『テンシンシエン!』第40話
◆「イチジメンセツツウカ?」
特に予定の無い金曜日の朝。少し遅い時間に起きて、普段あまり見ることのなかった、平日午前の情報番組をなんとなく眺めている。現役時代ではまずなかった光景。
今週は我ながらよく頑張った・・・カジュアル面談もあったが、一次面接的なイベントを3件こなし、そのうちの1件は、早々に二次面接へコマを進めた。他の2件も手ごたえは悪くない。良い週末が過ごせそうだ・・・。
そんなことを考えながら、顔でも洗おうと洗面所に行く。鏡を覗くとなんともみすぼらしい初老の男性がいる。髪の毛は伸び放題。しかも白髪交じりのため、日本昔話に出てくる山姥のようだ。面接のときは整髪料の力を借りてなんとか押さえつけているが・・・それもそろそろ限界か・・・
そう言えば、最後に髪の毛を切ったのはいつだっけ?
思い出すのに、ずいぶんと時間がかかる。
週末は久しぶりに髪の毛を切りに行こう。
少し身なりを整えないとな・・・・
ひょっとしたら再就職先が決まるかもしれないし・・・
ネットで予約しようとアプリを立ち上げる。履歴から馴染みの・・・と言っても年に1~2回ほどしかお世話にならないが・・・美容院を再予約しようと週末の予約状況を見る。有難いことに、このお店は、いつも予約が空いていて、私のように急に髪の毛を切りたくなるようなものにはとても助かる。かといって下手な訳でもないし、行くと他にも客はいて、見た限りずいぶんと繁盛しているように思える。オーナー夫婦以外にもスタッフは3名もいて、みな忙しそうだ。そうなると逆に、この予約アプリの仕組みが気になってくる。
まぁ今回も土曜日の予約はガラガラなので、自分の好きな時間帯で予約が取れた。いつものように”カット、カラー、パーマと、トリートメント”の3時間コースで予約する。担当はもちろんオーナー。すると予約完了のメールが届く・・・同時に他のメールも何件か入ってきた。エリートコネクションの黒澤さんと、パーソナの中田さん。
表題で分かる・・・どちらも一次面接合格の連絡。
やった・・・と心の中で呟く。
本当は飛び跳ねて喜びたいのに、受かって当たり前のような態度をする。
誰も見ていないのに、冷静を装いながらメールに目を通す。
次はパーソナ・・・よしっ!。
2日はNEKSTの二次面接だから・・・3日か4日か・・・だな・・・。
すぐに、6月3日木曜日10時からと、6月4日金曜日10時からを希望する旨、連絡した。すると、数分で中田さんから連絡が届いた。
パーソナプロセス&テクノロジーの二次面接は、6月4日金曜日10時からで決定した。
6月1日(火)11時~ Davis/フューチャーコンサルティング
6月2日(水) AM エリートコネクション/NEKST
6月4日(金)10時~ パーソナ/パーソナプロセス&テクノロジー
来週はまるで二次面接週間。就職支援センターの山泉さんに連絡しなくちゃ・・・喜びながら、悔しそうな顔をするのだろう。あの人いつも、そんな感じだ。
この週末は各社の企業研究を深堀して、現事業の分析から、より戦略に沿った提案事項を考えてみよう・・・フューチャーコンサルティングのお題は強敵だ。実際に実行可能なプランを立案する必要がある。あっ、そう言えばDavisの井村さんから資料が届いていた。ちゃんと目を通しておかないと・・・
この調子でいくと、7月には新しい勤め先に勤務できそうだな・・・