アカデミー賞受賞!「君たちはどう生きるか」意味不明という批判を超えて(ネタバレあり)
45才公務員クエスト失敗おじさんの「ありのこ」です。
先日発表されたアカデミー賞。
宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が長編アニメーション賞を受賞しました。
「世界で売れるためのマーケティングなんて無視している」としか思えないアニメ映画。
なのでアカデミー賞を受賞したのは驚きです。
世界的なマーケティングを考えたら「太平洋戦争末期の日本」を題材にしないでしょう。
「君たちはどう生きるか」は日本国内ですら好き・嫌いがはっきりとわかれている作品です。
公開直後はYahoo!映画での評価が3を割り込んだこともあったくらいですから。
私は映画「君たちはどういきるか」の肯定派です。
5点満点中4点くらいでしょうか。
★4つ。
甘い採点なら4.5点でも良いかもしれません。
肯定派による映画「君たちはどう生きるか」の感想を書いていきたいと思います。
このnote記事はネタバレありです。
なので映画「君たちはどう生きるか」をまだ見てない方はこのnote記事は読まない方が良いと思います。
ここで引き返してください。
そして先に書いておきます。
私はジブリフリークではありません。
私はアニメオタクでもありません。
私はジブリやアニメに関して単なる一般人です。
そんな一般人が映画「君たちはどう生きるか」を映画館で観た感想です。
・映画「君たちはどう生きるか」のストーリーは難しい?
映画「君たちはどう生きるか」は否定派もかなりいるようです。
否定派は「ストーリーが意味不明」という感想が多いようです。
え??
そうなの???
だいたいのストーリーはわかると思うが・・・というのが私の素直な感想です。
「君たちはどう生きるか」ってジブリアニメ王道のストーリー。
「君たちはどう生きるか」って宮崎アニメ王道のストーリー。
違うのかなぁ??
甘えん坊が自立してハッピーエンド
これだけじゃないの??
宮崎駿作品の典型のパターン。
テンプレ。
「魔女の宅急便」は少女が知らない町(≒少女にとっては異世界に近い)に行って自立する、そしてハッピーエンド
「千と千尋の神隠し」は少女が異世界に行って自立する、そしてハッピーエンド
「君たちはどう生きるか」も少年たちが異世界ににって自立する、そしてハッピーエンド
この理解だけでよいと思うのだが・・・
みなさん難しく考えすぎなんじゃないの???
たしかに私にも確かに分からないシーンはいくつもありますよ。
たとえば「13個の積み木は何なのか?」
「宮崎駿の長編の数が13個(くらい)なので、宮崎作品のことだ」という説があるようです。
他には「13年くらい続いていた日中戦争のことだ」というなかなか興味深い説もYouTubeで見ました。
結局のところは私にもわかりません。
でもそういう細かい部分はわからなくて良いと思います。
「甘えん坊が自立してハッピーエンド」だと思っておけば良い。
「君たちはどう生きるか」は「甘えん坊の自立ストリーなんじゃないのか?」と予想したのはかなり前半の部分です。
予想というのは宮崎アニメのテンプレパターンだから「ああ、例のパターンか」と。
マヒト君が弓を作っているシーン。
「え?教えてもらわないと自分で作れないの???」って思いました。
「甘やかされてそうなったのかな?」と。
偉そうに言ってますが、私も弓矢なんて作れませんよ。
でも戦時中の男の子だったらなんか作れそうな気もします。
高度経済成長より前の男の子って色々なものを作ることができたイメージが勝手にあるので。
うーん、この辺は分からない・・・。
ただ金持ちである父親の様子を見ると「マヒト君は甘やされていた」という推察はできますよね。
そのマヒト君が偉いのは教えてもらいながらも弓を「自分で」作ろうとしているところ。
おじいさんを買収しているのだから「作って」と頼んでも良かったと思います。
でも教わっているんですよね。
自立への第一歩でしょうか。
またタバコでおじいちゃんを買収していることも自立と捉えられます。
「金持ちお坊ちゃまのキレイごとだけではない」と。
マヒト君は異世界に行った後では肉を切っています。
若い女性のキリコに「こんなこともできないの?」みたいなことを言われながらも大きな肉のかたまりと格闘しています。
あんな大きなお肉を切ることは現実世界でもありません。
しかし「異世界ではできて当然とされること」がちゃんとできるようになるという意味では自立だと思います。
マヒト君は中学生くらいなのでしょう、きっと。
戦時中は国民学校制度で今の教育制度と違います。
だから今の教育制度だと中学校何年生なのかピンとは来ませんが。
「中学生くらいの男の子が自立していくストーリー」だと思いました。
ただしマヒト君だけが自立していくのかというと実は違うのだと思います。
「父親の再婚相手であるナツコが自立していく」話でもあると思います。
ナツコは「マヒトの母親の妹」です。
マヒトの母は死んでますから、金持ち父親は「死んだ妻の妹」と結婚しています。
え?
気持ち悪い!
はい、映画を見た大多数の意見です。
そして妊娠もしています。
えええ????
さらに気持ち悪い!!!!
はい、映画を見た大多数の意見です。
気持ち悪いのはマヒト君も一緒。
思春期の男の子ですからね。
死んだ母親の妹が父親と結婚。
しかも妊娠している。
気持ち悪いでしょう。
悪意はない、というよりむしろ善意なのでしょうけどナツコさんはマヒト君と仲良くしようとして空回りします。
というかいきなりはムリでしょ、思春期の男の子には。
自分のお腹にマヒト君の顔を持ってきて「弟か妹がここにいるのよ」みたいなことを言っています。
普通に気持ち悪いでしょ。
本当の母親なら「わーい、きょうだいができる!」と喜ぶかもしれませんが、死んだ母の妹のお腹ですから・・・普通に気持ち悪い。
ナツコさんは本当の母と同レベルで母親扱いしてほしかったのでしょう。
しかしいきなりこれは逆効果でうかつすぎます。
子供ができる行為をするという意味ではオトナなんでしょうが、その年齢にしては精神的に幼い気がします。
「ナツコさん、もっと成長してください」と言う感じ。
また自宅で父親とイチャイチャしてキスしてます。
マヒト君には気づかれてないと思っているでしょうが、そういうことに思春期の男の子は敏感ですよ!
うかつすぎます。
キスをするという行為は大人ですが、そこでキスをするのは(精神的に)子供すぎます。
とは言えナツコさんをフォローすれば「父親よりマシ」なんですよね。
少なくとも「石を使って自分のこめかみを殴った」というマヒトくんの悪意には父親よりも事情を察している感じです。
またナツコさんはつわりがひどかったので精神的に不安定だったのでしょう。
「ナツコさんと父親の結婚」が映画を見た人たちに気持ち悪がられまくっているのは同情します。
いや、私も映画館ではかなり気持ち悪かったですけど。
家に帰ってネットで調べてみると昔はこういう再婚はあったそうなんですよ。
「奥さんが死んだあと、奥さんの姉か妹と結婚する」って。
「順縁婚」というそうです。
戦時中の結婚は家が大切な時代。
家の格がつりあっていることが大切。
で、特にお金持ちだと特に「資産を保全する」という意味もあったそうです。
マヒトの父親の家も母親の家もお金持ちですよね。
「家の格がつりあっていて資産が保全できる家どうしである」チェックが済んでいる。
だったら「死んだ奥さんの姉か妹と結婚する」ってなるみたいです。
んーーーーーーーーー、宮崎駿監督、さすがにそこは説明しましょうよ。
ほとんどの人たちはそんなん、知らんよ。
戦後生まれの団塊(だんかい)の世代が後期高齢者になっているのが2023年なんですから。
と、いろいろナツコさんをフォローしましたがマヒト君には関係ないですけどね。
家でチュッチュされたらマヒト君はたまったものではないですから。
もう1人自立する人物を挙げておきましょう。
異世界にいるマヒトの母親です。
ヒミさん(現実世界ではヒサコさん)ですね。
詳しく描かれていませんが「マヒト君と同じく母親が死んで異世界にエスケープしている」みたいです。
現実世界で父親が使用人のおばあちゃんから「ヒサコさんが1年くらいいなくなった」話を聞かされています。
父親が知らないので、結婚する前の話ですね。
母親が異世界に行っていたのはマヒト君と同じくらいの年齢のときなのかもしれません。
だから現実の世界の時間とはズレているのでしょう。
時間はズレているのでマヒト君が異世界で再会した母親はマヒト君を生む前の母親になります。
時間がずれていても母親に再会できたのでマヒト君はハッピーなのだと思います。
結論を言うと映画「君たちはどう生きるか」は
お話だと。
ただしヒミさんだけは違う扉を開けるので違う時代の現実世界に戻るのですが。
きっとこれはハッピーエンドなのだと思います。
宮崎駿監督は「どんなに厳しくても現実世界で生きる方が素晴らしい」と思っていて、その素晴らしい選択をしたのだからハッピーエンドということで良いのではないでしょうか?
・映画タイトル「君たちはどう生きるか」はタイトル詐欺?
映画「君たちはどう生きるか」否定派が「タイトル詐欺だ」と怒っている人もいるようです。
ただ君たちをマヒト君、ナツコさん、ヒミさんの3人だと見た場合はどうでしょうか?
3人とも「異世界から厳しい現実世界に帰ったあとどう生きるのか」が問われる訳です。
ヒミさんだけは帰る時代がずれています。
久子さんとして生きる時代はどんどん戦争一色に染まっていく時代です。
現実世界は厳しい。
マヒト君、ナツコさんはもっと厳しい。
太平洋戦争最後の1年の日本に戻るのですから。
太平洋戦争での民間人の戦死者は最後の1年に集中しています。
日本全体が太平洋戦争最後の1年がすさまじく悲惨。
(この辺も宮崎駿監督は説明してないですよね。戦争当時を生きた世代には当たり前なのでしょうけど)
マヒト君もナツコさんも疎開しています。
けれど日本は本格的に空襲でメチャクチャになります。
インフラはメチャクチャ。
食料など物資は不足しまくり。
現実世界は地獄です。
そんな厳しい現実世界を「君たち3人はどう生きるか」なのだと映画館で感じました。
そしてマヒト君とナツコさんは戦争を生き延びた描写がありました。
だから「戦後苦しい現実世界をどう生きるのか」も含んでいるのだと思います。
軍事産業はGHQからフルボッコにされましたから父親の仕事もひどいことになったでしょうし。
ただおもしろいのは「厳しい現実世界を3人がどう生きたのか」は描かなかったことですね。
映画「君たちはどう生きるか」についてはほかにも色々考えることがあります。
このnote記事のの反響が良ければ映画「君たちはどう生きるか」の第2弾を書きます。
よって皆さまの応援があると非常に助かります。
*このnote記事は2023年7月21日にアメブロで公開したものを再編集したものです。
無職の難病患者なのでサポートしていただけると大変助かります。 サポートしてくださると庶民の味方・ドトールに行けるようになります。