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【TENET】→?→連想→物理

クリストファー・ノーラン監督の「TENET」をさっそく拝見してきた。

1回目だったため、正直音楽や映像美、撮影技術をじっくり鑑賞する前に、ストーリーについていくのにとにかく必死。これは何度も見なくてはならない映画だと瞬時に判断。途中で内容も複雑になっていき、フェードアウト...とはならずに崖っぷちを彷徨う後半戦。

「TENET」うーむ、実に奥が深い映画。とりあえず、この記事では私が映画から連想したことを書くとする。

物理学

「TENET」では、「時間の逆行」が大きなカギとなる。クリストファー・ノーラン監督の映画はつねに「時間」と「空間」が大きなテーマになると考えている。今回はただ逆行するわけではなく、順行する時間と複雑に絡み合うため、非常に難解なストーリーであった。

祖父殺しのパラドックス、対消滅、エントロピー。物理ワールドのオンパレード。だが、それがまた面白い。

物理学を知っていると、見えている世界が変わってくる。私たちが真実だと信じているものが、実は真実ではない。

私は高校生まで、いや大学2年生までは物理は難しい、つまらないと思っていた。正直、そう思わせてしまう日本の教育に喝を入れたい気持ちもするが、それは置いとこう。

遠く遡ると、人類は地球が宇宙の中心だと考えていた。(今思うとなんて傲慢なことだと思うが、それも仕方がない。)

アインシュタインの発見した相対性理論で、引き合う原因は時空間の歪みであることが判明した。時間も空間もいつも一定だと信じていたが、それは違っていたのだ。

だから私たちの今いる世界は果たして本当に「現実」なのだろうか。今見えている世界は本当に「存在」しているのだろうか。自分の「記憶」は正しいのだろうか。

実際にこの世界がマトリックスの世界である可能性もある。現に、私たちが見ている光も、本当のところはものが反射している光を見ている。

ここから、私たちの世界は本当は投影された虚像である可能性もある。(これもまた面白い物語ができそう。)

私たちは常にこの世界に「問い」を持たなくてはいけない。「常識」は果たして本当に「正解」なのか。それさえも「虚像」なのではないだろうか。

フラスコの中の小人

エントロピーは情報である。

一見何を言うとんじゃとなるが、ある空間で、粒子はバラバラに動いているが、もしも空間の中に温度差があった場合、温度が高いところでは粒子の動きが速くなり、温度が低いところでは遅くなる。

温度が等しいところでは粒子はどこでも同じような動きをする。

つまり、温度の違いと言う情報がある方が、ランダムさは少なくなる。逆に全くのランダムだと情報が少なくなる。

どのくらいランダム(情報がない)かを、「エントロピー」と呼ぶ。これは「乱雑さ」を表す物理量である。エントロピーが高いほど、ランダムで情報がない。逆にエントロピーが低いほど、情報を持つ。

逆行はエントロピーを小さくすることで可能となると本作で言っている。これはつまり、情報量が拡散する(多くなる)ことである。その逆も然り。私たちの世界(順行)ではエントロピーが増大する=情報量が凝縮する(少なくなる)ことである。

ここで疑問が生まれる。私たちの世界ではどんどん情報が多くなっている。しかし、実際は時間が進む=エントロピーが増大する→情報量が少なくなっている。

あくまで私の推論だが、私たちの世界では情報の圧縮を行っていると考える。この世界には決まった数値のメモリがある。しかし、情報量は多くなっている。日々情報を圧縮することで時間が進む。

この作業は果たして誰が行っているのだろうか。我々の言う「神」なのか?それとも、我々は次元の高いどこかの世界のゲームの中か?コンピューターのメモリなのか?

私たちが実験動物を扱っているように、私たちは、より高等な生物(有機体)の実験体となっているとも考えられる。

物理はガリバートンネル

私はこの映画から「物理って面白い!」と思った。

私たちは様々なスケールで物事を捉えることができる。ある意味、タイムトラベラーでもあり、ガリバー旅行記のガリバーでもある。

物理には無限の可能性を秘めている、それは映画も然り。

私たちに夢を与え、空想の世界に誘う。そこから新たな世界を築くことができる。

「TENET」は壮大な思考実験であり、私たちに気付きを与えてくれる映画であった。

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