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2018年11月の記事一覧
Poem)コーヒータイム
たまには、人通りを歩いていく
狭い路地を抜けた右角に
いつも気になる古い木の扉がある
店の前で立ち止まり
一呼吸して、開けてみる
若いマスターが1人
コーヒーを落としている
お客は誰もいない
カウンターには、淹れたての、
そして徐々に冷めていくコーヒーの
注がれたカップが1列に並んでいる
“貴女が来ることを知っていました
それがいつかはこのコーヒーが
知らせてくれていました…“
時を測る方法に
Poem)時間の秘密について
時間を歩くしかない。そう言われて、今日は時間の青い帯を歩いていく。きみの家の時計は何時をさしていたんだい。午後5時です。そうか。私の家の時計は午前零時だった。だから私は黄色い帯を歩いていく。老人は両腕にたくさんの時計を巻きつけて隣を歩く。同時にいくつもの時の音を聞くのですね。向こう側には赤い帯を歩く青年がいて、老人の服の陰には、黄緑色のリボンを分けてもらった子供たちが歩いている。もう少し時間の秘密
もっとみるPoem)どんぐりの林の奥に…
悲しみの泉を覗きに行ってはいけないと、代々母たちは子供に言い伝えてきた村がある。
今はこの村は町になり、市になったが、街外れには、そこだけ別の時間が流れているような、こんもりとした林が残っている。
子供たちはどんぐり拾いに、樫の木ブナの木が集まるその丘へ出かけていく。
遠い昔の寝物語のように、忘れてしまったわらべ歌のように、時々思い出すこと。
そうそう、あの林の奥の方にある池には行っては駄目よ。
Poem)「猫アート」(まえばし猫町フェス2018参加作品)
猫はどんな場所にも
足跡をつけて歩く
地球の歴史に
猫の名前を残すためにね
あぁ、だけど少し待って…
セメント塗りたて
とか、
アスファルト舗装中とか、
陶器作りたて
とか、
注意書きの縦看板を
立てといて下さいにゃ
あっちにもこっちにも
猫の足跡アートつけて歩いて行く
けれど、
猫の足の裏は、吉兆を刻印する
大事な大事な宝ものなんだ
※“まえばし猫町フェス2018“参加作品
「猫アート」詩
Poem)ひるがえる意味から意味の衣装を着替えて、
ひるがえる意味から意味の衣装を着替えて、舞台に立つ女優に手渡す台本には、あいうえおの文字ばかり。ああそうなの、昨日から頭が痛いのよ、歯痛とはあの永訣の朝に始まった。この痛みのお陰で、おおあの過去とは別れることができないの。いいことないわ、行っておしまいなさい。母は言ったわ。ううんそうもいかないの。私はそんな返事ばかり。ええ加減もう冬が来るというのに。友達は笑っている。花は地面にくるまる季節に。私も
もっとみるPoem)もし君の時間は…
もし君の時間は浅くて、もっと深い時間が必要だと言われたなら。誰にも生まれた時から自分の足の裏が地の底を探し得ない落下していく悲しみの日々があることをそっと話してみて。話すとは放つことだと思っている。空が一日の始まりと終わりに焼けていくのは地上に置かれた私たちへの慰め。
分かり合える心を持っている地上の息するものの哀れに心重ね。楽しさを知ることが着地点である。という花の憂いの哲学に赤い丸をつけてお