ブルーボネットでテキサスの春を
日本よりもひと足先に春の気配を感じるテキサス。
春分を過ぎた頃から日差しが強くなり、日によってはすでに初夏の陽気だ。
新緑が眩しく、日本同様に菜の花が黄色の絨毯のように咲き風に揺れ、穏やかな季節の到来をしみじみと感じさせてくれる。
4月ともなると側道には色とりどりのワイルドフラワーが咲き、目を楽しませてくれる。
中でもひときわ目を引くのが青い花、ブルーボネットだ。
3月末から4月末にかけてテキサス中央部によく見られる背丈20センチほどルピナスの一種でテキサス固有種なのだそう。
花びらの形がアメリカ入植者女性の日よけ帽であるボネットに似ていることから「ブルーボネット」と名付けられたという。
アメリカ各州には文化や歴史を象徴する州花が設定されており、開拓期を想起させるこのブルーボネットはテキサス州花でもある。
綿花栽培も盛んであったことから、こちらも候補に上がったというが最終的には1901年州議会によりブルーボネットを州花として選定したそうだ。
去年は「大きなアメリカ」を感じることにばかり目を奪われていたのか、そういえば花や鳥など街の中に溶け込んだ自然の風景に全く気づいていなかった。
この一年何気なく飲んでいたテキサス産ミネラルウォーターのラベルにもこのブルーボネットが描かれていたことに今更気づく。
そうと知って眺めると、なんだか以前よりもその花に対する愛着も増すもので、車窓の景色がより一層楽しくなる。
ブルーボネットの町、Ennis(エニス)
快晴の土曜日、自宅から1時間ほど南に車を走らせエニスという街へ行った。
ブルーボネットの群生を見られる街として有名らしい。
4月中は「ブルーボネットトレイル」というイベント期間中で、一面に咲き誇るブルーボネットの花を楽しむことができるドライブコースが設定されているという。
訪れた日の翌週にはブルーボネットフェスティバルというイベントも開催されるとのことだった。
街も観光案内所もとても可愛らしく多くの人で賑わっていた。
草原や道沿いに開拓時代を象徴するブルーボネットの花が咲き誇る風景は、テキサスの広大な土地と人々のおおらかさを感じさせてくれた。
精巧に作り上げられたガーデンも美しいが、ワイルドフラワーというその土地の風土に根付いた風景にはエネルギーが満ち満ちている。
より一層テキサスを好きになったこの春だ。
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