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爆烈乱闘篇 その4「右京」SFCらんま1/2開発の思い出

 今回は、最初に作ったキャラである うっちゃんこと「お好み焼きの右京」を中心に諸々思い出話を書いて行きます。
 最初故に作りながらいろいろあったので、たぶん全キャラ中一番長くなると思います。


▼前回▼

キャラ選抜理由

 右京は前作町内激闘篇のアンケートはがきの中でも「出してほしい」という要望がトップクラスのキャラでした。
 前作があっての新作なので、明らかに前作と違うテイストのキャラは必要なのとゲーム的に考えても面白そうな技を考えれそうですし、出さない理由は無いので克さんとの打ち合わせでサクッと選抜が決まりました。
 開発クロッキー帳でも頭の方で沢山スケッチを描いてます。

当時の開発クロッキー帳より、右京基本ポーズ検討。

全キャラ基本ポーズドットを作る

 選抜キャラが打ち合わせで決まってから、プログラマーの克さんとそれぞれ一旦、なにができるか、どうしていくかの研究期間に入りました。
 私の方は選抜キャラ全ての立ちポーズをまずは全員分ドット打ちして、ここで身長差サイズ感を確認。

近年のTwitter解説用

 各キャラは担当者に渡した時点で担当者の動かしやすいように改良してもらっているので、最終的には私のドットからはいろいろ変わっています。
 あの時の開発データを今読み込めたらなあ…

爆烈乱闘篇でのキャラ研究、検証として

 爆烈が前作町内と違う売りの部分として、デカキャラの存在、それと武器持ちキャラを余裕をもって出せるというのがあるんですが、その中で右京がキャラサイズ、武器の種類的にも検証するのにちょうどよいキャラでした。

近年Twitterでの解説用
当時の開発クロッキー帳より

 ベタ絵を持てるようになったといってもスーファミはキャラ領域が貧弱なので、頭部後ろの髪の毛や小ヘラなどは常駐キャラとしてベタ絵とは別個に呼び出しやすい位置にデータが置かれています。

開発クロッキー帳より。

 最終的にはデータ作成しながら足したり引いたり調整するのですが、紙の段階では常駐キャラとして「髪の毛」「光」「光」「小ベラ」「かんしゃく玉ミックス」を持つことが記されています。
 右京は研究キャラとしての側面もあるので、何をどれだけ用意できるのかというのも試行錯誤。
 常駐リストに入ってないですがすぐ横に焼きそばしばりのラフが入っており、この時点では没技ではありませんでした。
 確かしばり攻撃するポーズも専用やられポーズも作ってた気がします。

キャラ配色の話

 キャラの色について。
 らんまアニメのゲームなので色設定はアニメの色設定をくださいという要望を出していました。シュビビンマン3でもキャラクターのRGB色表が設定画と共に存在してたので、作業する上で色設定は必要だなと。

開発クロッキー帳に残ってた色設定くださいメモ。
スケジュールか何かと一緒にコピーを出してます。

 ですが、色設定はもらえてないんですよね。細かい部分は忘れましたが
「アニメそのままの色だと地味でスーファミっぽくない
 ありがの方でいい感じにスーファミっぽく配色してほしい」
 と言われて(会社の偉い人だったと思うんですが、誰に言われたんだっけ…)困ったことは覚えています。

これは私が描いた右京、アニメカラー。

 私はアニメでの配色も好きだったのと、あと「スーファミっぽい色ってなんだ?」とドットを置きながら悩みまくりました。
 仮に「スーファミっぽい」配色になったとしても、原作とアニメと同じキャラなわけで、そこから離れすぎるわけにはいかないですし…
 映えるとしても金髪とか赤髪の右京は右京としてダメだろう…と。
 悩んだ末に右京は全体的に暗かったので、赤みマシマシで配色しています。

爆烈乱闘篇カラーの右京。変えるにしてもイメージは守りたい。

 高橋留美子先生のカラー原稿だと、同一キャラでも別のカラー原稿や媒体でよく配色が変わってたりしますが(思い出しやすいところでキャラクターの髪の毛の色とか)色を変えるにしてもイメージ内で違和感ないようにまとめなければ、と12体並べながらあっちこっちバランスとりながら色を調整しました。

 発売後に爆烈乱闘篇はキャラの色が変、とあまり言われたことは無いので(このnoteみたあと気になって比較する人が増えるかもですが)ひとまず色変更は成功してるかも…と思っています。

 …ここまで書いたらもうひとつ。
 配色変更後に
「明るくなったけど、まだスーファミっぽさが足りない。スーファミってもっと色が沢山使えるイメージがあるんだけど、グラデーションを増やせない?」
 と、またまた会社の偉い人から注文があったこと。これが配色を変えるよりも一番どうしようかって頭を抱えました。

 っていうのも、割とここまでセルアニメっぽいフラットな塗りで全体をまとめていて、その状態で統一できてたのが気に入ってたんです。
 らんま爆烈は1キャラ1パレット16色(うち透明色一色)で描いていて、パレットも増やしたくないしパレット内の色も(作業の収集がつかなくなるので)変えたくないしで…

 個人的にはドットでグラデーションを細かく入れていくのに向いてるキャラ世界観、向いてないキャラ世界観があると思うんですよ。
 らんまは元が漫画アニメなので、うかつに細かいグラデを入れていくのはキャラがモワっとしてしまうのでよろしくないと町内激闘篇のドットを打ってた頃から思っていました。そこにグラデを増やせという注文。

 苦肉の策で、既存パレット内で無理やり賄ってグラデーションを増やしました。

うーん…確かに豪華になってるんだけど…アニメ的かというとちょっと。

 16色以上増やしたくないので赤い部分のハイライトに肌色を併用して、更にそこに白も乗せて…みたいな感じで本当に無理やりです。そしたら
「いいね、最初から比べるとすごくスーファミっぽくなった」
 って褒めてもらえたのですが、30年以上経った今でもスーファミっぽさってなんだったんろう…とたまに思い出します。

 媒体、題材、依頼主が持つイメージ諸々で仕上げ方は変わるでしょうし、永遠の課題かもしれません。

技とか

 爆烈は自分の担当キャラの当たり判定(攻撃判定とやられ判定)も設定しているのですが、なるだけそればかり頼らないよう強すぎず、技が台無しにならないよう弱すぎずを上手くいってたかさておき、技の種類と絵ごとに考えました。大ベラの衝撃波が出る振りとか。

 右京のヘラとかんしゃく玉打ち分けの意味とかも、飛び道具のヘラと置き武器のかんしゃく玉みたいな感じで。
 ヘラ最小はしゃがんで回避できるけど(小さいキャラ限定だったかも)タメて撃つとしゃがんでても当たるようになるとか、タメで縦幅が広がるからジャンプでかわしにくくなるとか。
 かんしゃく玉ミックスはダメージが小さくとも爆発が場に残り続けるから多段ヒットorガード削りとか考えました。

 こういうのって考えてる時と、実装してテストプレイしてみたときってまた感触が違うんですよね。
 考えてる時の面白さがちゃんとゲームになってたら嬉しいのですが。

実装用アニメデータ対応表

 この画像は、克さんに渡したアニメデータ対応表のコピー前原画です。
思い出その1でもふれましたが、ベタ絵をバラして組み立ててアニメ一枚一枚で組み立てて…の、その対応表です。
 手書きなのが時代すぎる。

手書きのアニメデータ対応表

 頭の「U-」が右京、以降「STD」はスタンド(立ち)、「SIT」はシット(座り)、「SYAG」はしゃがみ、「TACH」はしゃがんだ状態からの立ち…みたいなのが続いています。大体キャラ共通。
 そこに0,1,2,3,…と番号が振ってありますが、これはアニメ内の動画番号です。その数字内に( U11A )みたいなものが書き込んでありますが、これはバラデータを組み合わせた時のファイル名でバラパーツのパズルの答えみたいなものがアニメ枚数ぶん。

部分アップ

 「この絵で地面につく」とか「ここから投げます」みたいな注釈も入っていて、これはプログラマー側も確認しながら入れるの大変だったでしょうね…
 「U-NGR1」「U-NGR2」はそれぞれ小投げられと大投げられ、「U-100Y」は百貫落としのやられパターンです。パンダをまだ作ってなくても、技として想定しているのでやられパターンは作るわけです。
 「U-SBAR」がぐしゃぐしゃになってますが、ここは「しばられ」ってことですね…中身が空っぽですが0,1,2,3,4とアニメ番号がふられてたので、しばられパターンは5枚アニメで作ってたみたいです。

 ともかくこれが全キャラぶんありまして、提出時にフロッピーにまとめたデータと一緒に提出しなければならないのですが、今見直すとよくやってたなあこんなめんどくさいこと…と思います。

 インターネットもハードディスクも無かった時代のゲーム作りの記録として、遺跡とか古文書を見るような感じで見ていただければ。

没技

 爆烈思い出その3のしばりをご参照ください。

 飛び道具があって武器リーチもあって、更に固め技まで持たせるわけにはいかなかったです。
 しばってからの「焼き入れたる!」やりたかったですし、しばり攻撃自体はちょっと面白いと思っていたので残念でした。

完成後にちょこちょこ削ることに…

 バンク計算の検証サンプルとしても右京を作っていたのですが、開発が進むにつれて他のキャラでもっと容量を食う事がわかってきたところからちまちまと右京のデータを削ることになりました。

以前Twitterの方でアップした開発スケッチ

 前進と後進、最初の頃は別のドットを描いてたのですが最終的には削って前進後進同じ絵になりました。
 あと大ベラ周りも豪華に絵を持っていられなくなってかなり苦しい削り方をしたような…ちょっとどこをどどのように削ったかは記憶のかなたですが。

 私にとっては爆烈にてワザ設定だったり武器持ちキャラとしてどういう動き方させるのか考えて最初っから作ったキャラなので、右京には思い入れがあります。原作の右京めっちゃいい娘なんでゲームで思いっきり活躍させたかったですし。
 そんな中で全体の調整でちょこちょことキャラ容量を削っていったことで申し訳なさがあります。

 容量とか気にしないで良いって環境だったら、どんな右京を作っていたのかを想像してしまいますが、そしたら今のような詰める工夫が全然入っていない違う右京になってたでしょうね。
 やっぱ今の爆烈右京は試行錯誤や積み重ねていった結果としての爆烈右京なので今の右京が好きです。


 あと最初期キャラなので右京はVS時の顔グラも私がドットを打ってます(シャンプーや女らんまの頃は顔グラを打ってる時間も無く)

 右京はなんか描きたくなるんですよね。

 次回は「なんでこいつ?」と長きにわたって言われ続けている五寸釘について書いていきます。

▼以前ねとらぼで紹介された爆烈乱闘篇の記事▼

▼爆烈を作ってた頃のランチタイムのお供▼

▼メサイヤ時代のゲーム仕事▼


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