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2店舗目を百貨店でやる覚悟と出会いの話

ヴィーガン&グルテンフリースイーツの専門店chatをオープンして5年目、ついに2店舗目が2022年10月17日にオープンします。
場所は、札幌三越。
言わずとしれた、あの三越伊勢丹グループの札幌店です。

 私が代表を務める(株)TREASURE IN STOMACHは、6年前に創業し、「one  table for everione!」をビジョンに掲げ、グルテンフリー&スイーツの専門店「chat」を開業しました。

chatのスイーツ・全てヴィーガン&グルテンフリー
 左上から時計回りに、いちごのムース / アマレットのクグロフ / デコレーションケーキ / クッキー缶


 私たちは、札幌に根を張り、食や体質の違いを超えて、みんなが楽しめるお菓子を届けつづけています。
最初は1人で始めたお店でした。たくさんの山あり谷ありでしたが、仲間も増えて、今ではアルバイトも含めると総勢11名のチームになりました。

 少し、昔話をします。
創業当時は、ヴィーガンもグルテンフリーも、そんなに有名ではありませんでした。
それなのに、なぜ創業したのかというと、「アレルギーなどの健康状態や考え方によらずみんなが美味しく食べられるもの」が絶対に必要だと思ったからです。私自身の小さい頃からの夢がお菓子屋で、でも、原因不明のアレルギー・アトピー体質だったことが、強く影響しています。

   
 今でこそ、健康への関心や食物アレルギーの増加に伴い、首都圏ではよく見かけるヴィーガン&グルテンフリーの専門店ですが、等しくニーズがあるにも関わらず、地方には満足にサービスを提供できる飲食店が、ほぼないのが現状です。

 地方在住で、何かしらの理由により食べられないものがあっても、食を楽しむことを諦めてほしくないのです。住む地域によって、食の選択肢に格差を産みたくないのです。

  アレルギーやヴィーガンだと、そもそも飲食店に食べられるものがなかったり、あっても決められた1種類しかなくて、選ぶ余地がないことがほとんとですが、chatの店頭に並ぶ常時20種類以上のお菓子は、全てヴィーガン&グルテンフリーです。
 

冷蔵ショーケースにはたくさんの生洋菓子が並びます。


  chatでは、食に制限があってもなくても、たくさんのものの中から、お気に入りの1つを選ぶことができます。
正直、フード系ベンチャー企業としては、強い1商品を作って、それをマーケティングしてゴリゴリと売っていく方が、うまく行きますし、ずっと楽なのですが、それでは本来お菓子屋がお客様に提供する「好きなお菓子を選ぶ楽しみ」を提供することができません。

私がやりたいのはお菓子屋です。

なので、大変だけどたくさんの種類を作って、「お菓子を選ぶ楽しみ」も全てのお客様に等しく提供したいのです。

地方でも、画一的でなくバリエーションのある食を通して、価値を提供をしたい、そんな思いで百貨店での開業に踏み切りました。


もちろん、百貨店出店は、札幌三越のバイヤーさんのご助力があってのものです。
お菓子屋としては歴史が浅く、ヴィーガン&グルテンフリーという変わったスイーツを扱ってるブランドを信じて、場所を貸してくださることに、懐の深さと感謝を感じています。
長い三越の歴史に恥じぬよう、来店するお客様に喜んでいただくことを通して、恩返しして行きたいと考えています。
 
 chatは今でこそ、全国津々浦々、日本中の催事に出店させていただいてますが、生まれて初めて百貨店で催事出店させていただいたのも、札幌三越でした。担当バイヤーさんには、ここまで育てていただき、とても感謝しています。


 さて、百貨店で2店舗目を開業するまでには、3つの転機がありました。
その転機について、このnoteではまとめます。

しかし、結論から言うと「出会いと覚悟」が経緯の全てです。

どんなに1人で頑張っても、良い人とのご縁がなければ、会社を成長させることはできません。


・経営者として、会社を見回しみんなが楽しく働けるように環境を整える。
・ブランドとしてどうなって行きたいかを見据えて船頭とる。
・お客様に喜んでいただくための努力を惜しまない。
・自分がやってることは正しいと自分が1番信じる。
・だから、何かあった時の責任は全部自分がとる。


この5つは、私が仕事をする上で、1番大切にしていることです。

前段がかなり長くなってしまいましたが、ようやく転機についてお話しします。



転機1 働きすぎて倒れる

開業してから3年ほどは、株式会社という形を取りながらも、ほぼ1人で、お菓子を作って販売し、マーケティングをして、営業もして、経理総務もして…と、「お菓子屋」に関係する仕事を全て1人で行っていたので、本当に大変でした。
朝から晩まで、大きなプレッシャーと闘いながら、精神体力共に張り詰めて仕事をし続けていたので、案の定、私の体は限界に。持病のアトピーが大爆発し、仕事ができなくなってしまい半年ほど、お休みすることに。

経営者という生き物にとって、長く休むことには勇気がいります。
しかし、体に良くてヘルシーなものを提供してるのに、その作り手がブラックな状態で心身疲労するのは、全くもって本末転倒です。
体の悲鳴は心の悲鳴。何をやっているのだ自分は!と、状況や会社の方向性をよく考えるきっかけになりました。

倒れるまで仕事をするのは、良いことではありませんが、1人でできる限界まで仕事をやりきれたので、会社全体のありとあらゆることを把握できているのは、今、社員やアルバイトをマネジメントする上で、とても役に立っています。
自分が大変だ辛いと思ったことを、社員には一個も感じてほしくない という覚悟で、社内の仕組みを考え作っています。

その甲斐あってか、今いる社員やアルバイトは、みんなカルチャーフィットしてて、楽しそうにお仕事してくれます。

お菓子屋さんは、お客さまももちろん、とても大切ですが、それと同じかそれ以上に、一緒に働く社員やアルバイトも大切です。
「1人でできることには限界があって仲間がいないと、何もできないのだ」ということを療養から身をもって実感したからこそ、仲間を大切に、彼女彼らの働きやすさを1番に考えたい そう思っています。

転機2 仲間が見つかる

 療養後、1人の限界を強く感じた私は、仲間集めを開始しようと考えました。
勤務条件やどんな人と働きたいかなどなど、思案を巡らせ、採用文章を作り、募集を開始しようと思ったまさにその直前に、とても素敵な出会いがあったのです。

今のチーフパティシエの前田彩がこのタイミングで、会社のドアをノックしてくれました。

私と同い年で、お話ししてても、なんだかとっても楽しい。
一緒に働きたいなと思ったのが第一印象でした。

一応採用文章作ったしということで、応募をnoteやSNSで公に広く公開しつつも、頭の中では「彼女しかいない気がする 」。

意外なことに、ヴィーガン&グルテンフリーへの関心は当時から強く、応募が複数ありましたが、それでもやっぱり彼女だよなあ という思いがどうしてもあり、何回か面接をさせていただいて、仲間になってもらうことになりました。

彼女のおかげで、私は人を雇用することはどういうことか やお菓子屋ブランドとしてどうなりたいか をより具体的に、明確に考え、未来を目指せるようになりました。

それに、やはり、プロのパティシエ。
技術力が違います。
彼女のおかげで、chatのお菓子はより美味しく、可愛くレベルアップしていきました。

可愛すぎて美味しすぎるクグロフ!

 chatのお菓子は全て私が作ってると思われがちですが、前田が入社したタイミングで、順次引き継ぎを行い、お菓子の製造周りはほぼ全て彼女に任せています。

「お菓子作り」の部分を、彼女に渡すことができたので、私はそれ以外のことに集中できるようになりました。
何かあった時に、1人で抱え込まず、相談できる仲間がいる というのも、とても心強く感じています。

少人数の会社でも、たくさんお菓子を作れるように、効率化して仕組みを作ったり、営業をしたり、催事やイベントに積極的に出店したり、より広範囲にお菓子を届ける仕事ができるようになりました。
今までリソースがなくて諦めていたこと全てに手を出せるようになったことは、ブランドとして成長する大きな足がかりとなりました。

そうして、さらに転機を迎えます。

転機3 VCからの資金調達

 お菓子屋だけどVCから資金調達をしました。
VCからの資金調達以前も、アクセラレーターや、エンジェル投資家にも入っていただいていたものの、VCの大久保さんとの出会いで、さらに会社として、自信を持って、世に打って出ることができるようになりました。

何か困ったことがあった時に、経営者として足りないスキルがあった時に、大久保さんは優しくそばで見守り教えてくださり、実際に手を動かしてくれることもあります。
成功を信じてリスクをとって下さってるだけでも心強いのに、それは、とてもありがたいことです。
遠い将来にリターンをしっかり返すためにも、頑張りきろうと気を引き締め、経営者としてステップアップできたと思っています。

もちろん、当初からジョインして下さってるエンジェル投資家の皆様も、とても素晴らしいのです。東京で催事をする際は、駆けつけてくれたり、プレスリリースの書き方を教えて下さったり。
私が体を壊して長期療養をする連絡をしたときも、みなさんとても優しく声をかけてくださいました。
みなさん、辛い時は一緒に悲しんで、どうしたら良いかお知恵をくださり、嬉しい時は一緒に喜んでくれます。私は、本当に人に恵まれています。

PRを業務委託でお願いしてる清水聖子さんがジョインしてくれたことも、私にとっては宝物です。働きすぎのきらいがある30代女性同士、同じトーンで相談できて、阿吽の呼吸で仕事ができる仲間がそばいるのは、心強い!
打ち合わせも、仕事の話からそれることが多いけれど、すごく楽しいのです。


さて。(やっぱり話がそれました。)
以上、3つの大きな転機が絡み合って、今に繋がっているように感じています。
これら転機をまとめると「人との出会いと覚悟」のそれにつきます。

自分の限界を知ったから、
仲間の大切さを誰よりも強く知って、
一緒にリスクをとって勝負してくれることの価値を知り、
社内外お客様問わず関わる全てのみんなに恩を返すためにも、
社内外お客様問わず関わる全てのみんなが喜ぶことに敏感になって、
チャンスに200%で打ち返し絶対に次につながる結果を残すという覚悟。


それは、自分の体と心の中の、深いところに根付いています。


こう書くと、体育会系っぽいですが、私も会社の雰囲気も、体育会系とは程遠い雰囲気です。
あまり外には出さないけれど、心に秘めてる情熱と根性だけは誰にも負けない、踏ん張りがきく会社だと自負しています。
(不思議なことに、文化系部活経験者が集まっています。)


 2店舗目を百貨店で と言う機会に、結果を200%出すためにも、ご来店いただくお客様に喜んでもらうには、どうしたら良いかばかりを、今は毎日考えています。
人が喜ぶことに敏感になること はお菓子屋にとって大切な資質の1つです。
ヴィーガン&グルテンフリーのスイーツはまだまだ珍しい存在です。
だからこそ、普通のお菓子ブランド以上のサービスを提供して、ご来店いただいた皆様には、楽しみながらお買い物をしてもらうことを目指します。

 ベンチャー企業という形でお菓子屋をやるには、周囲の理解と応援がないと成り立ちません。
これからも、関わる全ての感謝して、影響しあって、たくさんのことを教えてもらいながら、成長していきます。

 札幌三越の店頭には、私も接客で立っていることがありますので、ぜひいらしてください。note読んだよ と言っていただけると、とても喜びます!

それでは、札幌三越で、皆様のご来店をお待ちしております。


◆店舗情報
【chat 札幌三越店】
・オープン日:10月17日(月)
・場所:札幌三越 本館地下2階(札幌市中央区南1条西3丁目8)
・営業時間:10:00~19:30
・定休日:札幌三越に準ずる

【chat 札幌円山本店】
・場所:札幌市中央区南6条西23丁目4-26
・営業時間:11:00~17:00
・定休日:日・月・火







note書くときのコーヒー代や、クロエちゃんへのスペシャルおやつ代にさせていただきます٩( 'ω' )و