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僕はヒーローでもなんでもなかった。 熊本の被災地で感じた "無力感" と "希望"。

7月中旬から地元の災害支援ボランティアに参加しております。

今はできる人が、できる事をしていかなければいけない状況です。

雨によりなかなか作業が進まない日もありましたが

ようやく梅雨も明けて、晴れの日が続くようになりました。

蒸し暑さの到来です。

なぜ私がこのボランティア活動に参加を決めたのか?

アメリカに留学してすぐの2011年3月に東日本大震災。そして、仕事をはじめて2年目の2016年4月の熊本地震。私は日本から離れた場所、アメリカにいました。学業や仕事でかなり忙しい時期だったと思います。そんな日々の中で、困っている母国や地元に何もできない無力感に苛まれていました。自分はなんてちっぽけな存在だなと。当時はYouTubeで被災した映像を眺めることしか出来ませんでした。今思うと出来ることは沢山あったなと思います。

今回はコロナの影響でメキシコでの仕事がキャンセルになり、熊本の実家にいる時に起こった今回の豪雨災害。幸いにも自分の実家は大丈夫でしたが、車で20分ほどの球磨川の上流地域はかなり被災しました。そこでふとアメリカで生活していた時の記憶が蘇ってきました。今の自分が動かなくて、どうするんだ。人手が必要で困っている方がいる中で、この決断は必然でした。出来るだけ被災された方に寄り添ってサポートしたいなと。身の程を知らない、ヒーロー気分な自分が出てきちゃったのだと思います。

現実を受け止めれない、 自己満足なヒーロー。

活動を通して多くの方と関わり、自分自身が ”与える” “サポートする” 側 だと意気込んでいましたが、実際は多くのことを教えていただき、サポートしていただきました。初日のボランティア活動のリーダーから言われた言葉が印象的でした。"無理しないで、自分のペースでやりましょう"。映画のクライマックスで主人公が指揮を高めるための言葉、名言が出てきそうな場面でしたが平凡な一言。この言葉にヒーロー気取りの僕は救われました。そして、災害ボランティアの本質を少し知ることができました。

被災している地域に着き、最初は足がすくみました。道路には壊れた車がサイコロのように転がっており、あらゆる場所に大量の土砂が溜まっていました。受け入れ難い光景でした。お手伝いさせていただいた家の方の話によると、ここは昔から川の水が来ることはないと言われていた場所だそうです。そこに濁流が家の二階の天井まで押し寄せ、家族で屋根によじ登り、5時間後に自衛隊のヘリコプターに救助されたとのことです。命があっただけでも良かったと、疲れた表情でおっしゃっていました。ご無事で何よりです。

何をどうすれば良いか分からない状況で、自分よがりな軽い正義感はなくなりつつありました。気温と湿度が高く、土砂の掻き出し作業中は常にマスク着用を義務付けられているので、思っている以上に過酷。そして、カビや何かが腐った臭いで、ますます理性を失いそうな自分がいました。いろんな感情が入り乱れる中で、無心で作業をしている私にかけてくれたリーダーの "無理しないで、自分のペースでやりましょう"に救われ、気持ちが楽になりました。顔が濡れて力が出ない状況で、ジャムおじさんが作った新しい顔を、バタコさんが投げてくれる。そんなシーンでした。ヒーローは周りの助けが必要なんだな。むしろ誰がヒーローとかは関係ないんだと思います。

ボランティアとは?

今だから思うんです。ボランティアの意味や価値は、やる人が自分で見つけて、自分で解ってればいいんです。周りの人がとやかく言うことではない。だからボランティアが偉いねって言葉に少し違和感を感じてしまいます。活動初日の自分だったら "偉いね" や "凄いね" という言葉に気持ち良くなっていたでしょう。ですが被災地域で活動してみて、考え方が少し変わりました。利他 = ボランティア は、助け合い、分かち合い、補い合いの世界で生きていくためには大切なことです。でもあまりに自分のことを犠牲にしてまで、偏り過ぎてはいけません。無理せず、あまり頑張り過ぎず、自利とのバランスを取って取り組んでいくことが大切です。

"ボランティア" に参加することで、心理的に大きな変化があることに気づきました。自分が誰かの役に立っていると思えることは、自分の価値や存在意義を高めることに繋がります。自分に自信を持てるようになり、自己肯定感が高まります。満足の基準は他人が決めるものではなく、自分で決めるものです。ボランティア活動を強要したりする行為は、自分の価値観の押し付けであり、その本質とは逸脱した行為なんだなと。あくまでも出来る人が、出来ることを。このスタンスが重要なんだと思います。

最後に

個人で出来ることは限られていますが、その個人の一歩や想いが、大きなモノとなって被災地に、確実に届いていました。見えにくい部分ですが、支援物資や励ましのメッセージで救われている方が沢山いるんです。活動を通じ、それを感じる場面が多々あり、復興のエネルギーとなっていました。熊本で大雨が降った日から、今日で一ヶ月が経ちました。まだまだ日常生活を送れる状況とは程遠いです。皆さんのチームワークで、一日でも早く笑顔が戻ることを願っております。できることを少しづつ、コツコツと。

八代市坂本町のお宅を訪問して、お手伝いが終わったあとに、家の方が申し訳なさそうに、「今日はありがとうございました。」と言われていました。困った時は、人に頼って良いんだ。そんな当たり前のことを感じました。震災やコロナの影響で制限の多い生活が続きますが、こんな時だからこそ周りの人を思いやる気持ちが大切なんだと思います。今、隣に座っている人や職場の方に、ちょっと照れくさいけど ”ありがとう” を伝えられる環境作りって大切だと思います。面と向かって恥ずかしいなら、自分なりの方法で伝える。その気持ちはきっと届くと思います。困ったことがあれば、ヒーローって必ず来てくれますからね。俺、参上!みたいな感じで。思いやりを持って、一人一人と向き合って生活していれば、手を差し伸べてくれるはずです。

もしも困っている人がいれば

あなたも、ヒーローになれのかもしれません。

ジュワッチ。



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