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my select50 vol.19「Tweed Jacket」

my select50の第19回目は「Tweed Jacket」です。
そう、いわゆる服の生地であるツィード

私はジャケットが大好きなので、ツィードジャケットだけでも10着くらい持っています。その良さに加えて、ここで数点ご紹介させていただきます。

持っているツィードジャケットの中で一番シックなタイプ
オーダーで作りました。
深緑色です。茶系ではないので、黒の靴にも合う。

今日は3月10日の金曜日

「なぜ、3月の春めいてくる時期に紹介するのか。」、「本来なら秋から真冬にかけて紹介すべきでは」という声が聞こえてきそうです。
おっしゃる通りですが、あえてこの時期に紹介する理由を、オススメのポイントを含めてこれから綴っていきます。 

まずは、ツィードについて簡単に。
本来、ツィードはスコットランドやイギリスの毛織物(羊毛・ウール)の一種です。数あるウール素材の中の一つ。
原料である糸は、スコットランドの風が強く、雨も降るといった厳しい自然環境に育った頑丈な羊の毛を太く紡ぐことによってできます。その太い糸を平織りや綾織りで粗く厚く織った織物

これがツィードです。

頑丈な太い糸を厚めに織っているので、当然、重い。その代わりに頑丈で暖かいのが特徴。色目については、単色は少なく、糸に様々な色彩を入れています。そして、その糸を織った際に模様を入れるのが一般的

最近はツィードも素材として認知が上がり、若い人も着るようになったので、スコットランドやイギリス産に限らず汎用品なども生産されています。
また、着やすいように細めの糸のツィードもあります。
※同じ羊の毛なのにカシミアのような柔らかくてシルキータッチなものもあれば、ツィードのようにゴワゴワの生地もあるのがウールの面白いところ。

上のジャケットの生地
よーく見ると複数の色の糸が混ざっています。
これはスコットランドの生地を使っているので、
もちろん地厚で暖かい
スコットランドの生地と書きましたが、
ご存じの方も多い「Harris Tweed」です。
スコットランドのウールを使用い島内で染色、紡績をし、
職人によって織られた物の中から、
協会によって決められた基準を
クリアしたもののみハリスツイードと認められます。

なぜ3月に紹介するのか。
3月はファッションの正確なカテゴリーで言うと春夏、S/S(Spring&Summer)に当たります。S/Sは2月中旬くらいからスタートするので、最先端のファッションを取り扱うお店だと、その時期から店頭に春物が並び始めます。

しかし、どんなに最先端な人でも、2月~3月にいきなり春物を着るのは寒いですよね。仮に春物のスーツやジャケット、ワンピースを着たとしても、片手にはコートを持ったりしなきゃいけない。少しアンバランス

イタリアのナポリのシャツメーカーとして
有名なLUIGI BORRELLIのジャケット
持っているツィードジャケットの中で
一番高価です。
ハンティングジャケット風です。
このタグがカッコいいんですよね。
横浜の馬車道にある「信濃屋」さんで
一目惚れして購入
1866年創業の日本最古のセレクトショップです。
この柔らかい仕立て。これがイタリアン・メイド。

この季節に実はツィードが便利なんです。
ツィードは主にジャケットに使われる素材なので、ジャケットで例えると、ツィードのジャケットをもっていれば、3月くらいはコートが必要なく、軽快にファッションが楽しめる。

夜にちょっと寒いなと思うことがあっても、ツィードは地厚なので、なんとか耐えられるレベルでもある笑
「3月という寒いけど春という微妙な季節」に、ツィードジャケットがあれば、コートも必要なく、身軽に軽快でいられる。

これは格子柄のジャケット。肘にはパッチのあるタイプ
ブリティッシュな感じですよね。
HACKETTというイギリスのブランド
格子はやや派手めなので、合わせるシャツは無地ですね。
私ならオックスフォード地のボタンダウンシャツを選ぶ。
ツィードジャケットは吊り下げた感じも良い。
ちょっと昼間があたたかいこの季節なんかは、
片手で持って肩から下げるのも様になってて良いのでは。

逆に、
「3月はファッションでは春夏なのに、秋冬の素材であるツィードを着るなんておしゃれじゃないし、変じゃない?」
という声も聞こえてきます。たしかにそうかな、、

これにも回答がありまして、これ言うと怒られるかもしれませんが、
「本当におしゃれな人は、そんなに季節感やトレンドを追っかけませんから。」と答えます。

もちろん、あまりに季節感のない物を着るのはおしゃれじゃないですが、まだまだ寒い3月に頑張って春物だけ着るのもおかしい話です。

おしゃれさんと人から思われるには、やっぱり「自然体」が大事

これ見よがしに最新の春物を寒い時期に着るのは、目立つでしょうが、ある意味で頑張ってる感が出てしまい野暮
(もちろん、ファッション業界の人やテレビに出る芸能人やモデルなどは見せるのが仕事な方々は違いますが。)

私の友人で、おしゃれな人や、テーラーを営む洋服屋さんでさえも春にツィード着てる人が多いです。春先に軽々とツィードだけを着て出かけるのも粋ではないでしょうか。
思ってい以上にいい感じですよ。

※ジャケットの暑さ、涼しさについては、表地だけじゃなくて、裏地でコントロールもできます。例えば3月の中旬以降は、あたたかいので、背抜き仕立てのツィードジャケットで出かけるとか。下の画像で説明します。

裏側に全て裏地がついている「総裏仕立て」
冬仕様なので、あたたかく、とても丈夫。
表地全てに裏地が縫い付けてあるので型崩れもしにくい。
手入れすれば一生着れます。
そのかわり、やや重く、暑い時もある。
日本で売っている既製服だと最近は少ない。  
こちらは、背中半分より下の裏地がない「背抜き仕立て」
軽く、通気性に優れています。
着た感じも重みがなく、軽やかになります。
高温多湿な日本ですので、既製服に多いタイプです。
※画像は再掲ですいません。
背抜き仕立てより更に裏地の面積が少ない「半裏仕立て」
これは半裏以上に裏地がなく、袖にしかついていません。
ここまでくるととにかく軽い。
カーディガンのような感覚でジャケットをまとえます。
ただ、耐久性は落ちる。長く着ると型崩れしますね。

あと、もう一つ。最近、ツィードは外でも見かけることも増えましたが、まだまだ、ハードルがある素材ではないでしょうか。
ひと昔前だと「なんか、おじさんくさい!」とか言われそうだったりで笑

ただですね、私も完全におじさんの年齢ですけど(現在47歳、昔なら老人)、これを逆手にとると「渋くてカッコ良いおじさん」を演出する素材になるわけですね。もちろん、女性もそうだと思います。

時々ですけど、表参道とかのオープンカフェで待ち合わせなのか、暇つぶしなのか分かりませんけど、ツィードジャケット着て、コーヒーすすってる(この場合はできればブラックが望ましい笑)、職業不明なオッサンを見かける。やっぱり渋くて良いですよね。20代には出せない味がある。

私は、タバコは吸いませんが、シガーを時々やります。
いわゆる葉巻というやつ。
友人とホテルや歓楽街のバー、または喫煙可能な昭和喫茶でツィードジャケット着て、シガーを吸う。こういう情景も大人っぽくて良いものです。
※タバコみたいに常習性はありませんが、シガーも体に悪いです。ご注意ください笑

疲れた顔と、年輪のように積み重なった顔のシワ、うっすらとした白髪、もしくは薄くなった髪、それに哀愁漂う背中
全ての要素がツィードジャケットに合うじゃありませんか笑

持ってるツィードジャケットの中で一番派手な「赤」
これに時々、ライトグレーのパンツを合わせるのですが、
「ルパン???」と言われることもある笑
派手めの服を着るときは、気おくれせずに、
「当然、自分は似合っている」と思い込むことが肝要

ツィードジャケットは派手なものでなければ、近頃の会社では通勤に着ていけるところもあるかと思います。
金融機関などでカチッとしたものを着なきゃいけない人は、休日のおしゃれとして、ツィードジャケットで出かける。

歳を取ったのを隠さないで、それを活かして渋さを押し出す。
良いじゃありませんか。 

※これを見てツィードに興味をもたれた方。今行っても売ってないので、秋冬物が店頭に並ぶ9~10月までお待ちください。ご相談にも乗りますよ。


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※以前、カメラマンさんに撮ってもらったプロフィール用の写真。こちらもツィードジャケットです。BEAMS Fのものです。顔の日焼けした黒光り感がとてもいやらしいです、、、笑

 

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