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Poem)時間の秘密について

時間を歩くしかない。そう言われて、今日は時間の青い帯を歩いていく。きみの家の時計は何時をさしていたんだい。午後5時です。そうか。私の家の時計は午前零時だった。だから私は黄色い帯を歩いていく。老人は両腕にたくさんの時計を巻きつけて隣を歩く。同時にいくつもの時の音を聞くのですね。向こう側には赤い帯を歩く青年がいて、老人の服の陰には、黄緑色のリボンを分けてもらった子供たちが歩いている。もう少し時間の秘密を教えて下さい。と言いかけたら、もう声も届かぬ場所に黄色い帯を歩く老人は進んでいる。「鳥は時間を歩きはしない、空の空腹を知っていたまえ。」時間の秘密について、遠くから老人の声は風のように聞こえてきた。



#詩    #現代詩

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