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映画 『パコと魔法の絵本』 2008年に大ヒットした、子どもから大人まで楽しめるダークポップファンタジー

《 ざっくりあらすじ 》 

個性豊かすぎる患者たちが療養し、
ドクターやナースも これまた個性的な面々が働く病院が舞台。

会社を大企業に育て上げた末に 突然の病に倒れて いつも怒ってばかりいる 大貫(役所広司)は、
家族でドライブ中 事故に遭い
両親と記憶をなくしてしまった少女 パコ(アヤカ・ウィルソン)との交流によって
大貫の心が少しずつほぐれていく___


舞台作家 後藤ひろひとさんの人気戯曲をもとに
2008年に公開された映画。

まるでおもちゃ箱をひっくり返したような
実写とCGアニメーションを混ぜ合わせたカラフルな画作り、
基本的にハイテンションで時にシリアスな作風…
初見時 子どもだった私は終始ワクワクして仕方なかった記憶が残っている。

時を経て、大人になって改めて観てみると
キャストの豪華さと 各々のはっちゃけっぷりが
それはそれはもう楽しくて仕方がなかった。

子どもも大人も楽しめるという公式の触れ込みがやっとわかった。


《 キャラクター&キャスト 》

〜 患者たち 〜

【 パコ〈アヤカ・ウィルソン〉 】
亡くなった両親からプレゼントされた絵本を毎日大切に読んでいる、記憶障害を抱えた少女。
昨日のことを覚えられない為、大貫に誤解されてぶたれたとしても
翌日にはケロッとして笑顔を無邪気にふりまく姿が胸にきた。
当時もだけど、今観ても美少女。

【 大貫・ガマ王子〈役所広司〉 】
存在感、威圧感、半端ない。
凄んで当たり散らす姿は思わず身体が緊張するくらい怖かった。
でも自分の勘違いでパコちゃんを ぶってしまった罪悪感に苛まれておいおい泣いたり、
パコちゃんの為に読み聞かせしてあげてた絵本を劇にして見せてあげたいと
体がしんどくても頑張る姿が素敵だった。

【 木之元・ガマ姫&ガマ王子の母〈國村隼〉 】
首を痛めて入院している、ちょっとウワサ好きの心優しきオネエさま。
一人娘の写真を眺めて切なげな表情を見せたりする一面もあるキャラ。

多分この役辺りから國村さんを認識したけれど、
特にインパクトがすごくて子ども心に強烈に印象に残った。
劇中では欧陽菲菲「ラブ・イズ・オーヴァー」とジュディ・オング「魅せられて」の一節を渋すぎるお声で熱唱したり、
セリフや振る舞いがおもしろくて何度も笑わせてもらった。

てかメイキングにて、役所さんがオネエさまメイク&衣装ばっちりの國村さんを見て「やっとカミングアウトできたね」と言ったみたいだけど、
これどっち?まあどちらでもいい時代だけども。

【 堀米・ヤゴ〈阿部サダヲ〉 】
常にハイテンションで七変化する、物語の語り部キャラ。
存分にふざけて、ふざけて、ふざけまくっている。
特にギターかき鳴らして歌うシーンがお気に入りw
大人計画の舞台に近いテンションという印象。

【 龍門寺・ミズスマシ〈山内圭哉〉 】
発砲を受けて入院しているやーさん。
ゴリッゴリの関西弁でノリよく舌巻いて喋る姿がずっとおもしろくて大好きなキャラ。
撃たれた理由と庇う気持ちがまた最高。

【 室町・ザリガニ魔人〈妻夫木聡〉 】
かわいい系の子役として売れっ子になったものの、成長と共に人気がなくなり
ドラッグに溺れて何度も命を絶とうとする男性。

子役って順調に王道メイン俳優になる人もいれば、脇役として細々と活躍してる人、
または引退する人の方が圧倒的多数なのかなー?
室町みたいに大人の世界で揉まれてボロボロになる人も中にはいるだろうし、
そう思うと凄く切ないキャラだなって思った。

【 滝田・サカナ〈劇団ひとり〉 】
怪我を負った消防士。
特に見所という見所はなく、周りの患者に比べるとごく普通の人だった。
雨ふらしたとこは唯一の見せ場かな。

〜 病院関係者とその家族 〜

【 浅野・タニシ〈上川隆也〉 】
頭がぶっ飛んでるドクター。

登場は元気よくピーターパンに扮して 木之元(國村隼)のことをウェンディ呼ばわりして絡んだり、
いちいち振る舞いや言い回しがノリノリで思わず笑ってしまうキャラ。
かと思えば患者さん一人一人に対して
穏やかな語り口で寄り添う面もしっかりあり、
愉快なドクターだった。

この間ドラマW『沈まぬ太陽』を観終えたばかりだけど
上川さんと國村さんはバチバチの仲な役だったから、
なんかパコを沈まぬ太陽の前に久々に観なくてよかったかも。
多分 オネエさま と ぶっ飛びドクター が頭をかすって真面目に観られなかっただろうからw
ほんと変幻自在な役者さんって追ってて凄く楽しい。


【 雅美・沼エビの魔女〈小池栄子〉 】
鋭利な歯というか牙を持った、
上昇志向の塊のドS看護師。
ムカつくと のほほんとした夫(加瀬亮)の首に吸血鬼のようにかぶりつくクセがある。

小池さんはワンナイからずっと好き。
ワンナイでやってたようなコントの役をはるかに飛び越えて、
見た目も中身もかなり毒々しい、キャラの濃い看護師さんを全力で演じられていて迫力満点だった。

【 タマ子・メダカちゃん〈土屋アンナ〉 】
「本能」MVの椎名林檎よりも、
THE パンクな見た目で尖りまくってる看護師。

かと思えば 室町(妻夫木聡)の子役時代からの大ファンで、なんとか彼を正気にさせたくて不器用に支える優しさを持ったキャラだった。

消灯時間を守らない患者たちには「蛍の光」にのせて、えげつない歌詞を歌うシーンが笑えて凄くお気に入り。

【 浩一、浩二・アメンボ&ガマ王子の家来〈加瀬亮〉 】
大貫(役所広司)の甥で、雅美(小池栄子)の気弱でマイペースな夫 浩一と、その二人の子ども 浩二の一人二役。

浩一の時に醸し出てる かわいさ何?って感じだったし、
雅美と浩一の子ども 浩二(青年)の時のファッション含めた雰囲気が素敵で、
そうそう子どもの頃これで加瀬亮さんに落ちて
出演作遡ったわ〜と久々に思い出せた。
マジで2000年代後半ずっと好きだったなぁ。
また再熱しそう。

《 中島哲也監督 》

パコをきっかけに、中島監督の世界に惹きつけられたと思う。

改めてwiki見てたら

『下妻物語』
『嫌われ松子の一生』
『告白』
『渇き。』
『来る』

世にも奇妙な物語「ママ新発売!」
X‘smap

は視聴済み。

X‘smapは当時リアタイしたのか
家族がVHSに録画したものを後々に観たかどちらかだったと記憶していて、
「ママ新発売!」はCSで再放送を観て大好きになった。

アメリカの要素と日本の要素をファンタジー調にミックスして、
ファッションや小物がとにかくカラフルでかわいく毒々しさも同時に感じ、
外国人にカタコトの日本語喋らせがちで、
ポップでダークな独特の色彩がたまらなく好き。

告白辺りからシンプルで冷たさを感じる画にシフトチェンジしたのかなと思ってる。
でも渇き。でのパーティーシーンとかカラフルでハチャメチャだったから、
まだ以前の要素は残っているのかな。

また新作観たいなぁ。


《 疑問 》

ところでなぜDVDやBlu-ray軒並み廃盤になってるんだろ…?
dTVとU-NEXTではレンタル配信されてるようだけど、
アマプラやネトフリやHuluと
多くの加入者がいる配信サービスで配信されてない謎。
こんなに楽しい作品なのになぜ?

調べたら日アカでノミネートされてるし、
結構ヒットしたみたいだからますます謎は深まるばかり。

以前日本映画専門チャンネルで録画(2010年...!)したのを今回引っ張り出してきて観て、
ちゃんとそれなりの画質の本編とメイキング&インタビューなどが観たくなったので、
ついに特別編ポチりました↓


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