小説・成熟までの呟き 45歳・2

題名:「45歳・2」
 2035年夏、美穂の娘の日奈子は剣道部として中学校最後の大会に臨んでいた。団体戦では準々決勝敗退だったが、個人戦では準々決勝の壁を破り、準決勝に進出した。白い上着・黒い袴の姿で大きく動いていた。相手は日奈子より少し体が大きく、鍔迫り合いの状態が続いて試合時間終了までに一本を取れなかった。結果は判定負けで、礼をして外に出た後に大きく泣き崩れた。試合会場にいた美穂は駆け寄り、「ここまで頑張ったのだから、このような結果になったことはどうしようもない。でも、まだ3位決定戦があるからそれまでは気持ちを切らさないで。」と声を掛けた声を掛けた。日奈子はすぐに立ち上がり、3位決定戦を戦った。ついに待望の一本が出て、勝利した。礼をして防具を外した後は、とても嬉しそうだった。美穂としては、自分よりも最後の大会で好成績だったこともあったが、日奈子が嬉しそうにしていたことが何よりも微笑ましいことだったのである。

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