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私と吹奏楽(2)

私は、吹奏楽部に入部するまで音楽漬けの日々を送っていたわけではなかった。ピアノとエレクトーンと1年だけ入っていた音楽クラブで触れたいくつかの打楽器。本当にその程度だったし、どれも特別力を入れていたわけではない。

ただ、音楽は好きだった。小学生の頃、学校から帰ってきて、真っ先に音楽を聴いていたような気がする。最近の流行りの曲、というよりは昔の曲が好きだった。
音楽を聴いていると学校であった嫌なことを忘れられる気がした。

中学校に入学した頃、最初は吹奏楽部に入るつもりなど全くといっていいほどなく、小学生の時、3年間習っていた書道を続けたいし、書道部に入ろうと思っていた。しかし、中学生になるんだし、今までとは違う何かに挑戦したいという気持ちもあった。そんなとき、吹奏楽部の文字が目に留まった。

見学だけでもしてみよう、そんな軽い気持ちで音楽室の扉を開けた。

そこで聴いた演奏に驚いた。全員がとても輝いて見えた。技術がどうかは素人の私にはわからなかったが、とにかく楽しそうで、青春だと思った。私もこうなりたい、演奏する側の人になりたいと強く思った。

気づくと入部届を出していた。吹奏楽部、自分とは縁のない部活だと勝手に決めつけていた。でも、あの演奏を聴いて、吹奏楽部に入りたいという思いを止めることはできなかった。

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