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爆烈乱闘篇 その1「表示方法とハガキとストⅡ」SFCらんま1/2開発の思い出

 30年以上前のことなので、仕様など思い違いや思い込みもあるかもしれません。当時の環境を知る人でこれは間違いではないかって部分を見つけた時は「それは違うかも」とご指摘いただけたら嬉しいです。


 ▼前回の記事はこちら▼

らんま1/2の格闘ゲームの開発

 1992年初頭
 「SFCらんま格闘ゲーム新作」とのことで開発がスタートしました。

 企画初期はプログラマーの克さんと絵描きの私(ありが)のふたりだけのチームで町内激闘篇でよかった部分、消化不良だと思っていた部分を踏まえて新作をどうすべきか話し合います。専業の企画者はおらず、ふたりで企画を詰めてたんですが専業企画者は当時の私の活動範囲ではレアな存在でした。
 シュビ3での斎藤の立場にしても、シュビ2に引き続き「絵も企画もする」ポジションで専業企画者ではありませんでしたし。

 この頃の開発期間はだいたい半年前後くらいのイメージで研究時間もそんなに長くは取れず、制作がスタートしたら後は開発を進めながら勉強、研究していくことになります。

キャラ表示方法の変更と、デカキャラ

 町内激闘篇ではキャラ毎に絵を描ける領域が少なかったのが不満という話を克さんに伝えていたのですが、いろいろ検討してくれてキャラの表示(転送)方法が変わって町内の時よりも大幅にキャラの絵を増やすことが可能になりました。

町内はキャラひとりあたり1BANK
町内は1BNAKだったけど爆烈はキャラひとりに5BANK~8BANK使える想定。すごい!すごい!

 ベタ絵を描いてスプライトサイズ(8×8、16×16)毎にバラバラにし、バラパーツを読み込み組立て表示、1キャラにつき5BANK~使えるとのことで(町内は1キャラ1BANK)今回のやり方でキャラを作れば念願のベタ絵で描けるし、デカキャラも表示できるようになります!大進化すぎ!

開発クロッキー帳よりBANK割り振りの打ち合わせメモ
前回はキャラ毎のエリアに個別に格納されていた
ダメージマークは全て統一し、共通エリアに収納
転送キャラ配置ルール打ち合わせメモ

「ベタ絵からのパーツ分割」「分割したパーツをエディタ上で組み立てる」を試験的に作ったらんまをチマチマ手作業でギュウギュウに詰め込んでたんですが、それを見た克さんから
「ありが、何をやってるんだ!
 プログラマーに頼んで何とかなりそうなものはどんどん頼みなさい!」
と怒られました。
 そのあと爆速で細かい単位でズラしてパーツ分割するツールとそれを正確な位置に組みなおすツールを作ってくれて渡されました。

この詰め作業をすることで、チリも積もれば山となり
最後には何ポーズか増やす余裕ができると考えていた

 確かに今回はベタ絵をそのまま簡単にバラして組み立てて表示できるのですが、克さんは私がドット単位で無駄を省くようにキャラを詰めこんで組み立てなおすとは思ってなかったのかもしれません。
「ありがはもっとプログラマーを信頼して頼りなさいよ」
と言われましたが、この頃はまだ頼み方やタイミングが分からなかったんです。

 因みに、キャラ詰めツールを使ってもやはり1ドットや2ドットの勿体ない部分が出てくるので、そこから先は目算で削ったり、削ったことで欠けた付近のドットを違和感ないように整えたりの作業をアニメパターン1枚1枚にしています。
 だとしても、克さんのキャラ詰めツールのおかげでかなりの時短になってるのは揺るぎなくて本当にありがたかったんですよね。

 このことがあってから、爆烈開発中はちょっとした思いつきでも作ってもらえそうなことは克さんに相談しています。

 そんなこんなで表示方法を踏まえて絵的にも新しいゲーム感、バラエティが出るようキャラ選定を行うことになりました。
 爆烈noteはこの後も何回かに分けて投稿する予定なので、キャラ毎の思い出と共にそのキャラを選定したゲーム的な狙いも書いていきます。

ユーザーハガキ

 町内激闘篇のソフトに同梱されてたユーザーアンケートハガキでメサイヤに届いたものを束で渡され一枚ずつ見ていき、年齢や性別、要望からどんなユーザーが遊んでいるのか、ユーザーが求めていることが何かを見ていきました。
 アンケートハガキって場合によっては切手を買ってきて貼らなければならず、その上で直接書いてポストまで投函に行かなければならないので送る側にもかなりパワーが必要なんです。そこには伝えたいという強い意志を感じます。

 印象的で今でも覚えているのは小学校低学年女子の「おもしろいですが、さいしょのてきに かてません」(町内の最初は玄馬で割と強い)という感想と、多かったのはキャラ要望で「うっちゃん(右京)を出してほしい」「ムースを出してほしい」「あかねちゃんをもっと出してほしい」etcetcがありました。

開発当時のクロッキー帳より
中華まんブラザーズや中国人ガイドはスゴロクのキャラ
自走する郵便ポストはスゴロクの敵
キャピ子はマップ上顔グラのサイズイメージ(32×32くらい?)
スゴロクについては「開発の思い出その3」で説明します。

 候補キャラに、八宝斎とコロンがいます。五寸釘の特徴は「よわい」で
「さいしょのてきにかてない」と言ってた子に倒してもらいたいキャラ。

ストⅡ

 この時はメサイヤ開発室のあるフロアの広間?応接室?に研究資料用としてアーケード筐体が置いてあり、そこでは1992年初頭当時ストⅡ(初代)が稼働していて私も休憩時間にメサイヤの面々とストⅡをプレイしていました。
 そんな環境なので町内激闘篇を開発していた頃に比べてもかなりストⅡの存在感が大きく、これから格闘ゲームを作るならば絶対に意識せざるを得なかったように思います。

爆烈開発時に描いたストⅡポスターパロディらくがき

 当時遊ぶにも順番待ちで並んでたのですが、並びながらストⅡ対戦風景を眺めているといろんなことが見えてきました。

 ゲームなので上手い人も下手な人もいて、上手い人は積極的に勝ちを狙いに行きます。
 そしてあまり上手くない人はまず「必殺技が出ない!」ってガチャプレイ、あとは大体においてガードが苦手で「うしろに入れればガード、うしろに入れればガード…」って意識してると上級者に上下攻撃の揺さぶりとジャンプめくりでガードを崩されて…というのがいつも目にする光景でした。

 今作ってるSFCらんまの新作を買って遊ぶ層は…

 次回は爆烈乱闘篇の操作系や必殺技やガードなどのルールについてまとめていきます。

思い出その2につづく。

▼ねとらぼで紹介された爆烈の記事▼

▼メサイヤ時代のお仕事▼

▼爆烈を作ってた頃のランチタイムのお供▼


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