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エレファントカシマシとスピッツの研究

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エレファントカシマシ とスピッツを詩的に感じるマガジン。
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2021年8月の記事一覧

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」  (第七回)

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」  (第七回)

 そこらの芝生に寝ころんで『エレファントカシマシⅡ』 

 鮮烈のデビューアルバムからわずか8ヶ月後の11月21日、ロックバンドエレファントカシマシ はセカンドアルバム『エレファントカシマシ Ⅱ』をリリースした。

 ある意味では、本作からがエレファントカシマシ の実相を伝える作品群であると私は見ている。デビューアルバムは、ロックバンドエレファントカシマシ としての高らかな宣言であり、現状を顧みな

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「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第六回)

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第六回)

初心童子存在さえも 忘れられて 夕闇みたいな
暗い街に 火をともす ロウソクがあったよ

だから追いかける 君に届くまで
ビギナーのまま 動きつづけるよ
冷たい風を吸い込んで今日も

同じこと叫ぶ 理想家の覚悟 つまずいた後のすり傷の痛み
懲りずに憧れ 練り上げた嘘が いつかは形を持つと信じている
(『ビギナー』:スピッツ アルバム『とげまる』収録)

 リルケの『時禱詩集』に収録されている「修道

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「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第五回)

「エレファントカシマシ とスピッツの研究」 (第五回)

神に近づけなくなった詩人、苦行の始まり『巡礼行』

 ドイツの近代詩を作り上げた詩人ゲオルゲ、彼は何を目指していたのだろうか。

いったいにゲオルゲは、自覚的に態度を重んずる人である。詩文はむろん、つたえられる彼の諸種の写真像や生活態度もそれを裏書きする。無節度と独創性を混同することをドイツ的弱点とし、「ドイツ人がドイツ的な挙措(die Deutsche Geste)を獲得することは十の領土を攻め

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