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26年ジャニオタを続けた女の今~V6解散するってよ~

2021年3月12日。

16時が来るまで、私には普通の一日だった。
いや、ほとんどのひとにとってはありふれた一日だったと思う。

前日が、日本にとって大きな災害だった日だったことにより
防災について考え直したり、
当日に対して思いを馳せたりはした。
そういう想い以外は、専業主婦の私にとっては
普通に家事をして、買い物に行き、夫の帰りまでに夕飯を作って掃除をしよう、という日常だった。


そういった一日を私は友人とLINEをしながら過ごした。
次のコンサートはどうやってチケットをとろうだとか
何年も続いた、「いつもの会話」を交わした。


「16時に大切なお知らせがあるって」

友人が私に伝えてきたのは、その日の15:50だった。


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小学5年生の春頃だったかな。
6歳年上(当時16歳)の姉が私に聞いてきた。

「この中で誰が一番かっこいい?」

指を指されたテレビ画面に映っていたのは現・V6の森田剛、三宅健、そして今は一般人の小原裕貴(元ジャニーズJr)だった。
番組は当時SMAPの中居正広さんがやっていた「キスした!?SMAP」だった。
エンディングテーマをジャニーズJrがパフォーマンスしていたのだ。
楽曲はたしか光Genjiの「Koolじゃ待てない」だったっけな。
当時小学5年生だった私は顔面のタイプだけで「この人!」と答えた。

三宅健だった。


その小学5年生だった少女は今、36歳になった。
誕生日が来たら37歳だ。

あの頃、いわゆるジャニオタだった姉はいつの間にかジャニオタを辞めた。
そして姉に何の気なしに好きな顔を尋ねられた私は、まんまとそのあと“例の”三宅健の所属することになるV6のオタクを
まさかの26年続けることになった。


そしてそのV6が2021年11月1日に解散するのだと
前述の3月12日に告げられた。


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26年好きだった。
デビューした最初の数年は特定のメンバーが好きだったし、今も実質ちゃんと担当(一般的には推しと表現されるソレ)がいる。
だが、26年も応援していれば「その人たちの空気感」というものがこちらの心にも沁みついてくる。

何かのファンになったことない人、V6をあまり知らない人には
「アイドルの性格なんてわからないでしょ?」
「6人で活動なんてそんなにしてなかったでしょ?」
「推しはこれからも一人で活動するんでしょ?」

いろんなことを言われるし、はっきりいってそれはその通りだ。
オタクの究極の思いは、推しが元気ならそれでいい、なのだろう。

しかしそれは素敵なメンバーと共に笑い、共に切磋琢磨している姿がある前提だと思う。

私たちに見せてくれている表情が所詮彼らの人生の一部であっても、オタクはオタクなりに何か感じとることはできる。
前に出たい人、話すのが得意な人、どこかコンプレックスがある人・・・・・アイドルとはいえ色んなヒトがいる。

ルックスだけじゃない、そういった人間の「機微」を推したくなるオタクもたくさんいる。これは男女問わず何かのファンなら共感するところもあるだろう。
だからこそメンバー同士の支え合いに惹かれる。推しが元気ならそれでいい以上の、推しがどんなメンバーと楽しそうに生きているかを私たちオタクは重要視している節がある。


ファン歴26年
アホみたいに長い年月だ。

例えば、デビューして5年のアイドルなら
ファンになって数か月のファンに
ファンになって3年のファンが
「私の方が長くファンやってるのよ!!!!!」とアピールすることはあると思う。

しかし26年だ。
26年前に生まれた赤ちゃんはいま、アラサーだ。
当時10歳の小学生だった私は36歳。
デビュー当時30歳だったファンは今、56歳だ。


10代のV6ファンはどうひっくり返っても26年応援することは不可能だし
56歳のファンが今16歳の女の子に“ファン歴マウント”をとってたらドン引きする。


26年とはファン歴マウントをとることすらバカバカしくなるほどの年月なのだ。


正直な話をすれば私はこの26年、V6一筋ではなかった。
若いジャニーズアイドルのコンサートに行ったこともたびたびあったし
隣国のアイドルを追いかけて飛行機に乗って旅したこともたびたび。。。

それでも結局帰ってきた。
帰ってくるしかなかった。

びっくりするくらいに彼らは私のNo.1だったのだ。


1995年に発売されたアルバムから
2021年、今のアルバムまで「思い出がないアルバムが無い」。
我ながら笑うしかない。

曲を聴くたびにその頃に感じた感情
幸せだったこと、悔しかったこと、つらかったこと、最高だったこと
笑えるほどに思い出す。

収入が少ないくせに通いつめたツアー(ATMの残高が0なのは当たり前でひたすら誰かが誰かのチケット代の立替をしていた)、
その後、最高の仲間となる3人と出会えたツアー、
コンサート後のアフター飲みで仲間内で笑いすぎて翌日の仕事中までお腹が筋肉痛になった遠征(実話)・・・
大人になっても好きなものが同じなら親友ができるんだなと感じることができた。

それはすべて・・・・口にするのも恥ずかしいが・・・V6のおかげとしか言いようがないのだ。
びっくりするくらい素敵な思い出しかない。

前述のとおり、私は一時他のグループにも浮気していたので、
好きになったアイドルのファンを途中で辞める感情も知っている。
それは悪いことではないし、だからこそ、26年ファンをやっていることが偉いともすごいとも思わない。
(割と重要だと思ってるの太字で書く)


好きでいさせ続けた彼らがすごいのだ。
1995年もかっこよかったし、2002年もかっこよかったし、2010年もかっこよかった。
そして2021年もかっこいいのだ。


恐らく2022年もかっこいいだろう。
2030年もかっこいいだろう、私たちにとっては。
もっといえばメンバーが人生の最期を迎える時まで彼らはきっとかっこいい。
私たちにとっては。

けれど今回の「解散」を受けてアイドルとは何たるを考えた。
アイドルとはキラキラしていて、きらめいていて、どこか儚くあってほしい。
ここ最近、ジャニーズからはどんどん新しいグループがデビューしていて
良い意味で時代の変化を感じる。
令和の現在はジャニーズは決して実力のないアイドルではないし、愛嬌の良さだけで売っているだけではない。
ジャニーズJrもまた実力やカリスマ性のある子たちがたくさんいる。
創業者の死去もあり、時代の変化がたくさんある、変革の年なのだと思う。

その年に自分の推しグループが退いてしまうことの悲しみは何にも代えがたい苦痛なのだが
それでも新時代への期待を無くしたくない、
古きばかりを良しとする“老害”になりたくない自分も居る。

美しいものも、美しかった思い出も
綺麗に心にしまっておきたい。
“あの時”の私たちも、“その時”の私たちも、“この時”の私たちもV6によって幸せにしてもらえていたし
その思い出があるからこれからも幸せに生きていけるのだろう。
そう思う。
そう思いたい。
そう思うしかない。
よね。

「彼ら以上のアイドルはこの先現れない」という感情は
恐らくどのグループのファンも持っているだろうし、その感情は間違いではない、けれど正しくもない。
その言葉の末尾には必ず「私たちにとっては」という付け足しが必要だと思う。

いま全盛で活動している若い彼らはとても魅力的だ。
解散、もしくは一線を退いた人たちを応援していた私たちにとってそれが
「彼ら以上のアイドルはこの先現れない」と感じさせるものだとしても、だ。
私たちの推しより歌が上手くても
私たちの推しよりダンスが上手くても
私たちの推しよりバラエティ能力があっても
それでも、私の推しは世界一だと、
ずっと美しい記憶を心にとどめられるだけできっと幸せなのだと思う。


V6解散まであと16日。
笑えてしまうけれどきっと“私にとって”V6を越えるグループはもう出てこないだろう。
解散後の彼らの活動を応援しながらも、決して新しいグループたちを
「V6より優れていない」なんて否定することだけは絶対にしないでいたい。

気持ち悪いことを言うが、V6はきっと私の運命だった。
男女アイドル関わらず、誰かにとって「運命の推し」が現れることは往々にある。


そんな最愛の推しに出会えた人にはそのすべての感情を大切にしてほしいし
ファンを辞めたとしても、そんな時期すらもいとしく思ってほしい。


そばにいてくれるわけでもない
触れてくれるわけでもない
けれど居てくれるだけで元気や勇気を分けてくれる、そんないとおしくて不思議な存在、それが、アイドルなのだから。




2021年11月1日。

V6は解散する。

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