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【日経MJ】有江ノイ的感想文2020年10月9日(金)

1面は、

もがく夢の国 厳しい現実 オリエンタルランド、先見えず
新エリアでも来場5割弱 米社審査、独自策に腐心

オリエンタルランドがもがいている。新型コロナウイルスの影響で一時休園していた東京ディズニーリゾート(TDR)を7月に再開したが、コロナ禍は予想以上に長期化。来場者数を抑えつつ、現場では安全面や満足度を高める工夫に取り組むが、先行きは不透明だ。従業員の賃金カットなどにも踏み切る。厳しい現実を前に、「夢の国」はどこへ向かうのか。

おそらく「密」が前提となっているビジネスモデルの収益モデル自体から見直さなければ、存続は困難ではないでしょうか。警備、清掃、販売、補給など施設維持に係わるあらゆる分野をロボット化、自動化して、本当に人間らしい振る舞いを求められるダンスやもてなしのみ人間が行うというようなオートマティックなテーマパークにでもしない限り、利益を上げていくのは難しいでしょう。そう考えると「変なホテル」をテーマパーク化する方が手っ取り早いかもしれませんね。欲しいのは「驚き」なんだから。
変なホテル https://www.hennnahotel.com/

2面は、

(柴那典の新音学) 「ボリュメトリック」技術の可能性自宅でライブ空間に没入
コロナ禍でエンタテインメントが急速にオンラインに移行しつつある今、新たなバーチャル空間の演出方法として「ボリュメトリックキャプチャ」技術が注目を集めている。
ボリュメトリックキャプチャとは、専用スタジオを数十台のカメラで囲んで空間をまるごと撮影、3次元のデジタルデータに変換し、任意の方向から見た高画質な映像を生成する技術。通常は不可能な足元からの視点など、自由な位置から見た映像を生成することができる。こうして撮影された実写映像をCG空間の中に違和感なく融合できるのも大きな特徴だ。

そうか量的な測定、3D的な奥行きをもった測定のことですね。リコーのthetaのような全天球カメラとは真逆で、対象物をぐるりとカメラで囲んでデータ化してしまうわけです。そうなると好きな位置にカメラを移動して対象物や人物を見ることができます。今はそうした自由なカメラアングルから切り取った画面を2Dで利用しているようですが、やがてステージをドローンやクレーンカメラで見るような感覚のライブ体験も可能になるでしょう。出演する方も大変でしょうね、これから。耳の後ろの方までクローズアップされるかもしれませんからもう全方向チェックしなければ。たまに長い毛が一本伸びていたりするのがとても気になったりします。

3面は、

「キレイの先」化粧品が挑む 幼児用日焼け止め・内側磨くサプリ
新興と連携、発想に刺激

面白いなと思ったのは内面を磨くというくだりで、

ポーラ・オルビスホールディングスも化粧品と異なる分野との相乗効果を模索している。18年にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を設立し、新興企業15社に投資している。既存の美容業界にとらわれず、幅広い業界の新興企業との接点を増やしている。
第1弾として18年に出資したSHE(東京・港)はキャリアコーチングスクール「シーライクス」などを手掛け、ミレニアル世代の女性のIT(情報技術)スキルなどの向上を支援する。ウェブデザインやマーティングなどの講座を提供し、時間や場所にとらわれずに自由に働けるライフスタイルを目指す。

外面だけではなく、内面、つまりITスキルやデザイン的なセンスを磨くこともお手伝いしましょうということのようです。巣ごもりで「学び」に関心が向いている現在、化粧品メーカーがこういうソフト市場にアプローチするというのは動向としてとても興味深いです。同じようにWebで学ぶのだったら、専門学校や塾のような野暮ったさはないし、MicrosoftやAdobeのような難しすぎるイメージは無いし、「キレイ」と「オシャレ」をキーワードにすると整理術からメディテーション、ノーコード、ライフプラン、料理、あらゆる分野をカバーできますからね、化粧品ブランドは。Web教育市場というのは、こういう後発の「束ねるブランディング」が得意な企業が席巻するかもしれません。

4面は、新製品

反射抑えて表情見えやすく
大日本印刷の光の反射を抑えて表情を見えやすくしたフェースシールド

反射防止という既存技術を需要に合った形で商品化したのはさすがDNPと思いましたが、どうして初期のグーグルグラスと同じような「両津さん眉毛風」のデザインでGO出してしまうのでしょう?ださ。

7面は、

青山商事、シェアオフィス参入 都心店改装、多店舗化も視野
青山商事は都市部の既存店を改装し、シェアオフィス事業に参入した。都心店の紳士服売り場を縮小したうえで、シェアオフィスに改装。スーツ専門店とシェアオフィスの複合店に衣替えし、ビジネスパーソンを取り込む考えだ。コロナ禍でスーツ離れが加速するなか、地方や郊外店で進めてきた複合店への改装を都心店でも実施することで、少しでも収益を改善しようとする狙いがある。

対症療法的なビジネスで大丈夫かなあ、と思ってしまいます。確かに来店するのはビジネスパーソンかもしれませんが、スーツを着る客層であるかどうかということですよね。月に数回しか着る機会が無かったら、デザイナーズブランドのスーツを買った方がいいなあと思ってしまいます。消耗品だという考えだったから今まで「2着セール!」という惹句で集客できたんでしょうけれど。これから失業者も増えて日常的な就活時代に入ると思うのですが、店舗で証明書写真撮影とビジネスマナーの講習とか総合的に就活をサポートする業態にしてはどうでしょう?さっきの化粧品メーカーの話ともつながりますが、ソフト業態に転換する良い機会です。

8面は、

ネスレ、肉の次は「人工ツナ」植物由来の競争、「魚」で先手
【ウィーン=細川倫太郎】食品世界最大手、ネスレ(スイス)が植物由来の成分でつくった商品の開発を加速している。パティなどの肉だけでなく、シーフードにも参入し、人工のツナを開発した。ビーガン(完全菜食主義者)の増加や環境意識の高まりを背景にビジネスチャンスは広がる。スタートアップや大企業が熱視線を注ぐ市場で、「食の巨人」は覇権を狙う。

「仕事をするためにとにかく何か食べなければ」という欲求と「落ちついて美味しい料理をゆっくり味わいたい」という欲求に、食事も二分化してきているように思います。そして、前者のつまりジャンクでいいや、という気分の時の方が、(多分、少しの罪悪感から)より健康面やエシカルな消費を考えやすいのでファストフードはことごとく人工肉や人工ツナに置き換えられていくのではないでしょうか。需要が開発コストを吸収していくのは時間の問題でしょう。

13面は、

(うまい飲食ビズ) 素材生かしたアイヌ料理 異文化共生、味で体現
7月に開館したアイヌ文化を学べる「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(北海道白老町)は、資料展示だけでなく、アイヌ文化の継承と復興を目的として伝統芸能も上演している。併設レストランの「焚火ダイニング・カフェ ハルランナ」は、エゾジカなどアイヌ料理で使われる食材を気鋭のイタリアンシェフ、森陽介氏がまとめ上げ、予約が難しいほどの盛況となっている。

本文は読んでいるだけで涎が出そうなメニューばかりだったので、行ってみたいな、食べたいなという気分が盛り上がったのですが、これからのミュージアムはこのように食文化とセットで計画して欲しいなと思いました。
たいてい博物館とか美術館とか郊外にあって、教養は満腹になったのにお腹が空いたよう、近くに美味しそうなところないよう、ということが多かったので。店内の画像があったのですが、大きめのテーブルにゆったりの4人がけ。これなら安心して入れるなと思いました。

※引用文は、日経MJ2020年10月9日誌面からのものです。

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