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爆烈乱闘篇 その2「操作と仕様を考える」SFCらんま1/2開発の思い出

▼以前ねとらぼで紹介された爆烈の記事▼

▼前回▼


操作やルールを考える

 できるだけ楽しく、いい感じで遊んでもらいたい。
 でもただ簡単なだけじゃなくゲームとして楽しいものにしたいし、原作同様にキャラが向かい合った時のワクワク感や緊張感、ゲームとして遊んだ時に間合いや駆け引きも楽しめるようにしたい。

 以下に記す指針や操作系はプログラマーの克さんと絵描きの私、ふたりの話し合いで詰めていったもの。

■キャラ選定

 前作の町内激闘篇ではストーリーモードで使用できるキャラが乱馬(男)と、らんま(女)のみだったが今作はストーリーでも登場キャラ全てを操作できるようにする。キャラゲーとしても前作よりもパワーアップした感を

シルエットやバラエティを踏まえ絞った仮決め12キャラ
思った以上に武器使いが多い

 各キャラの選定理由は個別紹介の時に改めてキャラ毎に記します。
 面子を変えて画面の新しさを出したいという狙いと、前作も絶販ではなく引き続き販売されていたので九能一家は町内激闘を遊ぶうまみということで今回はお休み。

■ボタン配置

 前作はパンチとキックだったが、今作においてパンチとキックの意味は?上から繰り出す攻撃と下から繰り出す攻撃の差?

操作をどうするか色々こねくり回してる形跡が開発クロッキー帳に残っている

 キャラによっては武器が主体になるのでパンチボタン&キックボタンと決め込んで作っていくと違和感があるかもしれない(右京の巨大ヘラとかムースの暗器攻撃とか…五寸釘やキングは能動的にキックするのか?パンスト太郎変身後は?)
 打ち合わせしながら決まったのは隙が無く小威力の「小攻撃」と、隙があるけど大威力「大攻撃」のふたつに絞る。
 これなら武器使いのキャラの攻撃ボタンとしてもしっくりくるはず。
 それと初心者だけじゃなく上級者も楽しんで遊んでもらいたいのでキーコンフィグ(※)で任意の複数ボタンに大と小を好きなように割り振れるように。

開発当時の克さんとの話し合いメモ。
使用するボタンを極力少なくするという話と、
攻撃の種類によってで攻撃判定とやられ判定がこうなるだろうという想定とか諸々。

 この大小ボタンふたつの組み合わせで必殺技も出るようにする。
 町内でもあった「必殺技ボタン」(ボタン一発で必殺技が出る)は無くなるが、必殺技の操作は初心者でも出しやすく覚えれるよう単純に。

・ボタン連打ワザ…ガチャプレイしてる人でも出しやすい
・ボタン同時押しワザ…ふたつ同時に押すことで通常より強ワザっぽく感じさせる
・ボタン溜めワザ…長押しから解放、R-TYPEの波動砲などのイメージ。小も大もそれぞれ個別に溜めれる

 この操作を全キャラ共通にして、覚えれば全キャラ遊べるようになるだろうという狙い。

※キーコンフィグはこのゲームの操作を考えていく上で非常に大きい要素で、デフォルトは前作を踏襲してジャンプやガードもそれぞれ基本ボタン内に割り振られているが、ある程度格闘ゲームを遊び慣れてる人向けにキーコンで十字キーにストⅡに近い操作も(ジャンプを上、ガードをうしろ等)任意でカスタマイズ設定できるように。

向かい合わせの席で打ち合わせしてて
話しながらふたりで互いに書き込んでるもんだから
キー配置と操作内容がひっくり返っている
十字キーとボタンの絵で逆だと途中で気づきなさいよ
最終的にちゃんとしたキー位置で実装してされてます

開発クロッキー帳見返してて面白かったので晒し掲載

 副産物として大小攻撃もキーコンで設定できるので、複数個所に大、小の攻撃を配置することもできるようになり、上級者向け操作として攻撃しながらタメることが可能になった。

・投げ…双方の間合いが近くなった時のアクション。小攻撃と大攻撃があるので、それぞれのボタンに対応して小投げと大投げを用意する。

 原作を考えると投げられても乱馬達は空中で態勢を整えてそのまま着地しそうなので、投げられた際にボタン連打で着地ができるように。
 小投げは威力が低いが飛距離が短く連打着地のタイミングがシビア。大投げは威力が高いが飛距離があるので着地しやすくなる。

着地専用モーションが必要かどうか
最終的にはキャラ毎に既存のそれっぽい絵を当てはめた
大投げ小投げ、投げられ時着地についての克さんとの話し合いメモ
投げた側が後頭部を打ってる絵があるが、
投げが失敗した時のペナルティの話は以下画像で
右京はパンダ(玄馬)を投げれるのか?という話をしながら描いたもの
スタンダードキャラがデカキャラを投げようとしたら
投げれずに逆に潰される案

それ以外のデカキャラ同士の投げ処理をどうするかを考える
デカキャラ同士は投げれる?投げれない?

突き詰めてくうちに投げの例外をキャラ毎に作ると
遊ぶ側が覚えなければならないルールが複雑になるので
最終的に投げの仕様は統一。

あと扱うボタンを増やさず動作を増やすアイデアとして
・方向キー入力ワザ…入力時にリーチを伸ばす

右京の小攻撃と大+キー入力ワザ案
シャンプーのキー入力ワザ案
道場破り。キー入力でリーチが変わる。
パンスト太朗のパンストパンチにはいろいろアイデアがあり
キャラ個別紹介の時に改めて紹介。
良牙ジャンプ中の下キー入れ攻撃案。番傘
良牙ジャンプ下キー大攻撃案。信楽焼き

・2段ジャンプ…町内激闘篇にもあった女らんまとシャンプー専用動作。らんまは格闘ゲームでありつつキャラクターアクションゲームなので、爽快感のあるこの操作は残したかった。

■ガード

 ガードは上下にせず、一種類だけに。
 
前作の町内激闘でも採用している上下ガードはアーバンチャンピオン(1984年)やイーアルカンフー(1985年)の時代から戦略や攻略に関わった遊びでした。

 でもメサイヤでストⅡを遊んでる人たちを後ろで見てて、初心者がコツを掴む前に上級者から上下やめくりでガード方向を揺さぶられまくって負け続けて面白さがわかる前に嫌になって辞めてく人が結構いるのが引っ掛かっていて、ゲームとしての面白さがわかる前に辞められるのがなんとも残念に思っていました。

 操作方法もよくわかってない初心者を上級者がボコすというのはゲームに限らずそこら中にあることですが、このゲーム(新作らんま格闘)を遊ぶ人にはガードというものを「相手から飛んでくる攻撃をかわす遊び」として、もう少し気軽な操作を意識してもらいたかったんです。

ガードに関しては思うところあり積極的に案出ししている
攻撃に対しスウェーとからんまぽいかなとも考えたが
足払いに対してどうするとか処理や絵を考えると難しい
最終的には上下どっちも賄えるようなガード姿勢に

 今作は気軽に防御できるけどガードをしたままでは勝てないということを遊んでるうちに分かるようにガード態勢のままだと通常攻撃であってもじわじわと体力が削れていくようにしています。ガードしつつ相手の隙を見極めて積極的に反撃のタイミングを狙ってほしかった。

ガードは上下統一

 あとストⅡにおける春麗やガイルの投げハメがどうも観ていてしんどかったので(メサイヤの上級者がこれまた初心者~中級者に対して投げハメを積極的に狙ってくんですよね…)爆烈はガード中や双方同時打ちの時の反動を大きめにして、なるべく間合いの仕切りなおしがおきるように考えていたと思います。

 そんな感じでゲーム仕様を詰めつつそこからこぼれる案が出てくるわけですが(上でも書いてますがガード回りはどうするか相当話し合った上での没が多いです)、次回は没になり実装されなかった案を紹介します。

その3につづく。

▼爆烈を作ってた頃のランチタイムのお供▼

▼メサイヤ時代のお仕事▼

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