方程式を支配する状態変数を圧力・密度・温度(3種類)とするならば、状態方程式は次のように規定されます。
$${f(p,\rho,T)=0}$$
状態方程式は一般的に3種類の状態変数の間に単一の関係式を与えますが、流体力学では状態変化を規定した上で、2種類の状態変数をひとつの関係式で結び付けることが多いです。
このような状態変化については、下記に示す3種類の場合があります。それぞれ3種類の状態変数の中で拘束を一部与えています。
上記のような状態変化を通して、状態方程式はそれぞれ示した通りに規定される訳ですが、どの変数に拘束を与えるかは巨視的状態で決まります。
初期条件と境界条件
流体の運動は流体力学の基礎方程式に従う必要があります。これらの方程式に対する解を決定するためには、流体領域の境界面において適当な初期条件および境界条件を指定する必要があります。
初期条件については、基礎方程式は時間の1階微分を含むことから、初期化以降の状態量は空間座標の関数として定義されます。
境界条件については、固体境界面と変形境界面があります。固体境界面は粘性境界条件・非粘性境界条件に分かれますが、流体速度・境界面速度と法線ベクトルの一致性(内積)が重要になります。
変形境界面は境界の形状変化が空間座標と時刻の関数として与えられる場合と、そのまま基礎方程式の解に相当する場合の2通りがあります。
おわりに
今回は流体力学の基礎方程式の復習と状態方程式について示しました。また、その他の物理条件に当たる初期条件や境界条件を紹介しました。
■一旦の連載完結と参考書籍紹介
今回は流体力学の勉強として、基礎方程式を中心とした一般論などを示しました。各々の流体特性の追求は引き続き進めていきますが、このタイトルでの連載は今回で終えることにします。勉強に用いた書籍をこちらに記しておきます。
まずは、完全流体について勉強を進めることになると思います。その点については、今後ともよろしくお願いいたします。
一旦の連載完結にはなりますが、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事があなたの人生の新たな気づきになれたら幸いです。今後とも宜しくお願いいたします♪♪
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